マーケティング研究 他社事例 604 「製造業向けAIサービスの提供」 ~職人技をAIでデータ化~
かすかな音を聞き分けて設備の異常を発見する熱練検査員や熱処理温度の微妙な調整によって部品を均質化する仕上げ加工職人など。
製造業の現場に足を踏み入れると、今でも「匠の技」が光る場面を数多く見る事が出来ます。
ベテラン社員のみぞ知る現場の生産技術をAIの力で分析し、勘やコツの正体を科学的に明らかにするのが、スカイディスク(福岡市)のミッションです。
例えば、ある自動車メーカーは「異音検査」に同社のAIを導入しました。
異音検査とは、機械などが作動時に発する音を聞き分けて、部品の不具合を判断する官能検査です。
人の五感に頼る為検査員によって判断にバラつきが出るのが課題でした。
正確な聞き分けができるベテラン検査員が少なく、特殊なスキルのために技術継承が難しいという将来的なリスクもありました。
スカイディスクのAI開発は、まず検査場に収音設備を持ち込み、検査員と同じ条件で「音」のデータを収集するところから始めます。
「この音がする時は、この部品に異常がある」「部品のかみ合わせに不具合があると、この音が出る」など、検査員の判断と音データをひも付けてAIに学習させ、異音の微妙な違いを音の波形の中から捉えることに成功しました。
この自動車メーカーは2020年内に生産ラインの検査工程にAIを組み込む予定で、AIでベテラン検査員の判断が再現できるようになると言います。
簡単そうに聞こえますが、これまで製造現場でAIの導入がなかなか広がらなかったのには理由があります。
総務省の「AI・IOT(モノのインターネット)の取り組みに関する調査」(2017年9月)によれば、AI活用に必要なデータが十分にそろっていると回答した企業は約1割に過ぎませんでした。
いまだに十分なデータ量を持ち合わせていない企業が多く、現場で役立つレベルまでAIの学習を進めることができないというのが現状です。
さらに製造業では、各工場の設備環境や課題に合わせて、分析するデータの種類や収集方法を個別に最適化する必要もあります。
特定のベテラン社員が持つ精緻な職人技をデータ化したいとなればなおさらです。
そこでスカイディスクは自ら現場に入り込み、センサーの種類から設置する角度まで、状況に応じた細やかに調整して、データを収集するところから取り組んでいます。
セールス&マーケティング部は「ノウハウはあるようで、全くない。クライアントとの二人三脚で、必要なものをゼロからオーダーメイドで開発するのが我々の強み」と話します。
現場に寄り添い、じっくり開発を進めることで、着実に評判を高めてきました。
創業者の橋本氏はメーカーで研究開発職を務めた後に、フリーのエンジニアとして独立し、その当時まだ黎明期でしたIOT分野に興味を持ち、34歳で九州大学の大学院に進学しました。
データ分析やセンシングの研究を重ね、在学中の2013年にスカイディスクを設立しました。
しかし、現在の事業まで順調に辿り着いたわけではなく、創業直後はセンサーを活用したIOTサービスを模索する日々が続き、主に農業や物流分野で開発に取り組んでいました。
そんな時、ある電力会社から設備保全のためのIOTの導入について相談を受けたのでした。
設備が古くなり定期的な点検が必要になったものの、検査員が高齢化して十分な人員を確保できない事が課題でした。
現状を知る為に立ち会った点検作業での経験が同社の大きな転機となりました。
点検は「聴診棒」と呼ばれる細長い金属棒を変圧器に当てて、その振動音から異常を検査するというものでした。
ところが、当日居合わせた若手の検査員は、その音から正常・異常が判断できなかったのです。
結局、ベテラン検査員に電話で音を聞かせて判断を仰いだりしていました。
「ここまで人のスキルに依存する手仕事が残っているのかと知り、驚いた」(橋本氏)
個人のスキルの高さとその技を共有する難しさを知ると同時に、データを収集して分析し、AIでスキルを再現するニーズがあると気付いたのでした。
その後は、工場での点検や生産管理にターゲットを絞り込み営業展開をはかりました。
2017年頃から本格的にAIサービスの展開を開始し、労働力不足や高齢化によって熟練技術者の持つノウハウをデータ化して継承するニーズが急速に高まっていることも背景に製造業での導入件数は順調に伸び、累計で150件を超えて来ました。
開発を支えるエンジニアは、フランス、イギリス、スリランカなど世界各国から集まっていますが、福岡発のスタートアップだけに、九州に地縁のある従業員も多くいます。
2019年に橋本氏から経営を引き継いだ内村社長も「福岡の企業として頑張りたい」との想いで東京から戻ってきたUターン組です。
今後は製造業にとどまらず、物流や小売りなどへのAI導入も支援していきたい考えです。
「AIを活用するにはある程度まとまった資金力が必要。だからこそ、人材不足がより深刻だが、資金が少ない地方の中小企業をAIでサポートできる、新しいサービスをつくりたい」と内村社長は言います。
地元に貢献する為の次なる目標を内村社長は見据えています。
下記は彩りプロジェクトのご紹介です。
ご興味があればご一読下さい。
経営の根幹は「人」です。働く人次第で成果が変わります。自分事で働く社員を増やし、価値観を同じくし働く事で働きがいも増します。
彩りプロジェクトでは、風土改革を軸にした「私の職場研修」、「未来を創るワークショップ研修」等、各企業の課題に合わせた研修をご提案差し上げます。ITソフトメーカー、製造メーカー、商社、小売業者、社会福祉法人、NPO法人等での研修実績があります。
研修と一言と言っても、こちらの考え方を一方的に押し付ける事はしません。実感いただき、改善課題を各自が見つけられる様な研修をカスタマイズしご提案しているのが、彩りプロジェクトの特徴です。
