マーケティング研究 他社事例 596 「都会の若者をターゲット2」 ~問題はひとづくりの遅れ~
地域の担い手不足は雲南市に限らず、多くの自治体が抱えているものです。
担い手を育てようにも若者たちは刺激を求めて都会へ出て行きます。
残された高齢者だけではなかなか活力ある街はつくれません。
しかし、雲南市の試みは、「地方に移り住みたいと考える若手人材もどこかにいる」との前提に立ったものでした。
注目したのは、都会の若者たちでした。
「社会システムが完成された都会で暮らすよりも、人口減少や高齢化、地域交通の衰退、耕作放棄地の増加など課題の宝庫の地方で、社会の役に立ちたいと考えるはずだ」
そんな若者が都会にいるという仮説はデータにも裏付けされています。
まち・ひと・しごと創生本部では2016年12月から、eラーニング形式で分析やマーケティングなど地域活性化に必要な知識について実例を交えながら学べる「地方創生カレッジ」を用意していますが、受講者が都市部に偏重しているのです。
同本部の担当者は「東京圏で約4,000人と全体の5分の1を占めていて、残りもほとんどが中京圏と近畿圏。人口規模の差もあるが、地方創生に貢献したいと思う人材は、都市部に集中している」と分析しています。
雲南市も、当初からこの戦略に自覚的だったわけではありません。
きっかけは2011年に地域の課題解決に取り組む若者サークル「幸雲南塾」を立ち上げた時の事です。
「行政が音頭を取っても、若者が地域活動に参加するわけがない。地域を支える若手人材のロールモデルをまずは作ろう」(市の担当者)という狙い出したが、結果は期待以上でした。
高齢者の介護予防や、耕作放棄地の解消につながる特産品開発がテーマでしたが、行政がお手上げだった課題解決に、周辺市からも集まった塾生たちは次々と動き出したのでした。
そして塾生が東京に拠点を置くNPO法人や大学にアドバイスを求めたことで、人材の流入が本格化しました。
現在、幸雲南塾を運営するNPO法人の代表理事を務める小俣健三郎氏もその一人でした。
東京生まれで、学生時代は海外支援に関心があり、イギリスの大学で社会政策も学びました。
卒業後は弁護士として働いていましたが、「どこかしっくりこない毎日」を送っていました。
そんな時に学生時代の友人を介して幸雲南塾の存在を知り、雲南市に移住しました。
そうした都会の若者が雲南市で立ち上げた事業の一つが、訪問看護ステーション「コミケア」です。
もともとは東京、神奈川、広島で病院勤務をしていた3人の看護師が始めました。
コミケアの挑戦は訪問看護をめぐる2つの常識を覆すものでした。
覆した常識の一つは訪問効率の悪い中山間地での経営は成り立たないというものでした。
雲南市では市域の実に9割以上が中山間地です。
訪問先が点在し時間がかかる分は、出先からスマートフォンで看護記録を入力するなど作業を効率化してカバーし、地域自主組織の積極的な協力もあって、利用者を着実に伸ばしたのでした。
現在では月100人程度が利用し、当初は3人だったスタッフも12人が働くまでに成長しました。
もう一つの常識破りは若さです。
日本看護協会の調査によると、全国で働く訪問看護師の平均年齢は47歳、同所長の中澤ちひろさん(33歳)は、「ベテランがやるものと思い込んで、地域医療に関心があっても踏み出せず、大病院のやり方が合わずに疲弊して辞めていく若者が多い」と指摘します。
コミケアのスタッフはほぼ20代~30代で、若者がU・Iターンし続々と入所しているのです。
今年で10年目を迎える幸雲南塾ですが、これまでに9件のソーシャルベンチャーが誕生し、60人程度の新規雇用を生んでいるとの事です。
市によれば経済波及効果は3億円に上ると言います。
これは、移住者の活動がさらなる移住者を呼ぶ、そんな好循環が生まれていると言えます。
さらに2016年からは、大学生への働きかけも本格化させ、夏と春の長期休みを中心に活動する実践型インターシッププログラムを用意し、今年1月までに東京大学や早稲田大学、慶應義塾大学など68校の420人が参加しているそうです。
(続く)
下記は彩りプロジェクトのご紹介です。
ご興味があればご一読下さい。
経営の根幹は「人」です。働く人次第で成果が変わります。自分事で働く社員を増やし、価値観を同じくし働く事で働きがいも増します。
彩りプロジェクトでは、風土改革を軸にした「私の職場研修」、「未来を創るワークショップ研修」等、各企業の課題に合わせた研修をご提案差し上げます。ITソフトメーカー、製造メーカー、商社、小売業者、社会福祉法人、NPO法人等での研修実績があります。
研修と一言と言っても、こちらの考え方を一方的に押し付ける事はしません。実感いただき、改善課題を各自が見つけられる様な研修をカスタマイズしご提案しているのが、彩りプロジェクトの特徴です。
保育園・幼稚園へご提供している研修【私の保育園】【私の幼稚園】は大変ご好評をいただいています。
また、貴社に伺って行う研修を40,000円(1h)からご用意しておりますので、お気軽にお問い合わせ下さい。
メール info@irodori-pro.jp
HP https://www.fuudokaikaku.com/
お問合せ https://www.fuudokaikaku.com/ホーム/お問い合わせ/
