民主党の菅直人前代表の「昭和天皇は終戦時、退位すべきだった」との無責任発言には、ホトホト呆れる

2005年05月09日 18時13分13秒 | 政治
「昭和天皇は終戦時、退位すべきだった」菅氏発言 (産経新聞) - goo ニュース

 民主党の菅直人前代表が「昭和天皇は終戦時、退位すべきだった」とフジテレビの「報道2001」で発言したのには、正直のところ驚かされた。野党の元党首とはいえ、一体、どこの国の政治家なのか疑われる発言である。
 菅前代表は昭和21年10月10日生まれで、戦争を知らない「プレ団塊世代」の一人である。
 「あのとき、ああしていればよかった」「こうしておればよかった」、あるいは、「もし、あのとき、こうだったらどうだろう」など繰り言を言っても仕方がない。
 昭和天皇陛下が、大東亜戦争の最高責任者であったことは、自明のことである。日本の戦国時代を想起するまでもなく、敗軍の将やその一族は、「切腹・斬首」が習わしであり、世界歴上も、遠くはロシア革命で倒されたロマノフ王朝の皇帝ニコライ2世一族は、赤軍に銃殺され、第1次世界大戦に敗れたプロイセンのウィルヘルム2世は、ドイツ革命によって退位して、オランダへ亡命した。近くはルーマニアのチャウシェスク大統領夫妻は、軍事裁判を受けて銃殺されている。欧米では本来、「君主は無問責」という原則があったが、これが近世に崩れて行った経緯がある。
 日本は有史以来、天皇を処刑する風習はなく、せいぜい「退位」して「院政」を敷かれるか、「佐渡流罪」のような「流刑」により天皇が交代させられた例はある。
 昭和天皇陛下が、敗戦の責任を痛感され、「退位」を一度は決意されていたというのは、近年よく知られているところである。
 だが、日本は、大東亜戦争に敗北し、無条件降伏し、武装解除し、そして主権をも失い、日本の最高指導者であった昭和天皇陛下の「処分」の権限は連合国最高司令部(GHQ)にあったのである。実際には、最高司令官のマッカーサー元帥の手中にあったのであり、昭和天皇陛下自らは、どうすることもできなかった。
 昭和天皇陛下の身の処し方としては、「服毒なり、拳銃を頭に当てるなり、切腹するなり」して「果てる」のは可能だったにしろ、「退位する」か、はたまたどこかの国に「亡命する」か、マッカーサー元帥に「命乞いする」かのいずれも決めることはできなかった。それどころか、マッカーサー元帥は、昭和天皇陛下が命乞いにくると思って待ち構えていたところ、案に相違して「自分の身はどのようになってもよい。国民に食糧を与えてほしい」と発言されたのに驚き、逆に敬意を表したという。この話は、日本人なら誰でもよく知っている話である。
 つまり、昭和天皇陛下をどうするかの「生殺与奪権」は、マッカーサー元帥にあり、強いて言えば、「アメリカの世界戦略上の都合」によって、いかようにも処分できたのである。それを「昭和天皇は退位すべきだった」と言っても無意味である。
 昭和天皇陛下が退位されなかったのは、アメリカの日本統治上の都合から「退位」が許されなかったのであり、勝手に退位できはしなかった。
 それどころか、アメリカは間もなく、日本を真珠湾攻撃に追い込み、敗戦と武装解除のうえ、「戦争放棄」「武力不保持」により拘束したことが「対ソ戦」遂行上、「失敗だった」と深く反省して、「憲法改正による再軍備」を求めてきているのである。その役目を担わされたのが、「A級戦犯・岸信介」だったわけであり、岸元首相も、「日本を再軍備」させねばならないというアメリカの都合で巣鴨プリズンから釈放されたのだ。
「勝てば官軍、負ければ賊軍」は世の習わしではある。昭和天皇陛下には、「自由意思」はなく、このことをまったく抜きにしても始まらない。丸で「豊臣秀吉は朝鮮征伐にいくべきではなかった」、「日本はアジア諸国が欧米に蹂躪されていても知らぬ半兵衛を決め込んでいればよかった」流の後講釈をしても何もならない。それは逆に「日本が勝ったいたら、どうなっていたのだろうか」と考えてみても、仕方がないのと同じことである。歴史に「もし」ということはあり得ないのである。菅前代表の発言は、およそ無意味な発言である。
 それ以上に、日本の戦後復興に努力され、すでに崩御されている昭和天皇陛下に対して、失礼極まりない。野党前党首とはいえ、聞き捨てならない。
 菅前代表は、どこの国の政治家かわからないような発言や行動をすることがあり、その一例が、日本人拉致の主犯格工作員・辛光洙が韓国に捕らわれていたにもかかわらず、身柄を釈放し北朝鮮に帰国させるよう韓国政府に働きかけていたという事実を安倍晋三衆議院議員(現・自民党幹事長代理)に平成9年6月3日の衆議院外務委員会で指摘されている。「もし、あのとき、菅前代表が、辛光洙の釈放を韓国政府に働きかけていなければ・・・」という残念な思いを拉致被害者家族ばかりでなく多くの国民が抱いている。
 それにしても、あの「未納3兄弟」と他人の責任を厳しく追及して自分が「兄弟の一人」だったことに気づいて、ジタバタしたときの菅前代表の取り乱した姿は何だったのか。潔さも、責任感も微塵もなく、見苦しく、お遍路姿はもっと無様であった。
 常々、疑問に思っているのだが、民主党の菅直人前代表は、北朝鮮と何か特別の関係のあるのであろうか?
 菅直人前代表の尾てい骨には、まだ「アジテーター」の片鱗が残っているようだ。風格も品格も威厳すらない政治家に、一国の舵取りである「総理大臣」を委ねるわけにはいかない。また、決して委ねてはならない。こういうどこの国の政治家がわからないような政治家が、「政権取り」を目指している民主党代表を務めていたかと思うと、ゾッと背筋が寒くなる。民主党はまだまだダメだ。
 菅前代表が厚生大臣であったとき、私は「がんばれ菅直人」というタイトルの本を書いてエールを送っただけに、失望感も大きいのである。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

