ウズベク市民に銃口、徹底鎮圧 中央アジア火薬庫に火 (朝日新聞) - goo ニュース
「地政学」の開祖・マッキンダーは、1904年の講演のなかで「ハートランド論」を発表し、ロシアを中心とするユーラシア大陸を「中軸地帯」、これを外側から「三日月型地帯」が取り囲み、中軸地帯と三日月型地帯の間を「内側周辺の三日月地帯」と呼んだ。マッキンダーの説を発展させたスパイクマンは、ハートランドを取り囲む地帯を「リムランド」と名付けた。ロシア(旧ソ連)やヨーロッパ、中国など「大陸国」とアメリカや英国、日本などの「海洋国」とが、覇権争奪戦を繰り広げる、これが帝国主義・植民地主義時代の特徴である。第二次世界大戦後、今日に至るまでも、この構図で世界情勢は、「資源エネルギー争奪」という様相を深めながら、推移してきた。「ランドパワー」と「シーパワー」の二大勢力の激突である。
ところが、ソ連東欧諸国が1998年に崩壊し、東西冷戦が終結してからというもの、それまでの「二大勢力の激突」という構図が大きく変化してきた。というのは、ソ連がロシアに変わり、ソ連のなかに組み込まれていた「イスラム民族」が、独立運動を各地で起こすようになったからである。
ロシアのスラブ民族は、イスラム民族の独立を許そうとしない。イスラム民族が独立しようとしている地域が、石油・天然ガスの埋蔵地帯であるためである。カスピ海と黒海に挟まれたチェチェン、アゼルバイジャンなどがその典型である。
カスピ海沿岸のトルクメニスタン、その西側のキリギスタン、ウズベキスタン、カザフスタン、カザフスタン、南方のアフガニスタン、パキスタンは、みなイスラム民族が住む土地である。トルコやイラン、イラク、クウェート、サウジアラビア、オマーン、アラブ首長国連邦、ヨルダン王国などもやはりイスラム圏である。
ASEAN地域に視点を向けると、マレーシア、インドネシア、フィリピンなどの国々にもイスラムの人々が、数多く住んでいる。1492年1月、グラナダが陥落しイスパニア王国ができるまではスペインはイスラム民族に支配されていた。またトルコ帝国は、広大な砂漠地帯に巨大な王国を築いていた。インドのムガール帝国(1526-1858)もイスラム民族の国だった。
これらイスラム民族の住む地域は、大英帝国やフランス共和国、帝政ロシア、アメリカ、ドイツ、イタリアなどの帝国主義国家に侵略され、被抑圧民族に貶められてきた。アラビア半島の油田地帯は欧米列強に分割支配された。アメリカはいま、カスピ海、黒海から東の中央アジア地域にかけての「石油・天然ガス資源埋蔵地帯」を独占しようとしている。これにロシアや中国が加わって、激烈な資源争奪戦を繰り広げており、日本も、抜目なくこの戦いに参戦しているのである。
こうしたイスラム民族の住む地帯こそ、マッキンダーが「内側周辺の三日月地帯」と呼び、スパイクマンが「リムランド」と名付けたところである。「大陸国」と「海洋国」の覇権争奪は、単なる「二大勢力」の対立ということに止まらず、新たに独立意識を高めてきた「イスラム圏」が二大勢力の間から台頭してきた。
欧米列強に抑圧されてきたイスラム民族は、大体が貧しい生活ぶりのゆえに、欧米列強からは、蔑視されてきたけれど、いまは、この貧しさからの解放を目指して、「独立運動」により頭を持ち上げてきいてる。
従って、国際情勢をこれまでのように、「ランドパワー」と「シーパワー」の激突として見続けると大きな間違いをおかしてしまうことになる。
しかし、アメリカのブッシュ大統領は、「9・11」の悪夢からこれらイスラム民族が突き上げてくる独立運動を犯罪視して単なる「テロ」と決めつけている。ロシアのプーチンも同様である。
中国も新疆・ウィグル地区からカザフスタンにかけて住むイスラム民族の武装過激派の独立運動をやはり「テロ」として撲滅にさんざん手を焼いている。(ちなみに、中国は、すでに南米で「資源争奪」をめぐり、アメリカと覇権争いに突入している)
大国は、イスラム民族の独立運動の本質を見誤ると、とんでもない大被害を被るということを覚悟する必要がある。
アメリカがイラクで爆弾テロを繰り返す武装勢力を退治できず、プーチン大統領が、チェチェン、アゼルバイジャンを完全に鎮圧できず、さらにウズベキスタンでの反政府暴動を実力で鎮圧しようとしているカリモフ大統領支援の姿勢を表明したのは、こうした事情からである。
アメリカは、アフガニスタン空爆のドサクサに紛れてウズベキスタンに米軍基地を設けることに成功し、ロシアと中国を牽制するポジョンにある。
とくにアメリカは、「石油・天然ガス資源独占戦略」と「中国人民軍牽制戦略」という二つの目的から、カリモフ大統領の「武力によるイスラム弾圧」を非難している。
いずれにしても、「イスラム民族の独立」という政治的要素が深く絡んでいる「資源争奪戦争」は、簡単に収まりそうもなく、当分続きそうである。イスラム民族には大変気の毒だが、石油・天然ガスの「資源輸入国」である日本としては、前線で戦っているアメリカに勝ってもらうしかないのが、大変辛い。
