痴漢に間違われて人生終了…知っておくべき冤罪リスクの突破術
平穏な日常にある日突然“修羅場”が訪れる。見て見ぬフリをしているだけで、誰もが常にそんなリスクと隣り合わせで生きている。痴漢冤罪、美人局、ネットストーキングetc.。一寸先は闇、人生の落とし穴にハマったとき、生還できるかどうかの分岐点はどこにあるのか? 修羅場を突破する秘策がここにある!
突如訪れる冤罪リスク。性犯罪者の汚名を着せられ人生終了の崖っぷちに
●久米義久さん(仮名・38歳)/システムエンジニア あれは平日の午後8時、ほどほどに混雑した山手線でした。ドアの横に立つ女性の後ろで、スマホ片手に妻とLINEをしていたら「この人、痴漢です!」と甲高い声が。顔を上げると、鬼の形相で女性が僕を睨んでいる。突然すぎて、頭は真っ白。「次の駅で降りろ!」と言われるままに下車すると、偶然一緒に降りた女性客が「痴漢じゃないです」と駅員に説明してくれたので九死に一生を得ましたが、目撃者がいなかったらと思うとぞっとします……
=== 痴漢で逮捕されれば、冤罪を証明するのは100%無理。そんな噂もあり、一瞬で人生が崩壊する「痴漢冤罪」。元警視庁刑事の吉川祐二氏は、当時をこう振り返る。 「新宿署時代は、毎日のように痴漢事案が発生していました。連行されるのは、40代・50代の普通の会社員が多く、被害者が犯人を誤認するパターンに加え、狂言や美人局グループの犯行など、冤罪がなかったとは言い切れません」
そんななか、今年2月25日から3月13日まで、JR東日本が埼京線で痴漢対策アプリの実証実験を行った。スマホのアプリ画面をタップすると、車掌に痴漢被害が起こった旨と車両位置が通知され、車内アナウンスが流れる。さらに、周囲の乗客にも、通知を送る機能があるという。このアプリについて、吉川氏はメリットとデメリットの両面があると指摘。 「痴漢は強く抵抗できない女性を物色して犯行に及ぶので、被害者の助けとなるのは間違いない。一方で、乗客の間で犯人捜しが始まる可能性がある。警察官以外による“私人逮捕”は、現行犯にのみ認められていますが、満員電車では誤認のリスクも否めません」
女性のそばに立つ中年男性は真っ先に疑われ、集団心理の中で「あいつに違いない」という空気が醸成されることは想像に難くない。では、どのような対策を取るべきなのか? 弁護士の岡野武志氏はこう語る。 「まずポジショニングですが、ベストは座っている乗客の前。痴漢のしようがないし、疑われたときも座席の乗客が目撃者となってくれる可能性が高い。次にドア横のコーナーですが、内向きではなくドアの外側に向く。もし密集エリアに押し込まれたら、両手でスマホを操作するのも有効です。操作履歴は冤罪を主張する証拠にもなります」
それでも万が一、犯人に間違えられた場合、「駅長室に連れていかれたら最後」といわれるが? 「駅長室に行くと密室で現行犯逮捕となる可能性が高く、かなり厳しい立場に置かれることは間違いありません。
ですから、まずは現場から立ち去ることを最優先に考える。『自分は絶対にやっていないので、名刺を置いていきます』と渡してもいい。ただ、駅員や女性とのやり取りの中で、立ち去りたいあまりに『すみませんでした』とは絶対に口にしないこと。謝罪は痴漢を認めたと判断される恐れがあります」(岡野氏)
それでも立ち去れそうにない場合、今は緊急時にすぐ弁護士の指示を仰げる「痴漢冤罪保険」が月額数百円で加入できる。焦りから感情的になれば、ますます立場は悪化していくだけだ。 「痴漢冤罪が社会問題化した今、司法も被疑者の声に耳を傾けるようになり、逮捕=有罪とは限りません。ただ、警察や裁判所は供述内容の矛盾点に着目するので、声を荒らげず理路整然と事実を伝えることが何より大切です」(吉川氏) 油断してパニックになることが、痴漢冤罪の最大のリスクだ。
それでも立ち去れそうにない場合、今は緊急時にすぐ弁護士の指示を仰げる「痴漢冤罪保険」が月額数百円で加入できる。焦りから感情的になれば、ますます立場は悪化していくだけだ。 「痴漢冤罪が社会問題化した今、司法も被疑者の声に耳を傾けるようになり、逮捕=有罪とは限りません。ただ、警察や裁判所は供述内容の矛盾点に着目するので、声を荒らげず理路整然と事実を伝えることが何より大切です」(吉川氏) 油断してパニックになることが、痴漢冤罪の最大のリスクだ。
<痴漢冤罪の突破術>
1:ベストポジションは「座席前」。密集エリアでは両手でスマホ
2:駅員や女性との会話、事情聴取では、「すみません」は絶対に言わない
3:駅長室に連れていかれそうなら、痴漢冤罪保険などで弁護士に相談
突如として巻き込まれる「痴漢冤罪事件簿」
●’15年6月 弁護士が逮捕。約1年半後に無罪判決 午前8時頃、JR総武線の新小岩駅~錦糸町駅間の車内で、女子高校生の尻を触ったとして弁護士の男性が逮捕された。「背後から触られた」という被害者の供述に対し、「男性を犯人と勘違いした可能性を否定できない」と結論づけ、東京地裁は’17年1月11日、無罪(求刑罰金50万円)の判決を言い渡した
●’17年6月 痴漢トラブルで20分停車。周囲の乗客の証言に救われる JR総武線の津田沼行き車内で、20代の中国人女性が30代の日本人男性に対して「触られた」と痴漢被害を訴えた。近くに乗車していた人が非常停止ボタンを押し、20分ほど平井駅に停車。だが、片手にスマホ、もう片方の手はつり革を摑んでいたため両手は塞がっていたという周囲にいた乗客の証言により無実が判明した
●’17年8月 満員電車内で手の甲が胸に触れたとして逮捕。痴漢の意図なしで無罪に JR上野東京ラインを走行中の電車内で20代の女性の胸に手の甲を押し当てるなどしたとして20代の男性が逮捕、起訴された。男性側は一貫して無罪を主張。翌’18年9月、男性の手が胸に触れたとする女性の供述は信用できるとしたが、「満員電車の揺れや周りの乗客に押されて生じた接触を意図的に触られたと女性が誤認した可能性がある」「男性による痴漢の意図は認められない」として無罪(求刑・罰金30万円)とする判決が東京地裁で言い渡された