マーケティング研究 他社事例 595 「都会の若者をターゲット1」 ~雲南モデル~
「過疎」という言葉にルーツがあるのをご存知でしょうか?
昭和30年代(1955年~1964年)に高度経済成長に伴う産業構造の転換で、猛烈な人口流出に見舞われた島根県の旧匹見町(平成の大合併で益田市に編入)の当時の町長が政府やマスコミに惨状を訴えるのに、都市部で問題になっていた「過密」の対義語として使い、定着したとされています。
そんな『過疎発祥の地』、島根県の山間部にあって現在、全国から社会的起業(ソーシャルベンチャー)を目指す若者や、新規事業の創造に取り組む企業が続々と集まっている街があります。
そこは島根県雲南市です。
人口37,000人余りながら、今年4月までの過去5年間に66人が起業家の卵としてこの街に移住し、医療・介護や教育などで活動を展開しています。
うち約半数は首都圏からの移住です。
66人と聞くとピンと来ないかもしれませんが、人口が100倍の横浜市で考えて見れば、6600人というインパクトになります。
内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局の島田勝則参事官は「非常に大きい数字。全国的に見ても極めてまれなケースだ」と話します。
2019年からは、既存の大企業などによる雲南市をフィールドにした「社会実装」の取り組みも本格化しています。
社会実装とは、社会課題の解決や経済発展を目指す研究開発のことです。
ヤマハ発動機が、グループ会社のヤマハモーターパワープロダクツなどとゴルフカートを転用した高齢者に優しい新交通の実証実験に着手しているほか、竹中工務店は建物の環境が使い手の健康に与える影響について調査研究をしています。
視察に訪れた起業も1年で34社に上り、その内訳も自動車やIT・情報通信、金融など幅広いのが特徴です。
安倍政権が打ち出した「地方創生」の最初の5ヶ年が終わりましたが、当初掲げていた2020年に東京圏(東京・埼玉・千葉・神奈川)への転入出数を均衡させるという目標は、未達のままです。
それどころか、転入者数が転出者数を上回る「転入超過」は拡大傾向にあります。
2019年の東京圏への転入超過は14万8783人で、前年より8915人も拡大しました。
しかし、だからと言って、地方創生の旗を降ろすわけには行きません。
1人の女性が生涯に産む子どもの数を示す「合計特殊出生率」を見ると、2018年時点で東京都は全国平均の1.42人を大きく下回り、1.2人と都道府県別で最下位です。
人口が再生産されない東京への若者の流入が続けば、日本全体の人口減少に拍車がかかりかねません。
コンパクトシティーの形式や特産品開発などで成功事例がある一方、地方創生で全国的に総じて立ち遅れているのが、ひとづくりです。
法政大学名誉教授で、各地の地域活性化の現場を長年調査して来た岡崎氏は「地域に根付き、活性化の核となる人材が十分に育っていない」と指摘します。
こうした現状の壁を破って先に進みつつあるのが、冒頭の雲南市です。
都会の人材が実際に移住して地域課題の解決に取り組んでいます。
また、移住者に触発されて地元の人間も動き出していて、地方創生の中で最も再現性のないひとづくりに成功しつつあるのです。
都会から人を呼び寄せ続ける雲南市ですが、一体どんな仕掛けを作ったのでしょうか?
雲南市のひとづくりの原点は平成の大合併に遡ります。
2004年に、6町村が合併し雲南市が誕生しましたが、課題となったのは、東京23区の面積に相当する市域の広さでした。
従来であれば、農作業の合間に長靴履きで首長に相談事もできましたが、「おらがまち」が無くなれば行政と住民の距離は離れていくのは自明の理です。
そこで、市がまず志向したのが「地域自主組織」を核にした分散型の行政でした。
明治期の旧町村単位に当たる小学校区ごとに計30を組織し、トップには地元の顔役を据えました。
しかし、皮肉にもこの取り組みを通じて同市は地域活性化の中心となる若い人材がいかに枯渇しているか改めて認識することになりました。
地域自主組織という器をつくっただけでは、活動する人間が高齢化し、いずれは後継者不足に陥り、地域は持続可能性を失います。
10年後、20年後を見据えて、地域の担い手を育てなければなりませんでした。
(続く)
下記は彩りプロジェクトのご紹介です。
ご興味があればご一読下さい。
経営の根幹は「人」です。働く人次第で成果が変わります。自分事で働く社員を増やし、価値観を同じくし働く事で働きがいも増します。
彩りプロジェクトでは、風土改革を軸にした「私の職場研修」、「未来を創るワークショップ研修」等、各企業の課題に合わせた研修をご提案差し上げます。ITソフトメーカー、製造メーカー、商社、小売業者、社会福祉法人、NPO法人等での研修実績があります。
研修と一言と言っても、こちらの考え方を一方的に押し付ける事はしません。実感いただき、改善課題を各自が見つけられる様な研修をカスタマイズしご提案しているのが、彩りプロジェクトの特徴です。
保育園・幼稚園へご提供している研修【私の保育園】【私の幼稚園】は大変ご好評をいただいています。
また、貴社に伺って行う研修を40,000円(1h)からご用意しておりますので、お気軽にお問い合わせ下さい。
メール info@irodori-pro.jp
HP https://www.fuudokaikaku.com/
お問合せ https://www.fuudokaikaku.com/ホーム/お問い合わせ/
成長クリエイター 彩りプロジェクト 波田野 英嗣
「過疎」という言葉にルーツがあるのをご存知でしょうか?
