新型コロナで危険な髄膜炎発症…政府の“検査放置”が原因か
新型コロナの陽性患者が、肺炎に加え髄膜炎を発症していたことが分かり、衝撃が広がっている。感染したのは、山梨県内の20代男性。先月28日と今月2日に、それぞれ別の医療機関を受診したが、検査は実施されなかった。自宅療養中の6日に部屋の中で倒れているのが発見された。
男性は重症で意識障害がある。持病はないという。これまで、重症化するのは高齢者と基礎疾患がある人とみられていただけに、恐ろしい症例だ。
男性の入院先の山梨大医学部付属病院はおととい7日深夜の会見で、病院独自で髄液のPCR検査をしたところ、陽性が確認されたと明かした。感染者が訴える頭痛は髄膜炎による恐れもあるとした上で、「これまで(診察で)見過ごされている可能性がある」と指摘。新型コロナによる髄膜炎は中国の論文にも記述があるという。
髄膜炎と新型コロナに関連性はあるのか。山野美容芸術短大客員教授の中原英臣氏(感染症学)はこう言う。
「インフルエンザウイルスが髄膜に侵入し、炎症を起こす『インフルエンザ脳症』などがよく知られていますが、コロナウイルスと髄膜炎の関連性は不明です。極めてレアなケースとみられます。しかし、髄液から陽性反応が出た以上、政府と医療機関はこれまで以上の警戒が必要でしょう。髄膜炎は死亡リスクもある危険な病気です」
■早期発見で防げた可能性
20代男性は発熱した状態で2度受診し、新型コロナの検査をしないまま、最初の受診から自宅で発見されるまで1週間も経過している。もっと早めに検査し、「陽性」だと分かっていれば、重症化は防げたのではないか。やはり、安倍政権の検査に対する消極的な姿勢が今回の事態を招いた可能性が高い。
「韓国では検査が進んでいるのに、日本では遅々として進んでいない現状があります。なぜ韓国ができることが日本にできないのか。喉の粘液を採取するPCR検査は困難なものではなく、検査数を増やす方法はいくらでもあるはず。それでも政府が後ろ向きなのは、患者数を増やしたくないからではないか。当然、東京五輪への影響を懸念しているのでしょう。新型コロナの蔓延が2020年であったことは、日本国民にとって非常に不幸なことです」(中原英臣氏)
6日から検査は保険適用になったが、当面は近所の病院では受けられず、全国約860カ所の「帰国者・接触者外来」などで行われる。まだまだ“検査難民”は解消されそうにない。