あなた(新聞記者)も147日間休まず働いてみたことありますか? ないだろうね、だったら意味分かるじゃない。140日休まないで働いたことないんだろう。140日働いたこともない人が、働いた人のこと言ったって分かんないわけですよ」
【写真】休日の平均執務時間は2時間だという
8月17日、安倍晋三首相(65)が都内の大学病院で検査を受けたことについて、麻生太郎財務大臣(79)は報道陣の前でこう語った。1月26日(日)から6月20日(土)まで147日連続で執務していたという安倍首相。
いま、政府関係者や支持者は、首相の激務ぶりのアピールに余念がない。安倍首相の側近である自民党の甘利明税調会長(70)はこんなツイートをした。 《「何で次から次へと日程を入れて総理を休ませないんだ! 疲れ切っているのに!」「いくら言っても聞かないんです。本人が休もうとしないんです。先生からも説得して下さい!」私と総理秘書官とのやり取りです。色々なお叱りはあります。しかし側で見る限り総理は間違いなく懸命に取り組んでいます。》
一方、ツイッター上ではこんな冷ややかな声も……。 《週末は「午前中は来客なし。私邸で過ごす」ってパターンばかりで1時間かそこらしか官邸に行ってなかっただろ》
■休日の平均執務時間は2時間 はたして、安倍首相の“147連勤”の実態はどんなものだったのか。
各メディアが報じている首相動静をもとに、休日の勤務状況を調べた。 1月26日(日)から6月20日(土)まで、土日と国民の休日は全部で49日あった。イベントなどが入っていない場合、午前中は私邸で過ごすことが多く、午後3時以降に官邸に行ってコロナ関連の報告会に出席するというパターンが大半を占めていた。
福島に出張中の3月7日(土)と、国会が開催された4月29日(水・昭和の日)を除いた休日47日の1日あたりの平均執務時間は123.1分、およそ2時間だった。
最長の勤務時間を記録したのは、緊急事態宣言の延長が行われた5月4日(月・祝)の約6時間(365分)、最短だったのが“147連勤”の初日である1月26日(日)の30分だった。
執務時間が1時間以下だった日は全体の27.7%(47日中13日)、2時間以下だったのが63.8%(47日中30日)。休日執務のおよそ3割が1時間以下で、6割超が2時間以下という結果になった。
もちろん、ワークライフバランスの重要性が叫ばれている今日、休日も働いている現状が望ましいはずがない。また、私邸での電話対応など、首相動静に反映されていない執務もあるかもしれない。だが、日本の“残念な働き方”からみるに、安倍首相の“勤務状況”はことさら特殊なものではないのかもしれない……。
ツイッター上ではこんな意見もあった。 《日本のサラリーマンの働き方を見ていると、休みとされる日に自宅にいても、結局パソコンやスマホでメールしたり電話で仕事してるし、自営業してる人は店が休みでも仕入れやなんやかやで仕事してるから、たいていの人が147日休まずに働いたことあると思うで》
■憔悴アピールで批判をかわす 「いずれにせよ、成果ではなく、努力しかアピールできなくなった点で、政権末期の感がある」と言うのは、全国紙政治部記者だ。安倍首相が「わずか1カ月半で流行をほぼ収束させられた。日本モデルの力を示した」と胸を張ったのは5月下旬。
だが、感染が再び拡大し、その勢いは止まる気配がない。4~6月期のGDPも戦後最大の落ち込みを記録した。
「一時はあれだけ開いていた記者会見を開かなくなったし、憲法を根拠にした野党からの臨時国会の召集要求にも応じていない。支持率が急落しているなか、コロナ対策の失敗や政権が抱える数々の不祥事について、国会や記者会見の場で追及されたくないというのが本音だろう。
『激務のために首相は休む必要がある』とアピールすることで、国会や記者会見から逃げ回っているという批判をかわしたいという思惑があるのだろう」(全国紙政治部記者) 過去に国会の場で「政治は結果なんですよ」と主張していた安倍首相。その言葉が“ブーメラン”のように、自らにかえってこようとしている。ツイッター上ではこんな指摘も。
《連続日数とか何時間働いたとか、ってのが総理大臣としての仕事の価値なの? やるべきことを、しっかりしてくれたら、1日おきに休んでいただいても結構ですわ。 政治は結果》
※各メディアが報道している首相動静をもとに作成。時刻は執務していたとみられる時刻で、( )内はその時間。明らかに政治活動やプライベートな活動とみられるものは執務から外したが、ネット番組への出演など、判断が難しいものについては執務として扱った。 1月26日(日)17時35分~18時5分(30分) 2月1日(土)10時57分~12時31分(94分) 2月2日(日)8時51分~11時20分(149分) 2月8日(土)15時51分~16時47分(56分) 2月9日(日)15時53分~16時31分(38分) 2月11日(火・祝)13時55分~15時21分(86分) 2月15日(土)13時50分~15時5分(75分) 2月16日(日)14時53分~17時24分(151分) 2月22日(土)15時53分~16時43分(50分) 2月23日(日)12時38分~16時18分(220分) 2月24日(月・祝)15時54分~17時18分(84分) 2月29日(土)15時30分~18時57分(207分) 3月1日(日)15時52分~17時51分(119分) 3月7日(土)8時57分~18時4分(547分)※福島出張2日目 3月8日(日)15時53分~17時36分(103分) 3月14日(土)15時17分~18時59分(222分) 3月15日(日)15時55分~18時57分(182分) 3月20日(金・祝)9時34分~10時45分/14時24分~18時29分(316分) 3月21日(土)15時14分~18時40分(206分) 3月22日(日)9時15分~14時40分(325分) 3月28日(土)15時2分~19時54分(292分) 3月29日(日)15時23分~16時49分(86分) 4月4日(土)14時54分~17時40分(166分) 4月5日(日)15時55分~17時33分(98分) 4月11日(土)14時53分~16時40分(107分) 4月12日(日)15時51分~17時33分(102分) 4月18日(土)15時49分~16時44分(55分) 4月19日(日)15時54分~16時44分(50分) 4月25日(土)15時56分~17時3分(67分) 4月26日(日)15時53分~16時29分(36分) 4月29日(水・祝)7時3分~19時41分(758分)※衆議院本会議・予算委員会あり 5月2日(土)15時50分~17時38分(108分) 5月3日(日)15時55分~18時11分(136分) 5月4日(月・祝)14時14分~20時19分(365分) 5月5日(火・祝)14時58分~17時7分(129分) 5月6日(水・祝)17時42分~21時15分(213分) 5月9日(土)15時52分~17時47分(115分) 5月10日(日)15時49分~17時21分(92分) 5月16日(土)15時52分~16時36分(44分) 5月17日(日)15時49分~17時15分(86分) 5月23日(土)15時53分~16時41分(48分) 5月24日(日)15時11分~18時5分(174分) 5月30日(土)16時22分~17時27分(65分) 5月31日(日)16時24分~17時11分(47分) 6月6日(土)16時20分~17時10分(50分) 6月7日(日)16時27分~17時21分(54分) 6月13日(土)16時24分~17時6分(42分) 6月14日(日)16時11分~19時7分(176分) 6月20日(土)17時55分~19時5分(70分) 6月21日(日)終日私邸で過ごす ※連続執務途絶える