「地政学」の開祖・マッキンダーは、1904年の講演のなかで「ハートランド論」を発表し、ロシアを中心とするユーラシア大陸を「中軸地帯」、これを外側から「三日月型地帯」が取り囲み、中軸地帯と三日月型地帯の間を「内側周辺の三日月地帯」と呼んだ。マッキンダーの説を発展させたスパイクマンは、ハートランドを取り囲む地帯を「リムランド」と名付けた。ロシア(旧ソ連)やヨーロッパ、中国など「大陸国」とアメリカや英国、日本などの「海洋国」とが、覇権争奪戦を繰り広げる、これが帝国主義・植民地主義時代の特徴である。第二次世界大戦後、今日に至るまでも、この構図で世界情勢は、「資源エネルギー争奪」という様相を深めながら、推移してきた。「ランドパワー」と「シーパワー」の二大勢力の激突である。
ところが、ソ連東欧諸国が1998年に崩壊し、東西冷戦が終結してからというもの、それまでの「二大勢力の激突」という構図が大きく変化してきた。というのは、ソ連がロシアに変わり、ソ連のなかに組み込まれていた「イスラム民族」が、独立運動を各地で起こすようになったからである。
ロシアのスラブ民族は、イスラム民族の独立を許そうとしない。イスラム民族が独立しようとしている地域が、石油・天然ガスの埋蔵地帯であるためである。カスピ海と黒海に挟まれたチェチェン、アゼルバイジャンなどがその典型である。
カスピ海沿岸のトルクメニスタン、その西側のキリギスタン、ウズベキスタン、カザフスタン、カザフスタン、南方のアフガニスタン、パキスタンは、みなイスラム民族が住む土地である。トルコやイラン、イラク、クウェート、サウジアラビア、オマーン、アラブ首長国連邦、ヨルダン王国などもやはりイスラム圏である。
ASEAN地域に視点を向けると、マレーシア、インドネシア、フィリピンなどの国々にもイスラムの人々が、数多く住んでいる。1492年1月、グラナダが陥落しイスパニア王国ができるまではスペインはイスラム民族に支配されていた。またトルコ帝国は、広大な砂漠地帯に巨大な王国を築いていた。インドのムガール帝国(1526-1858)もイスラム民族の国だった。
これらイスラム民族の住む地域は、大英帝国やフランス共和国、帝政ロシア、アメリカ、ドイツ、イタリアなどの帝国主義国家に侵略され、被抑圧民族に貶められてきた。アラビア半島の油田地帯は欧米列強に分割支配された。アメリカはいま、カスピ海、黒海から東の中央アジア地域にかけての「石油・天然ガス資源埋蔵地帯」を独占しようとしている。これにロシアや中国が加わって、激烈な資源争奪戦を繰り広げており、日本も、抜目なくこの戦いに参戦しているのである。
こうしたイスラム民族の住む地帯こそ、マッキンダーが「内側周辺の三日月地帯」と呼び、スパイクマンが「リムランド」と名付けたところである。「大陸国」と「海洋国」の覇権争奪は、単なる「二大勢力」の対立ということに止まらず、新たに独立意識を高めてきた「イスラム圏」が二大勢力の間から台頭してきた。
欧米列強に抑圧されてきたイスラム民族は、大体が貧しい生活ぶりのゆえに、欧米列強からは、蔑視されてきたけれど、いまは、この貧しさからの解放を目指して、「独立運動」により頭を持ち上げてきいてる。
従って、国際情勢をこれまでのように、「ランドパワー」と「シーパワー」の激突として見続けると大きな間違いをおかしてしまうことになる。
しかし、アメリカのブッシュ大統領は、「9・11」の悪夢からこれらイスラム民族が突き上げてくる独立運動を犯罪視して単なる「テロ」と決めつけている。ロシアのプーチンも同様である。
中国も新疆・ウィグル地区からカザフスタンにかけて住むイスラム民族の武装過激派の独立運動をやはり「テロ」として撲滅にさんざん手を焼いている。(ちなみに、中国は、すでに南米で「資源争奪」をめぐり、アメリカと覇権争いに突入している)
大国は、イスラム民族の独立運動の本質を見誤ると、とんでもない大被害を被るということを覚悟する必要がある。
アメリカがイラクで爆弾テロを繰り返す武装勢力を退治できず、プーチン大統領が、チェチェン、アゼルバイジャンを完全に鎮圧できず、さらにウズベキスタンでの反政府暴動を実力で鎮圧しようとしているカリモフ大統領支援の姿勢を表明したのは、こうした事情からである。
アメリカは、アフガニスタン空爆のドサクサに紛れてウズベキスタンに米軍基地を設けることに成功し、ロシアと中国を牽制するポジョンにある。
とくにアメリカは、「石油・天然ガス資源独占戦略」と「中国人民軍牽制戦略」という二つの目的から、カリモフ大統領の「武力によるイスラム弾圧」を非難している。
いずれにしても、「イスラム民族の独立」という政治的要素が深く絡んでいる「資源争奪戦争」は、簡単に収まりそうもなく、当分続きそうである。イスラム民族には大変気の毒だが、石油・天然ガスの「資源輸入国」である日本としては、前線で戦っているアメリカに勝ってもらうしかないのが、大変辛い。