保育園・幼稚園へご提供している研修【私の保育園】【私の幼稚園】は大変ご好評をいただいています。
また、貴社に伺って行う研修を40,000円(1h)からご用意しておりますので、お気軽にお問い合わせ下さい。
メール info@irodori-pro.jp
HP https://www.fuudokaikaku.com/
お問合せ https://www.fuudokaikaku.com/ホーム/お問い合わせ/
成長クリエイター 彩りプロジェクト 波田野 英嗣
かすかな音を聞き分けて設備の異常を発見する熱練検査員や熱処理温度の微妙な調整によって部品を均質化する仕上げ加工職人など。
製造業の現場に足を踏み入れると、今でも「匠の技」が光る場面を数多く見る事が出来ます。
ベテラン社員のみぞ知る現場の生産技術をAIの力で分析し、勘やコツの正体を科学的に明らかにするのが、スカイディスク(福岡市)のミッションです。
例えば、ある自動車メーカーは「異音検査」に同社のAIを導入しました。
異音検査とは、機械などが作動時に発する音を聞き分けて、部品の不具合を判断する官能検査です。
人の五感に頼る為検査員によって判断にバラつきが出るのが課題でした。
正確な聞き分けができるベテラン検査員が少なく、特殊なスキルのために技術継承が難しいという将来的なリスクもありました。
スカイディスクのAI開発は、まず検査場に収音設備を持ち込み、検査員と同じ条件で「音」のデータを収集するところから始めます。
「この音がする時は、この部品に異常がある」「部品のかみ合わせに不具合があると、この音が出る」など、検査員の判断と音データをひも付けてAIに学習させ、異音の微妙な違いを音の波形の中から捉えることに成功しました。
この自動車メーカーは2020年内に生産ラインの検査工程にAIを組み込む予定で、AIでベテラン検査員の判断が再現できるようになると言います。
簡単そうに聞こえますが、これまで製造現場でAIの導入がなかなか広がらなかったのには理由があります。
総務省の「AI・IOT(モノのインターネット)の取り組みに関する調査」(2017年9月)によれば、AI活用に必要なデータが十分にそろっていると回答した企業は約1割に過ぎませんでした。
いまだに十分なデータ量を持ち合わせていない企業が多く、現場で役立つレベルまでAIの学習を進めることができないというのが現状です。
さらに製造業では、各工場の設備環境や課題に合わせて、分析するデータの種類や収集方法を個別に最適化する必要もあります。
特定のベテラン社員が持つ精緻な職人技をデータ化したいとなればなおさらです。
そこでスカイディスクは自ら現場に入り込み、センサーの種類から設置する角度まで、状況に応じた細やかに調整して、データを収集するところから取り組んでいます。
セールス&マーケティング部は「ノウハウはあるようで、全くない。クライアントとの二人三脚で、必要なものをゼロからオーダーメイドで開発するのが我々の強み」と話します。
現場に寄り添い、じっくり開発を進めることで、着実に評判を高めてきました。
創業者の橋本氏はメーカーで研究開発職を務めた後に、フリーのエンジニアとして独立し、その当時まだ黎明期でしたIOT分野に興味を持ち、34歳で九州大学の大学院に進学しました。
データ分析やセンシングの研究を重ね、在学中の2013年にスカイディスクを設立しました。
しかし、現在の事業まで順調に辿り着いたわけではなく、創業直後はセンサーを活用したIOTサービスを模索する日々が続き、主に農業や物流分野で開発に取り組んでいました。
そんな時、ある電力会社から設備保全のためのIOTの導入について相談を受けたのでした。
設備が古くなり定期的な点検が必要になったものの、検査員が高齢化して十分な人員を確保できない事が課題でした。
現状を知る為に立ち会った点検作業での経験が同社の大きな転機となりました。
点検は「聴診棒」と呼ばれる細長い金属棒を変圧器に当てて、その振動音から異常を検査するというものでした。
ところが、当日居合わせた若手の検査員は、その音から正常・異常が判断できなかったのです。
結局、ベテラン検査員に電話で音を聞かせて判断を仰いだりしていました。
「ここまで人のスキルに依存する手仕事が残っているのかと知り、驚いた」(橋本氏)
個人のスキルの高さとその技を共有する難しさを知ると同時に、データを収集して分析し、AIでスキルを再現するニーズがあると気付いたのでした。
その後は、工場での点検や生産管理にターゲットを絞り込み営業展開をはかりました。
2017年頃から本格的にAIサービスの展開を開始し、労働力不足や高齢化によって熟練技術者の持つノウハウをデータ化して継承するニーズが急速に高まっていることも背景に製造業での導入件数は順調に伸び、累計で150件を超えて来ました。
開発を支えるエンジニアは、フランス、イギリス、スリランカなど世界各国から集まっていますが、福岡発のスタートアップだけに、九州に地縁のある従業員も多くいます。
2019年に橋本氏から経営を引き継いだ内村社長も「福岡の企業として頑張りたい」との想いで東京から戻ってきたUターン組です。
今後は製造業にとどまらず、物流や小売りなどへのAI導入も支援していきたい考えです。
「AIを活用するにはある程度まとまった資金力が必要。だからこそ、人材不足がより深刻だが、資金が少ない地方の中小企業をAIでサポートできる、新しいサービスをつくりたい」と内村社長は言います。
地元に貢献する為の次なる目標を内村社長は見据えています。
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成長クリエイター 彩りプロジェクト 波田野 英嗣