成長クリエイター 彩りプロジェクト 波田野 英嗣
地域の担い手不足は雲南市に限らず、多くの自治体が抱えているものです。
担い手を育てようにも若者たちは刺激を求めて都会へ出て行きます。
残された高齢者だけではなかなか活力ある街はつくれません。
しかし、雲南市の試みは、「地方に移り住みたいと考える若手人材もどこかにいる」との前提に立ったものでした。
注目したのは、都会の若者たちでした。
「社会システムが完成された都会で暮らすよりも、人口減少や高齢化、地域交通の衰退、耕作放棄地の増加など課題の宝庫の地方で、社会の役に立ちたいと考えるはずだ」
そんな若者が都会にいるという仮説はデータにも裏付けされています。
まち・ひと・しごと創生本部では2016年12月から、eラーニング形式で分析やマーケティングなど地域活性化に必要な知識について実例を交えながら学べる「地方創生カレッジ」を用意していますが、受講者が都市部に偏重しているのです。
同本部の担当者は「東京圏で約4,000人と全体の5分の1を占めていて、残りもほとんどが中京圏と近畿圏。人口規模の差もあるが、地方創生に貢献したいと思う人材は、都市部に集中している」と分析しています。
雲南市も、当初からこの戦略に自覚的だったわけではありません。
きっかけは2011年に地域の課題解決に取り組む若者サークル「幸雲南塾」を立ち上げた時の事です。
「行政が音頭を取っても、若者が地域活動に参加するわけがない。地域を支える若手人材のロールモデルをまずは作ろう」(市の担当者)という狙い出したが、結果は期待以上でした。
高齢者の介護予防や、耕作放棄地の解消につながる特産品開発がテーマでしたが、行政がお手上げだった課題解決に、周辺市からも集まった塾生たちは次々と動き出したのでした。
そして塾生が東京に拠点を置くNPO法人や大学にアドバイスを求めたことで、人材の流入が本格化しました。
現在、幸雲南塾を運営するNPO法人の代表理事を務める小俣健三郎氏もその一人でした。
東京生まれで、学生時代は海外支援に関心があり、イギリスの大学で社会政策も学びました。
卒業後は弁護士として働いていましたが、「どこかしっくりこない毎日」を送っていました。
そんな時に学生時代の友人を介して幸雲南塾の存在を知り、雲南市に移住しました。
そうした都会の若者が雲南市で立ち上げた事業の一つが、訪問看護ステーション「コミケア」です。
もともとは東京、神奈川、広島で病院勤務をしていた3人の看護師が始めました。
コミケアの挑戦は訪問看護をめぐる2つの常識を覆すものでした。
覆した常識の一つは訪問効率の悪い中山間地での経営は成り立たないというものでした。
雲南市では市域の実に9割以上が中山間地です。
訪問先が点在し時間がかかる分は、出先からスマートフォンで看護記録を入力するなど作業を効率化してカバーし、地域自主組織の積極的な協力もあって、利用者を着実に伸ばしたのでした。
現在では月100人程度が利用し、当初は3人だったスタッフも12人が働くまでに成長しました。
もう一つの常識破りは若さです。
日本看護協会の調査によると、全国で働く訪問看護師の平均年齢は47歳、同所長の中澤ちひろさん(33歳)は、「ベテランがやるものと思い込んで、地域医療に関心があっても踏み出せず、大病院のやり方が合わずに疲弊して辞めていく若者が多い」と指摘します。
コミケアのスタッフはほぼ20代~30代で、若者がU・Iターンし続々と入所しているのです。
今年で10年目を迎える幸雲南塾ですが、これまでに9件のソーシャルベンチャーが誕生し、60人程度の新規雇用を生んでいるとの事です。
市によれば経済波及効果は3億円に上ると言います。
これは、移住者の活動がさらなる移住者を呼ぶ、そんな好循環が生まれていると言えます。
さらに2016年からは、大学生への働きかけも本格化させ、夏と春の長期休みを中心に活動する実践型インターシッププログラムを用意し、今年1月までに東京大学や早稲田大学、慶應義塾大学など68校の420人が参加しているそうです。
(続く)
下記は彩りプロジェクトのご紹介です。
ご興味があればご一読下さい。
経営の根幹は「人」です。働く人次第で成果が変わります。自分事で働く社員を増やし、価値観を同じくし働く事で働きがいも増します。
彩りプロジェクトでは、風土改革を軸にした「私の職場研修」、「未来を創るワークショップ研修」等、各企業の課題に合わせた研修をご提案差し上げます。ITソフトメーカー、製造メーカー、商社、小売業者、社会福祉法人、NPO法人等での研修実績があります。
研修と一言と言っても、こちらの考え方を一方的に押し付ける事はしません。実感いただき、改善課題を各自が見つけられる様な研修をカスタマイズしご提案しているのが、彩りプロジェクトの特徴です。
保育園・幼稚園へご提供している研修【私の保育園】【私の幼稚園】は大変ご好評をいただいています。
また、貴社に伺って行う研修を40,000円(1h)からご用意しておりますので、お気軽にお問い合わせ下さい。
メール info@irodori-pro.jp
HP https://www.fuudokaikaku.com/
お問合せ https://www.fuudokaikaku.com/ホーム/お問い合わせ/
成長クリエイター 彩りプロジェクト 波田野 英嗣