指示役“ルフィ一味”の悪の履歴書〉渡邉容疑者は「約1000万窃盗で最初の逮捕後も詐欺、暴力団関係者のバーに出入り」今村容疑者は「担任いじめ、カツアゲ常習、風営法違反で逮捕」
1/31(火) 20:57配信
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集英社オンライン
東京都狛江市で大塩衣与さん(90)が殺された強盗殺人事件を含め、全国で多発している同一グループによる連続強盗事件で、「ルフィ」などと名乗り、事件を指揮してきたツートップの素顔が見えてきた。
フィリピンの出入国管理施設に収監中の渡邉優樹容疑者(38)と今村磨人容疑者(38)。警視庁が2019年の特殊詐欺事件に関して逮捕状を取って移送手続きを進めている二人は、北海道内で対照的な幼少期を過ごした後に札幌の繁華街で知り合い、暴力団の威光をカサに荒事を繰り返してきた凶悪犯だった。
【画像】真面目だった渡辺容疑者を変えた夜のすすきの。そして今村容疑者との出会い
真面目な剣道青年を変えた札幌での大学生活
渡邉容疑者は北海道東部の別海町の酪農家の家に生まれた。北方四島を臨む領土返還運動も盛んな地域である。
「優樹は小学校、中学校と剣道を続け、隣町の道立高校に進学してからも剣道部の主将を務めるほど打ち込んでいた。成績も優秀で真面目な好青年という感じで、地元にいる間は悪い噂など一切聞いたことがなかったね」(近所に住む男性)
渡邉容疑者が闇社会に足を踏み入れていくのは、大学進学のために別海町を離れ、札幌で一人暮らしを始めてからのようだ。
「札幌随一の繁華街『すすきの』で昼も夜もアルバイトに明け暮れ、そのうち『キャッチ』と呼ばれる客引きをするようになって夜の世界にどっぷりハマっていった。2010年ごろにニュークラブ(内地の高級キャバクラに相当)を経営するようになった」(渡邉容疑者の知人)
この頃、渡邉容疑者は結婚するもすぐに離婚。その後、サパークラブの経営にも乗り出す。
「店の評判は悪いこともなかったが、騒がしい店でね。平気で朝まで営業していて、客の女の子が泥酔して店の前に倒れてるなんてこともしょっちゅうだった。客はたいてい夜の仕事をしている女の子で、サパーにハマってソープランドなどの風俗に堕ちていく子も大勢いたみたいだね」(近隣店舗の経営者)
17歳で少年院へ…今村容疑者の悪の遍歴
そして2012年8月2日、渡邉容疑者は札幌市内のマンションの一室に侵入して現金約1000万円入りの金庫を盗んだなどの容疑で共犯者とともに北海道警に逮捕された。
道警の発表によれば、渡邉容疑者らは同年4月22日未明、同市中央区の元ホストクラブ従業員方に侵入、現金約1000万円入りの耐火金庫と高級ブランド時計(300万円相当)を盗んだ疑い。
渡邉容疑者は知人からこの従業員宅に多額の現金があるとの情報を聞き出し、見張り役など役割分担をして住民を装い、業者を呼んで解錠させて侵入。盗んだ現金を高級外車の購入や飲食店の開業資金に充当したと供述していた。 当時の渡邉容疑者を知る飲食店関係者はこう語る。
「渡邉は筋金入りのワルで同様の手口の余罪も5~6件手がけていて、この頃すでに今村ともつるんで悪さをしていたと聞きます」 極悪ツートップのもう一人、今村磨人容疑者は幼少期から荒んだ環境に身を置き、小学校時代には早くもワルの片鱗を覗かせていた。
「高学年のときの担任教諭は今村にいじめられて卒業式にも参加できなかったそうです。中学時代も不良でしたが、サッカー部に入っていて今よりかなり痩せてて爽やかだったので、モテるタイプのワルでした。 飲酒喫煙をしていることは学校中の人が知っていて、不良の仲間から一目置かれていました。弱くて目立たない子には暴力やカツアゲを繰り返していて、彼の顔色をうかがう人は多かったと思います。施設に入った17歳の頃に両親が離婚して苗字も変わりました」(中学時代の同級生)
今村容疑者も飲食店を経営していた2008年、無許可営業で女性に接待をさせた風俗営業法違反容疑で札幌中央署に逮捕された過去がある。2016年には札幌市内でひき逃げを起こし、ここでも逮捕されている。
今回、警視庁は2人の配下で同じくフィリピンの入管施設にいる藤田聖也容疑者(38)、小島智信容疑者(45)についても特殊詐欺に関わった容疑で逮捕状を取り、移送手続きを進めている。
この事件は2019年、警察官や金融庁の職員などを装って日本に電話をかけ「キャッシュカードが不正使用されている」「銀行口座が不正に残高照会されている」などと言って日本にいる「受け子」たちにキャッシュカードを盗ませ、口座から現金を引き出す手口で、一連の被害は約2300件、被害総額は約35億円にのぼる。
実行犯たちを手足に引き込む際、身上関係や家族構成などを把握して足抜けさせないように恐怖支配を敷く手口は、今回の一連の強盗事件でも共通している。
渡邊容疑者は「何でもやるヤツとして有名」
2016年頃、渡邉容疑者と交流のあった知人が証言する。
「札幌に本部のある山口組系三次団体の関係者が経営にかかわっていたバーに、渡邉は頻繁に出入りしていた。上の人にはペコペコ媚びへつらっていたけど、何でもやるヤツということで有名だった。ヤクザのケツ持ちもいるし、どんどん気が大きくなっていったんだと思う。渡邉にしても今村にしても、ヤクザとして登録があるわけじゃなく、いわゆる周辺者だと思うよ。店の仲間たちは当時、億単位の給付金を詐欺して逮捕された」
フィリピン司法省は31日、4人の身柄引き渡しに協力姿勢を示しているが、今村容疑者以外の3人はフィリピン国内の別の事件の裁判の手続き中であることを明らかにした。
「警視庁はコードネーム『ルフィ』は渡邉とみていましたが、他にも『キム』など複数のコードネームがあり、今村との間で明確に使い分けていたかどうかは現時点では判然とせず、今後の捜査で解明していく方針です。今村容疑者は早ければ2月1日にも日本に移送され、残る3人も近日中にはフィリピン国内の司法手続きが取り消され、移送が実現する見込みです」(社会部記者)
凶悪犯の化けの皮が剥がれる日は近い。