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聖徳太子にまつわる超人的な伝説はなぜ生まれたのか?

2023年01月11日 20時03分13秒 | 歴史的なできごと



1/24/2022

聡明で何人もの話を同時に聞き分け、法隆寺を築いて仏教を広め、推古女帝の摂政として活躍した人物──。



聖徳太子に関する一般的なイメージはすべて『日本書紀』の記述が元になっている。その記録の中には、常人の域を超えた数々の超人伝説が存在し、聖徳太子がいかに偉大な人物であったのかを物語るものがある。ここではその真意に迫り、深堀りして紹介したい。



 超人伝説は、聖徳太子の正式名の由来を説明する創作だった 

 推古天皇(女帝)の皇太子であり、摂政をつとめたとされる聖徳太子(実名は厩戸皇子)に超人伝説があることはあまりに有名である。

養老4年(720)に成立した『日本書紀』によれば、太子は(1)その母が宮中の厩(うまや)の戸にあたった時に安産で生まれたとされ、(2)生まれながら言葉を話すことができ、聖人の智をもっており、(3)成人後は十人の訴えを聞き分け、(4)未来のことを予言できたとされる。それゆえ(5)父の用明(ようめい)天皇に寵愛され、幼少期は特別に上宮(かみつみや)とよばれる宮殿に住まわされたという。 


『日本書紀』以前にすでにこのような伝説が出来上がっていたようだが、『日本書紀』よりも8年前に成った『古事記』には超人伝説はみられない。

このような伝説はいったいどうして生まれたのであろうか。それは太子の名前に原因があるといってよい。彼の正式な名前は上宮厩戸豊聡耳太子(かみつみやのうまやとのとよとみみのみこ)といった。 

「上宮」とは、太子が壮年以降に営んだ斑鳩宮(いかるがのみや)のことであり、これが太子のむすこの山背大兄王(やましろのおおえのみこ)に相続された後に上宮とよばれるようになった。斑鳩宮は実際には太子の父・用明の没後に造営されたものであるが、それが天皇となった用明に起源をもつことを主張しようとして(5)の伝説が生まれたのである。  

つぎに有名な「厩戸」であるが、この時代、皇子女の名前は彼らを養育した豪族のウジナ(豪族の本拠地である地名か、または豪族の世襲の職務を示す職名)に由来するのが一般的であった。

ところが、厩戸というウジナの豪族も地名もみあたらないために、その名の由来を何とかして説明しようとして、(1)のような異常な誕生伝説が作り出されたわけである。近年では、厩戸とは舒明(じょめい)天皇も一時滞在した宮殿があった「厩坂(うまやさか)」に由来するのではないかとする説もあるが、はっきりしたことはわからない。


 「豊聡耳」は「とよ・と・みみ」と分解が可能である。「とよ」は美称、「と」は未詳であるが、「みみ」は神やその威勢をあらわす「み」を重ねていったものであり、「と」も同様の語義だったとみられる。この「と」をあらわすのに「聡」の字をあてたために、生まれながら言葉を話し、聖人の智をそなえていたという太子の聡明さを語る(2)や(4)の伝説が生み出されることになった。  

また、「みみ」には本来の意味とは関係なく耳の字をあてたので、太子は特別に聴覚のすぐれた人だったに違いないとされた。こうして、十人の訴えを正確に聞き分けたという(3)の伝説が語られるようになったのである。以上のように、太子の超人伝説は、すべてその名前の由来を説明しようとして生み出されたということができる。 


監修・文/遠山美都男 (歴史人電子版『大人の歴史学び直し』シリーズ「聖徳太子」より)


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新型コロナ感染者、5人に1人が3カ月内に精神疾患発症

2023年01月11日 03時30分52秒 | 感染症のこと 新型コロナウイルス


コロナウイルスが感染者に及ぼす長期的な影響について、またしても気がかりな研究結果が発表された。新型コロナウイルス感染症の罹患者のほぼ5人に1人が陽性確認から3カ月以内に精神疾患を発症しているほか、精神疾患の既往歴がある人は新型コロナウイルス感染症にかかるリスクが65%高いことがわかった。


11/19/2020

精神疾患と新型コロナウイルス感染症の関連性についてはこれまでも報告されていたが、英オックスフォード大学とNIHR(英国立衛生研究所)オックスフォード健康・生物医学研究センターのチームによる大規模な調査研究で確認された。査読を受けた論文がこのほど発表された。

チームは新型コロナウイルス感染症の罹患者6万2000人あまりを含む米国人6900万人の健康記録を調査。新型コロナウイルス感染症の罹患者と、別の呼吸器感染症や骨折、インフルエンザ、皮膚感染症といったほかの病気の罹患者を比較し、精神疾患の診断例の変化が新型コロナウイルスへの感染と関連しているかどうかを分析した。

その結果、新型コロナウイルス感染症の罹患は、すべての精神疾患ではないものの、不安障害や鬱病、不眠症といった一部の精神疾患の発症リスクを高めることが確認された。

新型コロナウイルス感染症の罹患と、精神疾患のうち、統合失調症など精神病性障害と新たに診断される例との関連性については、はっきりしたものは認められなかった。半面、新型コロナウイルス感染症の罹患が、すでに精神病性障害を抱えている人の再発リスクを高めることは確認された。

精神疾患と診断されたことがある人は新型コロナウイルス感染症と診断される確率が65%高いという「予想外」の発見について、研究チームのマックス・タケは、ほかの要因がかかわっている可能性もあるため一段の研究が必要だと指摘した。一方で、精神障害は新型コロナウイルス感染症の「リスク要因の一つ」に加えるべきだと提言している。

新型コロナウイルス対策のソーシャルディスタンシング(対人距離の確保)をめぐっては、孤立や不安、その他広範囲に及ぶ変化によって、メンタルヘルス危機が差し迫った問題になっていると、かねて論文や報告書で警告されてきた。今回の研究は問題の重大さを明確に示した格好だ。

研究を率いたオックスフォード大のポール・ハリソン教授(精神医学)は、新型コロナウイルス感染症を生き延びた人はメンタルヘルス問題を抱えやすいという懸念を裏づける結果になったと説明。原因や新たな治療法を緊急に究明するよう促すとともに、そうした人に専門のケアを提供するサービスを用意する必要があると訴えている


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