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マーケティング研究 他社事例 606 「変化対応力を高める仕組み1」 ~ダイナミック・ケーパビリティとは~

2020-07-22 08:08:08 | マーケティング
マーケティング研究 他社事例 606 「変化対応力を高める仕組み1」 ~ダイナミック・ケーパビリティとは~


ダイナミック・ケーパビリティとは、企業が急速な環境の変化に対応するために、社内外にある技能を組み合わせ、構築し、再配置する能力を指します。

変化に応じて組織イノベーションを起こす力とも言えそうですが、最初に提唱したカルフォルニア大学のデビット・ティース教授の洞察を見ながら、皆さんと考えを深めていきたいと思います。

ダイナミック・ケーパビリティ論は学術的にも実務的にも、今後さらに重要になると注目されています。

この考え方を実践して組織そのものにイノベーションを起こす事に成功したのが中国のハイアールだと言われています。

ハイアールの人単合一モデルの英訳は「Integrating order with personnel」です。

これは、個人単位の市場目標を統合することと訳されます。

つまり社内に無数の起業家がいて、会社はそれぞれの「人」(社員)の「単」(注文、競争市場の目標を意味する)を結びつけるネットワーク型の組織という考え方です。

同社が徹底した成果主義を実践できるのも、この構造があるからに他なりません。

似た組織構造を持つ企業は他にあるのでしょうか?

デビット教授は以下のように論述されています。

「シリコンバレーのIT企業は「分権型モデル」寄りの構造だ。ハイアールの『人単合一モデル』は、いわば分権化が極端に進んだ組織だ。つまり、ハイアールはシリコンバレーの企業以上に、組織の上下関係が緩く、フラットになっている。同社の定義した経営理念でもある『人単合一』の考え方自体は以前から存在したが、同社のような8~9万人規模の従業員を抱える大企業で、うまくいくとは考えづらいビジネスモデルであり、ハイアールは組織が機能する仕組みを独自に開発したのだと思う」

俊敏に変化に対応するダイナミック・ケーパビリティが高い組織は「自己組織化」と「分権化」が自然に進みます。

権限が委譲された個々が、自然に最適化に向かって進化していくのです。

では、ダイナミック。ケーパビリティが高い企業が最強かと言えば、そう単純ではありません。

ダイナミック・ケーパビリティと対になる概念が、オーディナリー・ケーパビリティです。

ダイナミック・ケーパビリティが「物事に正しく取り組む」能力であるのに対して、オーディナリー・ケーパビリティは「物事を正確にやり遂げる能力」を指します。

この2つは一方が強いと、もう一方が弱まる「トレードオフ」が起こる関係にあると言います。

「人単合一モデルの下では、従業員が個人的に事業を立ち上げることができるため、「マイクロ起業家モデル」とも呼ばれる。大企業の内部に、数多くの起業家が立ち上げたスタートアップが一緒に存在するわけだ。会社として大きな15部門を抱えるのではなく、恐らく5000ユニット規模の、それぞれが10人~15人の社員を抱える事業ユニットが社内にあることになる」

これによって全従業員を経営に巻き込み、イノベーションを促進している訳ですが、こうしたやり方は財政面から見ると極めて複雑で、非効率な部分もありそうです。

ハイアールは俊敏ですが、何もかも効率よく安くやり遂げているわけではないでしょう。

俊敏であることと効率が良いことは違うというわけです。

デビット・ティース教授はアメリカのアルファベット、スリーエム、WLゴア&アソシエイツなどが、ハイアールに似た組織構造を持っていると言います。

「アルファベットはグーグルの親会社だが、様々な意味で分権化が進んでいる。より大きな裁量を与えるためグループにして分権化したのだ。ただしハイアールのまねではないしハイアールもグーグルも、10%の時間を自分のやりたいことに充ててもよいなど個人の裁量が大きい点が共通だが、全体は異なる。WLゴア&アソシエイツはゴアテックスで知られる素材メーカーで売上高約370億ドル(約4兆円)の非上場会社だ。彼らもマイクロ起業家モデルでハイアールより歴史は古い。同社は上司がいない。全社員が『アソシエ―ト(仲間)』でありスポンサーだ。事業機会毎にチームが出来、アソシエートは自分に合うプロジェクトを担当できる」

スイスのビジネススクールIMDのマイケル・ウエイド教授も、日本企業の変化対応力は同校の世界競争力ランキングで最下位であると指摘しています。

環境に変化があってもなかなか変われないと見られている日本の大企業でも、ダイナミック・ケーパビリティ理論の考え方を生かせば組織イノベーションを起こせるのでしょうか?

「ハイアールはダイナミック・ケーパビリティを促進する要素があるが、似た組織構造にしたからといって高いダイナミック・ケーパビリティが保証されるわけではない事に要注意だ。それを前提に言えば、製品の種類が多い方が人単合一モデルはうまく機能するから、例えばトヨタがダイナミック・ケーパビリティを高める組織モデルを導入したら、うまくいくかもしれない。トヨタは自社独自のシステムを発明したが、それは40年余り前の事で、以後は組織イノベーションが見られない。だが自動車業界は激変しており、このままでは先がない。イーロン・マスク氏やネットフリックスを共同設立したリード・ヘイスティング氏を見て欲しい。デジタル化で事業環境がすべて変化した。起業家的であり続けない企業は、トヨタであっても置き去りにされかねない。グーグルは今も起業家的だ。アップルは以前ほどではないが、やはり起業家的だ」

(続く)



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成長クリエイター 彩りプロジェクト 波田野 英嗣 
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