昭和30年代(1955年~1964年)に高度経済成長に伴う産業構造の転換で、猛烈な人口流出に見舞われた島根県の旧匹見町(平成の大合併で益田市に編入)の当時の町長が政府やマスコミに惨状を訴えるのに、都市部で問題になっていた「過密」の対義語として使い、定着したとされています。
そんな『過疎発祥の地』、島根県の山間部にあって現在、全国から社会的起業(ソーシャルベンチャー)を目指す若者や、新規事業の創造に取り組む企業が続々と集まっている街があります。
そこは島根県雲南市です。
人口37,000人余りながら、今年4月までの過去5年間に66人が起業家の卵としてこの街に移住し、医療・介護や教育などで活動を展開しています。
うち約半数は首都圏からの移住です。
66人と聞くとピンと来ないかもしれませんが、人口が100倍の横浜市で考えて見れば、6600人というインパクトになります。
内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局の島田勝則参事官は「非常に大きい数字。全国的に見ても極めてまれなケースだ」と話します。
2019年からは、既存の大企業などによる雲南市をフィールドにした「社会実装」の取り組みも本格化しています。
社会実装とは、社会課題の解決や経済発展を目指す研究開発のことです。
ヤマハ発動機が、グループ会社のヤマハモーターパワープロダクツなどとゴルフカートを転用した高齢者に優しい新交通の実証実験に着手しているほか、竹中工務店は建物の環境が使い手の健康に与える影響について調査研究をしています。
視察に訪れた起業も1年で34社に上り、その内訳も自動車やIT・情報通信、金融など幅広いのが特徴です。
安倍政権が打ち出した「地方創生」の最初の5ヶ年が終わりましたが、当初掲げていた2020年に東京圏(東京・埼玉・千葉・神奈川)への転入出数を均衡させるという目標は、未達のままです。
それどころか、転入者数が転出者数を上回る「転入超過」は拡大傾向にあります。
2019年の東京圏への転入超過は14万8783人で、前年より8915人も拡大しました。
しかし、だからと言って、地方創生の旗を降ろすわけには行きません。
1人の女性が生涯に産む子どもの数を示す「合計特殊出生率」を見ると、2018年時点で東京都は全国平均の1.42人を大きく下回り、1.2人と都道府県別で最下位です。
人口が再生産されない東京への若者の流入が続けば、日本全体の人口減少に拍車がかかりかねません。
コンパクトシティーの形式や特産品開発などで成功事例がある一方、地方創生で全国的に総じて立ち遅れているのが、ひとづくりです。
法政大学名誉教授で、各地の地域活性化の現場を長年調査して来た岡崎氏は「地域に根付き、活性化の核となる人材が十分に育っていない」と指摘します。
こうした現状の壁を破って先に進みつつあるのが、冒頭の雲南市です。
都会の人材が実際に移住して地域課題の解決に取り組んでいます。
また、移住者に触発されて地元の人間も動き出していて、地方創生の中で最も再現性のないひとづくりに成功しつつあるのです。
都会から人を呼び寄せ続ける雲南市ですが、一体どんな仕掛けを作ったのでしょうか?
雲南市のひとづくりの原点は平成の大合併に遡ります。
2004年に、6町村が合併し雲南市が誕生しましたが、課題となったのは、東京23区の面積に相当する市域の広さでした。
従来であれば、農作業の合間に長靴履きで首長に相談事もできましたが、「おらがまち」が無くなれば行政と住民の距離は離れていくのは自明の理です。
そこで、市がまず志向したのが「地域自主組織」を核にした分散型の行政でした。
明治期の旧町村単位に当たる小学校区ごとに計30を組織し、トップには地元の顔役を据えました。
しかし、皮肉にもこの取り組みを通じて同市は地域活性化の中心となる若い人材がいかに枯渇しているか改めて認識することになりました。
地域自主組織という器をつくっただけでは、活動する人間が高齢化し、いずれは後継者不足に陥り、地域は持続可能性を失います。
10年後、20年後を見据えて、地域の担い手を育てなければなりませんでした。
(続く)
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成長クリエイター 彩りプロジェクト 波田野 英嗣