病気」は避けられない!? 「80歳の壁」著者・精神科医の和田秀樹 “病気と老化”を語る

12/23(金) 12:20配信
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和田秀樹さん
脳科学者の茂木健一郎がパーソナリティをつとめ、日本や世界を舞台に活躍しているゲストの“挑戦”に迫るTOKYO FMのラジオ番組「Dream HEART」(毎週土曜 22:00~22:30)。 12月17日(土)、24日(土)の放送ゲストは、2022年の年間ベストセラー第1位に輝いた「80歳の壁」(幻冬舎新書)の著者で、精神科医の和田秀樹さんです。17日(土)の放送では、“病気と老化”について語りました。
【写真】収録中の風景…パーソナリティの茂木健一郎と語り合う和田秀樹さん
1960年生まれ、大阪府出身の和田さん。東京大学医学部を卒業後、東京大学医学部付属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て、現在はルネクリニック東京院の院長を務めています。また、高齢者専門の精神科医として30年以上にわたり、高齢者医療の現場に携わっています。
◆“長生き至上主義”から“自分の体にとっての調子の良さ”へ
茂木:「80歳の壁」が大ベストセラーになっています。私も拝読して印象に残っているのが、どうしても血圧とかを気にされるじゃないですか。例えば80歳を超えて「血圧が高いよ」と言われたら、どう考えればいいんですか?
和田:実は、病気だと思っているものが、意外に老化現象なんじゃないか、と思うようになったんです
茂木:避けられないものだと。治療の対象ではないということですか?
和田:治療の対象かどうかは分からないんですけど、結果論から言うと、遅らせることはできるかもしれないけど避けられない、と。例えば、脳を1つとってみても、85歳を過ぎて、認知症に起こるアルツハイマー型の変化というものがない人はいないし、85歳を過ぎて、体中のどこにも癌がない人はいない。
茂木:癌で亡くなっていないのに、解剖すると意外と癌があるケースがある、と。
和田:結構あるんです。そして、そのなかで動脈硬化がない人もいないわけですね。
茂木:よく、加齢に伴って“動脈硬化も怖い”と言いますよね。
和田:そうですね。そうすると皆、動脈硬化にならないために血圧や血糖値、コレステロール値を下げるのですが、どんなに検査データが正常だったり、あるいは、いろんな薬を飲んでそれを防ごうとしても、結果的に70~80代になると動脈硬化になってしまうと。 今度は逆に、動脈硬化になってからは、血管の壁が厚くなって、血液が通る所が狭くなるので、血糖値や血圧が少し高めの方が、脳に酸素やブドウ糖が行くんですよね。
茂木:先生ご自身も、血圧が高い時期があった?
和田:そうなんですよ。僕は計る度に(血圧が)200を超えていて「やばいな」とは思っていたんだけど、それを4~5年放置してました。そんなときに、同級生が大阪で心臓のクリニックを開業したので、生まれて初めて心臓ドックを受けに行ったんです。 そうしたら、私の血管年齢は80歳だと言われて、血圧が高いということは心臓がバクバク思い切り動いている状態なので、心臓の筋肉が肥大するんですよ。そうすると“心臓の部屋”が狭くなる。「これを放っておくと、“心不全”といって、少し歩いただけで息が切れる状態になってしまうよ」と言われて、初めて血圧の薬を飲んだんです。 正常の140まで下げたら、頭がぼんやりしちゃうんですよ。それで「一生、このだるさや、ぼんやり感では嫌だな」と思って。だけど、「200以上を放っておくのもまずいな」と思って、170ぐらいまで下げるために薬を半分ぐらいに調整したんです(笑)。
茂木:一人ひとりの患者さんの薬を加減するのは、なかなか難しいですよね。
和田:そうだと思います。だけど僕は、やっぱり「人間は(自分の)体に聞いたほうがいい」と信じているところがあって。医者の多くは、たぶん、検査データのほうを重視すると思うんだけど、僕の考えに賛同してくださる医者もいて、「じゃあ調子がいいほうの値でやろうよ」と言う人もいます。 例えば、これからあと20年、30年生きることを考えたときに、だるいまま何十年も生きるのは、なかなかつらいことだと思うんですよ(笑)。
茂木:そうですよね(笑)。
和田:だから“長生き至上主義”を、もう少し“自分の体にとっての調子の良さ”のほうを選んでもいいんじゃないかな、と。これは生き方の問題な
茂木:「80歳の壁」には、“目から鱗(うろこ)”ないろんなことが書いてあって、「いいんですか?」ということも書かれています。「肉は食べていい」「ダイエットは不要。小太りぐらいがちょうどいい」とか。面白いですね。
和田:これは、やはりそういう常識に挑んで、調査をする人がいたんです。(肥満度を表す指標として国際的に用いられている体格指数)BMI「体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)」が「25」を超えると、メタボ健診では体重を下げるように言われます。 ところが、一番長生きしているのが、アメリカのデータでも日本のデータでも「BMI 25~29.9」の人なんですよ。
茂木:え~!? そうなんですか(笑)。ちょっと、僕が嬉しくなりましたね(笑)。 そして、和田秀樹さんは、来年の1月4日(水)には「認知症」をテーマに書かれた新刊「ぼけの壁」(幻冬舎新書)を発売されます。認知症についてはもちろん、もし、認知症を親が患ったら、その子どもたちはどう向き合ったらいいのか? ということについて書かれています。和田さん、来週はぜひ、この認知症との向き合い方についてお話を伺いたいと思います。
和田:よろしくお願いします。 (TOKYO FM「Dream HEART」2022年12月17日(土)放送より)
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