朝日新聞」が検察の世論操作の片棒を担ぐ…「霞が関ブローカー」に仕立て上げられた男性の本当の顔【東京医大「不正入試」事件】
1/23(月) 7:03配信
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文科省汚職事件には、本稿で取り上げる東京医大「不正入試」事件のほかに、別の文科省キャリアを過剰接待した「JAXA事件」と呼ばれるものがある。この二つの事件でキーマンとされた男を、東京地検特捜部はマスコミに対して「霞が関ブローカー」とリーク、いかにも胡散臭げな印象を世間に流布することに成功する。これまで明らかにされてこなかったこの男に素顔に迫る『東京医大「不正入試」事件』の連載第3回。
『東京医大「不正入試」事件』の全貌(3)前編
会食をセッティングしただけで受託収賄幇助罪?
2018年夏に世間を騒がせた東京医科大学「不正入試」事件。この事件の4被告の起訴後、東京地検特捜部が元JAXA(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構)理事(役職は当時、以下同)で文部科学省国際統括官の川端和明氏を収賄容疑で逮捕・起訴した(19年12月に執行猶予付きの有罪判決が確定)。このため2つの事件を一括して文科省汚職事件と呼ぶが、両事件で逮捕・起訴されたのが元コンサルティング会社役員の谷口浩司被告だ。
谷口被告は東京医大事件で、同大が文科省の「17年度私立大学研究ブランディング事業」に応募する際に提出する書類の記述内容について、理事長の臼井正彦被告が大臣官房長の佐野太被告に助言・指導を依頼したとされる会食(17年5月10日)を設定して、自身も同席。その後も佐野被告の助言・指導を仲介したとして、受託収賄幇助罪に問われた。
だが、これは佐野被告を受託収賄罪、臼井被告を贈賄罪で立件するシナリオを描いた検察側が、そのシナリオを補強する目的で、二人と接点のある谷口被告の行為を、強引に犯罪として立件したと考えるのが妥当だろう。
事件発覚当時、特捜部は谷口被告を“霞が関ブローカー”に仕立て上げることで、世論を味方に付けようと画策した。ブローカーとは一般に商行為を媒介する仲買人を指すが、特捜部が使う“霞が関ブローカー”というアナクロな言葉からは、霞が関の中央省庁に出入りして、政治家、官僚、企業を結び付け、なにかしらのおこぼれを頂戴するというニュアンスが滲み出ている。
朝日新聞」が検察の世論操作に一役買う
そしてこの特捜部の目論見どおり、多くのメディアが谷口被告のネガティブ情報を垂れ流した。例えば朝日新聞の18年8月16日付朝刊はこんな具合だ。
「一連の事件には、国会議員の影響力を使い、省庁をまたいで人脈を広げようとした同じコンサルタントが介在していた。『国会議員がケツ持ち(後ろ盾)になってくれる』。医療コンサル会社元役員の谷口浩司容疑者は知人にこう話し、自らが国会議員の影響力を使って官僚を動かせると誇っていた。永田町や霞が関には、議員や官僚が持つ政策や公共事業の情報を仕入れ、企業から利益を得る『霞が関ブローカー』が存在する。捜査関係者は元役員もこうした一人とし、『同種のブローカーとしては新参者だった』と語る」
だが実際の谷口被告は“霞が関ブローカー”どころか、民主党(現・立憲民主党)の羽田雄一郎参院議員(故人)の政策顧問として、同議員の政策の立案や実現に携わるだけでなく、同党の重鎮だった中井洽衆院議員(同)が心血を注いだ病院のREIT(不動産投資信託)化の実現に向けて、厚生労働省や国土交通省、金融庁といった関係省庁の局長クラスの間を調整のため走り回るなど、その姿は霞が関の〝プレーヤー〟そのものだった。
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後編記事【永田町・霞が関で名をとどろかせた「文科省汚職事件のキーマン」…男性を「右腕」として、重宝していた“政治家の名前”】に続きます
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