小泉首相が「対独戦勝60周年式典」に出席するのは、何だか奇妙で割り切れない

2005年05月09日 16時22分13秒 | 政治
小泉首相、ロシアへ出発 9日にはプーチン大統領と会談 (朝日新聞) - goo ニュース

 小泉首相は8日、モスクワで9日に開かれる「対独戦勝60周年記念式典」に出席するため羽田空港を出発した。小泉首相は「式典は追悼と和解だ。世界平和を祈念し、戦争犠牲者を悼み、平和のありがたさをかみしめる式典だ」と記者団に式典参加の意義を話している。
 だが、意義はあるにしても、何だか奇妙で、いま一つ割り切れないものがある。第1に、日ロ間では戦後60年になろうとしているのに、未だ「平和友好条約締結」をみていないからである。国交正常化しているとはいえ、「ケジメ」がつけられていない。
 昭和16年4月13日にソ連は、ヒトラー率いる第三帝国のドイツとの覇権争い、すなわち対独戦の準備のために、日本は南進政策のため、「日ソ中立条約」を締結、調印(スターリンと松岡外相)していたのに、ソ連は昭和20年8月8日、日本に突如、宣戦布告し、満州への進撃を開始。多数の日本軍将兵と国民を殺傷した挙げ句、日本人捕虜をシベリアに抑留して、その多くを病死や凍死、餓死などにより殺したのである。この「謝罪と償い」はまだ行われていない。
 第2に、ソ連は中国人の養子「金聖柱」(当初は中尉の姿で登場)を「金日成」として突如担ぎ上げ、昭和23年9月9日、朝鮮民主主義人民共和国を建国、「傀儡政権」の首相に祭り上げ、昭和25年6月25日には、朝鮮動乱を起させている。南北朝鮮が対峙するなか、「ニセの金日成とその子・金正日父子」は、多くの日本人を拉致し、完全解決しないまま、「解決済み」と頑強に言い張り続けている。米ソ冷戦が終り、ソ連東欧諸国が崩壊した後、北朝鮮の国体をどうするかの責任が、ソ連と中国にあるにもかかわらず、ロシアは、旧ソ連時代に育てて、アメリカとの代理戦争に使った北朝鮮を放置している。つまり、朝鮮半島においては、東西冷戦の後始末は終わっていないのである。
 第3に、ソ連は、対独戦に勝利したとはいえ、スターリンは、その陰で約2000万人にも達すると言われている国民を「反革命」の罪名を勝手につけて、虐殺したばかりか、東欧諸国に侵攻したドサクサに紛れて「衛星国」にして、支配、弾圧を続けてきた。バルト3国(リトアニア、エストニア、ラトビア)にも攻め込み、大半の住民を根こそぎシベリア送りにして、重労働させたり、殺したりした。これらの国々に対して、ロシアは「謝罪の償い」もしていない。
 このほか、旧ソ連の悪行を数えれば、きりがない。これだけではない。ロシアの「帝国主義的蛮行」は現在でも進行中であることを見逃してはならない。イスラム民族が多数住むチェチェン、アルゼバイジャンの独立を阻み、「テロ制圧」の美名を掲げて、ロシア軍を派遣して、弾圧し、これまた数多くの市民を虐殺している。黒海とカスピ海に挟まれたチェチェンやアルゼバイジャンなどが、石油や天然ガスの埋蔵地域であるためであり、ブッシュ大統領と同じように「資源争奪戦争」を展開しているのである。
 こうした血なまぐさい帝国主義的蛮行を続けているロシアは、どこから見ても「平和国家」とは言えない。
 小泉首相は「式典は追悼と和解だ。世界平和を祈念し、戦争犠牲者を悼み、平和のありがたさをかみしめる式典だ」と言っているけれど、「過去戦争の犠牲者」への「追悼」はしても、現在進行中の「資源争奪戦争の犠牲者」への「追悼」は、まだ早いとでも言い訳するのであろうか。
 小泉首相とプーチン大統領は、速やかに「北方領土問題」を解決し、「日ロ平和友好条約」を締結すべきである。同時に、金正日が核開発を直ぐに止めないなら、プーチン大統領は、中国とも謀ってブッシュ大統領に北朝鮮に対する「先制攻撃」を認めるべきである。また、イスラム民族の自決と独立を認め、民生安定を図るべきである。
 小泉首相は国民から吸い上げた税金という大事な大金をかけて、せっかくモスクワくんだりまで出かけているなら、日本の歴史教科書に「小泉純一郎首相、日ロ平和友好条約を締結」と歴史的偉業とその名前を刻まれるくらいの実績を成し遂げて、たとえ「死に体」となって「花道」は敷かれなくても、1年4か月後にはせめて「惜しまれながら」退陣して欲しいものである。


コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする