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親子で警察医、力を尽くした検視方法 周囲も「こんなに分かるのか」

2023年08月27日 23時03分32秒 | 医学と生物学の研究のこと

親子で警察医、力を尽くした検視方法 周囲も「こんなに分かるのか」(朝日新聞デジタル) - Yahoo!ニュース 



親子で警察医、力を尽くした検視方法 周囲も「こんなに分かるのか」
8/17(木) 10:40配信

朝日新聞デジタル
コンピューター断層撮影(CT)装置の前に立つ川口英俊医師=2023年6月16日、熊本県菊池市


 「きちんとした根拠を持って死因を判断したい」。警察の依頼を受けて、死因が不明だったり、事件に巻き込まれた可能性があったりする遺体を調べる熊本県内の警察医で「死亡時画像診断(Ai)」の普及に力を尽くしてきた医師がいる。川口病院理事長の川口英敏さん(74)=同県菊池市=。粘り強く、Aiの意義を説き続けた。

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〈死亡時画像診断(Ai)〉Autopsy imaging(オートプシー=解剖 イメージング=画像診断)の略。体の周囲にX線を当て、そこから得られたデータを処理して体の断面を画像化するCT(コンピューター断層撮影)や、磁場を用いるMRI(磁気共鳴断層撮影)により遺体内の状況を診断、死因に迫る。司法解剖などと違い、遺体を傷つけずにすむ。
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【画像】忘れられない解剖、性暴力の理不尽さ あなたは悪くない


 「これでは何も分からない」。25年前、熊本県警から依頼があった遺体の死因などを調べる「検案」をしていた川口さんは、考え込んだ。


 遺体の表面からうかがえることを調べる外表検査や、捜査から得られたその人の持病などの情報に加えて、髄液の検査までしたが自信を持って死因を特定できることは多くなかった。


 ふと思い立ち、やはり警察医だった父が開業し、川口さんも勤め続けている病院の中にあるCT装置を使ってみた。頭部や腹部を「輪切り」にしたような画像からは死因に関する多くの手がかりが得られた。


 「こんなに色々なことが分かるのか」と驚いた。


 例えば溺死(できし)の場合、胃にたまった水や、肺にすりガラスのような影が映ったりする。


 太い血管である大動脈が裂けて破裂する「解離性大動脈瘤(りゅう)破裂」など、外表検査ではまず特定できなかった死因が分かるようになった。


 菊池川で2008年、同一人物の左足と右足が別々に発見され「バラバラ殺人事件か」と騒ぎになったときも、川口さんは足の断面の画像から「切断面がとてもきれいで、人の手で切断されたものではない。腐敗して付け根から落下した」と判断。後に発見された別の部位の状況や橋のはりにロープが通されていたことと合わせて、自殺による遺体と推定された。


 「骨折と出血性病変はAiでほぼ分かります」と川口さん。だが、当初は「遺体のCTを撮ってどうするのか」と、理解が得られなかった。いまでは公費負担となった検査費用も、持ち出しだった。CTでは解明できない心臓関連での死も調べたいと、採血によるホルモン値の検査も始めた。


 「始めたからには、とことんまでやろうという探究心でした。何より、よく分かっていない死因を死体検案書に書きたくなかったのです」と振り返る。


 川口さんの熱意は少しずつ周囲を動かした。まず、県警が「こんなにも分かるのですか」と、興味と理解を示してくれたという。


 07年には県警と熊本大医学部、県警察医会共催の講演会を県内8カ所の医師会で開き、Aiの検案への応用について話した。その後、川口さんは県警察学校で開かれる、検視を担当する警察官を対象にした研修でも講師を務めるようになった。


 県内でAi可能な医療機関は14年の時点で64カ所にまで広がった。医師が病死と診断したものなどを除く、熊本県警が取り扱う「異状死体」のうち、Aiで調べられたものの比率は22年には6割以上にまで及ぶようになった。


 「よくここまで広まりました」と感慨深げに振り返る川口さんは昨年、警察庁から「警察協力章」を贈られた。父子続けての表彰になるといい「父と似たようなことをしてきたんですね。長年の苦労が報われました」と、顔をほころばせた。(吉田啓)


     ◇


 死因の見誤りが事件の見落としにつながった。その教訓から国は、死因や身元を明らかにする仕組みを充実させようと、法律を整え、具体的な政策を進めている。その一環として、死亡時画像診断(Ai)の普及もはかっている。


 国が死因究明の仕組みづくりに力を入れ始めたのは2012年からだ。「死因究明等の推進に関する法律」(2年間の時限立法)やそれに基づく推進計画をつくり、法医学者らの育成、検視を担う警察官らへの研修や医師らを対象にしたAiについての研修の充実など具体的な政策を進めていった。


 その背景には二つの事件があった。一つは、パロマ工業製ガス湯沸かし器による業務上過失致死傷事件だ。警視庁赤坂署の当初の検視で「病死」とされていた男性が、遺族の問い合わせから東京都監察医務院の検案書では「直接死因 一酸化炭素中毒」とされていたことが判明。再捜査や、有罪判決へとつながった。


 もう一つは、大相撲の序ノ口力士暴行死事件だ。序ノ口力士は稽古後に急死。最初に遺体を見た愛知県警犬山署は病死と判断したものの、遺族の希望で解剖された結果、多発外傷による死と判明し、兄弟子3人の傷害致死罪が有罪確定した。


 いずれも被害者遺族の究明を求める動きがなければ事件は見逃されていた。


 19年には新たに「死因究明等推進基本法」が成立。国は一昨年6月、法に基づく推進計画を定めた。計画の中には「死亡時画像診断の活用」の項目を設け、医療機関や大学でAiなどをするための施設や設備の整備費用を国が支援するといった施策を掲げている。(吉田啓)


     ◇


〈死亡時画像診断(Ai)〉Autopsy imaging(オートプシー=解剖 イメージング=画像診断)の略。体の周囲にX線を当て、そこから得られたデータを処理して体の断面を画像化するCT(コンピューター断層撮影)や、磁場を用いるMRI(磁気共鳴断層撮影)により遺体内の状況を診断、死因に迫る。司法解剖などと違い、遺体を傷つけずにすむ。


朝日新聞社







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さすが日本人離れした強さ>藤井聡太王位、防衛4連覇達成で「七冠」堅守 タイトル戦初登場以来敗退無しで“八冠独占”挑戦へ

2023年08月27日 21時03分55秒 | 文化と芸能

藤井聡太王位、防衛4連覇達成で「七冠」堅守 タイトル戦初登場以来敗退無しで“八冠独占”挑戦へ/将棋・王位戦七番勝負第5局

8・23・2023

藤井聡太王位
 将棋の藤井聡太王位(竜王、名人、叡王、棋王、王将、棋聖、21)が8月22・23日の両日、徳島県徳島市の「渭水苑」で行われた伊藤園お~いお茶杯王位戦七番勝負の第5局で挑戦者の佐々木大地七段(28)に勝利。この結果、藤井王位はシリーズ成績4勝1敗とし防衛4連覇を達成した。藤井王位は保持する“七冠”を堅守。2020年のタイトル戦初挑戦以来“敗退無し”の勢いそのままに、前人未踏の全八冠獲得を目指す王座戦五番勝負(8月31日開幕)に挑む。


【中継】藤井王位VS佐々木七段 終局後インタビューと感想戦(生中継中)


 藤井王位が挑む前人未踏の“八冠独占”へ、舞台を整えた。史上初の将棋の8タイトル制覇を狙う藤井王位は、残るタイトル「王座」の挑戦権を獲得しており、来る31日には永瀬拓矢王座(30)に挑む五番勝負が開幕する。大勝負を前に、立ちはだかったのが佐々木七段だった。本シリーズでは防衛4連覇とともに「七冠の堅持」が大きな見どころとなっていた。


 シリーズは藤井王位が開幕3連勝でスタートダッシュに成功したものの、第4局では佐々木七段のエース戦法・相掛かりに敗れシリーズ初黒星。3勝1敗で迎えた第5局・徳島対局では、挑戦者が連勝を目指し後手番で横歩取りを志向した。並行して行われたヒューリック杯棋聖戦五番勝負でも顔を合わせており、“夏の十二番勝負”を繰り広げた両者。藤井王位も普段通りの対応ながら、挑戦者の深い研究を警戒して折り合って比較的穏やかな展開となった。


 2日目午後からは本格的な戦いに。佐々木七段が前日に封じた1筋への角打ちに呼応し、藤井王位は左右をにらむように中央へ角を打って激しい戦いに突入した。持ち時間が切迫する中で佐々木七段は竜を作ることに成功したが、藤井王位は歩を垂らして竜の利きを止め挟撃態勢へ。攻め合いが繰り広げられたが藤井王位は冷静に応じ、最後まで正確な指し手でぎりぎりの勝負を制した。


 この結果、藤井王位が佐々木七段の挑戦を4勝1敗で退け防衛に成功、4連覇を達成。2023年に獲得した棋王位、名人位を含む7つのタイトルを堅守した。藤井王位はシリーズを振り返り、「序盤からじっくり考える将棋が多く、自分に足りないところが明確になったようなところもあったかなと思いますし、そういう将棋をいろいろ経験できたことはとても勉強になったかなと思います」とコメントした。


 藤井王位は2020年のタイトル初挑戦以来、挑戦、防衛戦ともに全17期で敗退経験がない。偉業を引っ提げて、残る最後の「王座」獲得に挑むことになる。


 対するは藤井王位のデビュー以来の研究パートナーでもある永瀬王座だ。永瀬王座は王座4連覇中で、今期は“最強の挑戦者”を迎えて永世称号の「名誉王座」獲得を狙う。名誉王座獲得か、八冠制覇か、将棋界を飛び越えて大きな注目が集まることになる王座戦五番勝負は、8月31日に神奈川県秦野市の「元湯陣屋」で開幕する。


 ◆藤井 聡太(ふじい・そうた) 2002年7月19日、愛知県瀬戸市出身。中学2年生時の2016年10月に史上最年少で四段昇段、史上5人目の中学生棋士となる。2020年度の第91期棋聖戦でタイトル初挑戦。渡辺明棋聖(当時)を破り、17歳11カ月で最年少タイトルホルダーとなった。2023年度には最年少で名人位を獲得し、史上2人の七冠保持者に。獲得と防衛を重ねて、竜王2期、名人1期、王位4期、叡王3期、棋王1期、王将2期、棋聖4期の通算17期。棋戦優勝は9回。通算成績は336勝67敗、勝率は0.834。趣味は鉄道、チェス。









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