日本は地政学上、米英との「シーパワー連合」を組んでも、中国・朝鮮に深く関わるべきではない

2005年05月07日 17時13分47秒 | 憲法問題
6月下旬に日韓首脳会談、6か国協早期再開で外相合意 (読売新聞) - goo ニュース

 日韓首脳会談が6月下旬にソウルで行われることが6日、町村外相と韓国の潘基文(バンキムン)外交通商相との間で合意した。小泉首相が訪韓して盧武鉉(ノムヒョン)大統領と会談に臨む。自民党の武部幹事長は6日、盧武鉉(ノムヒョン)大統領との会談で、靖国神社参拝問題、歴史教科書問題、竹島問題などでの対応を厳しく求められている。小泉政権は、中国の「反日暴動」をめぐる対中外交に続く、「近隣外交」の処理に苦労しているようだ。
 しかし、四面海に囲まれた「海洋国家」である日本のこれからの国家戦略は、あくまでも、「海洋国家の雄」であるアメリカと、「海洋国家の大先輩」である英国との間で政治的にも軍事的にも、また経済・文化的にも「シーパワー連合」を強固に組み、日本の進路を誤らないようにしていく必要がある。これに対して、「大陸国家」である「中国」と「半島国家」である「韓国」「北朝鮮」との間での結びつきは、できるだけ「緩やかな関係」にしておくべきである。「政経分離」の原則に立ち、政治的・軍事的な結びつきや関与は、極力避けなくてはならない。「海洋国家」が、「大陸国家」や「半島国家」にかかわると、命取りになる。これは、大東亜戦争に敗北した日本が、痛烈に感じさせられた歴史的事実である。
 今後ともに、ゆめゆめ「大陸や半島」への「政治的・軍事的野心」を抱いてはならない。前車の轍を踏む愚を犯すことになるからである。
 日本は戦後、「戦略なき国家」と揶揄され「外交防衛政策」の対米追従姿勢が内外から厳しく批判を浴びてきた。だが、日本に「戦略」がなかったというのは、大きな誤りである。
 日本が、本当に「戦略なき国家」だったのであれば、アメリカが「双子の赤字」を抱えて苦しむほど「経済的疲弊」し、「ソ連東欧」が経済破綻により崩壊して米ソ共倒れのような格好で冷戦が終結したのに、日本が、「経済的繁栄」を実現できた理由がわからなくなる。
 たとえ「日本国憲法」がアメリカによる「押しつけ」であれ、また、「アメリカの核の傘」の下で「保護」されてきた国であれ、こうした「受け身」の状態とそのなかに含まれていた諸条件を上手に利用して、ひたすら「通商国家」の道を歩み、「経済大国」を実現してきたのは、そういう立派な「国家戦略」が存在したからであり、偶然に「経済大国」になったわけではない。米ソが駆使したような「地政学」を活用しなかっただけにすぎない。
 「地政学」を活用した米ソが、疲弊ないし崩壊したというのは、何とも皮肉ではないか。
 アメリカは、海洋国家として「シーパワー」による世界制覇を、ソ連は大陸国家として「ランドパワー」による世界制覇をそれぞれ目指した。いわゆる「地政学」をフルに活用して世界戦略を展開してきたのである。
 日本も戦前、戦中は帝国海軍がアルフレッド・マハンの「海上権力論(シーパワー)」を、帝国陸軍がマッキンダーの「ハートランド論」をよく研究していた。日本海会戦を勝利に導いた秋山真之将軍が立てた「来攻する敵艦隊を迎え撃つ」という戦略戦術構想とその中心思想は、大東亜戦争に至るまで堅持された。佐藤鉄太郎中将は、古今東西の戦史を深く研究して兵学各部門に貢献し、陸海軍備の関係については当時台頭した「大陸進出国防論」を警めた。
 「帝国国防方針」は1909年に策定されたが、以来、仮想敵国(米・露・支)の関係から、「陸主海従」か「海主陸従」かの根本問題も解決をみず、「二重性格」の国防方針のまま大東亜(太平洋)戦争に突入し、大陸に深く入り込みすぎ、また戦線も拡大しすぎて、「空母中心」の新しい海戦の意義を理解したアメリカに敗北してしまう。日本がいかに「海洋国家」であったかを思い知らされ、痛烈に反省も迫られたのであった。
 戦後は、連合国軍最高司令部(GHQ)の意向で、これら「地政学」の研究がはばかれ、「地政学」に立脚した「国家戦略」を立てられなくなった。
 しかし、戦後の日本が、「国家戦略」を持たなかったかと言えば、さに非ずである。日本の大戦略は、「日本国憲法」の持つ「機能」のなかに仕込まれていた。このことは、日本に憲法を押しつけたアメリカでさえ気づかなかった。気づいていたのは、ただ一人、「吉田茂元首相」であった。アメリカ軍を「番犬」とし、軍備に巨費を投ずることなく、経済大国を築くという「戦略」であった。
 これは、「米ソ対決(東西冷戦)」と「南北朝鮮の分裂」という地政学的な状況と条件を日本民族の生き残りに活用するという巧妙なる戦略であった。
 東西冷戦により、これらの「状況と条件」は、大きく様がわりしてしまっているが、日本は再び、「東アジア情勢」を活用する「国家戦略の策定」が求められている。それには、
 ①日本は、武力による「覇道」ではなく、あくまで「王道」を歩む。
 ①アメリカ、英国などとの「シーパワー連合」を強化する。
 ②中国大陸に深入りせず、米中を覇権争いさせるとともに、朝鮮半島にはコミットしない。(危機が刻々と迫っているかに見える第2次朝鮮戦争の火の粉をかぶらないようにする)
 との原理原則を貫き、従来通り「通商国家」「超経済大国」を目指し続ける。「シーパワー連合」に最も関係の深い「シーレーン」の防衛に協力するのは、当然である。
 だが、「憲法第9条1項」はそのままに、「2項」を改正するとしても、「国連」への関与は最小限に止めるべきである。
 日本は、「安保理常任理事国」となり、先々、「国連旗」を隠れ蓑に地球のどこにでも出兵させられるような立場には絶対に立たされてはならない。「分担金」をいまの「19.468%」からさらに上乗せさせたり、アメリカ軍に成り代わって、「大陸」であろうと「海洋」であろうと、世界中の紛争地帯に出撃させられて「日本の青年の血」が多く流されたりして、ロクなことはない。日本の若者を「犬死に」させていならないのである。
 それよりも日本の防衛に全力を上げた方がよい。この限りの意味で、日本は戦前とはまったく違う新たな「富国強兵」の道を「国家戦略」とすべきである

コメント (2)
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