中小企業のES=人間性尊重経営のパイオニア/有限会社人事・労務 ES組織開発・人事制度改革ブログ

社員の幸せ、職場の幸せを基準に経営を、社風を変えたいと本気で思っている社長さん・人事担当者の方へのエールをあなたへ!

「協同労働」からの学び

2021-06-17 20:06:31 | 地域貢献

皆さん、こんにちは。ESコンサルタントの金野です。
このたび、日本労働者協同組合(ワーカーズコープ)連合会の理事に就任致しました。

ワーカーズコープの皆さんとのご縁は、弊社行政書士の矢尾板が、大学の恩師・辻信一先生による学びの場で、協同労働という新しい働くかたちの実践に触れたことが起点です。

「仕事」のアンラーン、リラーン~ワーカーズ・コープ法の成立を受けて▼

その時は、「日本でもこういう組織運営を実践している人たちがいるんだなあ…」とハタから眺める気持ちが強く、ここ数年のティールなど自律分散型組織の学びや、皆で読み進めた『人新世の「資本論」』の内容と重ねつつも、実は身近なところに多く存在する協同労働というものに気づかぬままに、時間が過ぎていきました。

しかし、2020年12月の「労働者協同組合法」成立を経て、矢萩や弊社メンバーで勉強を重ねるうちに、「労働・経営・出資」という三位一体の働くかたちが、わたしたちが日ごろ取り組む「ES(人間性尊重経営)を軸とした組織づくり」のプロセスと重なる面が多いことを知り、特に、対話の文化を大切に個々が主体的に事業運営に参画している姿にとても心動かされるものがありました。

そして、組織づくりのありかたが再定義された感覚に至る中で、今回の理事就任のお話をいただき、弊社にとっても自分自身においても、意味ある機会としてありがたく受けさせていただきました。

話は広がりますが、
今わたしは、朝ドラ『おかえりモネ』を観て一日をスタートすることを毎日の楽しみにしています。

ドラマの舞台である宮城の緑深い登米の山々で林業を営む方たちや、気仙沼の海と共に生き抜く方たちの姿は、JESの新春セミナーで鑑賞した映画「Workers」に登場する方たちと重なり、
愛着ある地域での生きざま、誇りや気概あふれる仕事ぶりに触れながら、「働く」の本質を考えさせられるひとときともなっています。

そして、ある回では、
主人公・モネの妹が、震災から未だ復興途上の地元の水産業(カキ養殖)の将来を憂い、
「限られた産地の種ガキに頼っていたら、そこがダメになったときどうしようもなくなるから!地場採苗は絶対に必要だし、不可能じゃないって言えるデータだって集めてる!高校生の自由研究だからってバカにしないで、本気で一緒にやってよ!」
と、金銭的な面を軸に”無理””できない”と物事を判断する祖父や父親に対して叫ぶ場面があるのですが、
これには、資本主義経済のお金優先の枠組みの中でなりわいを持続させることを当たり前に捉え、自然との共生や地域の文化・風習などもっと広い枠組みで持続的な”はたらく”を捉える視点を見失ってしまっているわたし自身の認識の存在にも気づかされ、大変印象的な回となりました。

哲学者の内山節さんは、その著書の中で「地域の労働体系をどうつくるかが大事で、経済が先ではない」ということを述べているのですが、
この、モネちゃんの妹がまっさらな思考から描く地域の未来は、「緑豊かな山々から注がれる川の水のおかげで栄養豊かになった海によって命が育ち水産業が活性化する」という、まさに”地域の豊かな資源で育まれた関係性から生まれる労働体系”の中で生きる人々の働く笑顔。
このように、生まれ育った地域で培われた”働くワクワクの根っこ”が、社会に出た途端に失われるようなことがないように、わたしたち大人が、これから社会に出てくる若手世代に向けて、つながり豊かな働く場(コミュニティ)を持続させていかないといけないと強く思うわけです。

そのためのヒントが、ワーカーズコープの皆さんの「地域に必要な仕事を自分たちで興しはたらく」という形にあるのではないかと感じています。

例えば今後、
人生100年時代におけるシニア活躍推進の動きの中で、企業が取り組む”創業支援措置”の一環として、コミュニティ経営を実践する企業が別の組織体として労働者協同組合を立ち上げるケースも出てくるでしょう。
また、将来の起業を志す若者が、地域の課題解決を意図した働き方として労働者協同組合という経営の形を選択するケースも出てくると思います。
わたし自身、社会保険労務士事務所で働くESコンサルタントとしての仕事を通して、
協同労働という経営の形・働き方の選択肢をお伝えしながら、
多様で創造性あふれる働くかたちを地域に広げていければと思いますし、
何より弊社には、小さな協同労働の実践の場として、903シティファーム推進協議会が運営する「田心カフェ」があります。

内的動機に突き動かされた多様なメンバーが集う田心カフェという場を通して、地域の声に耳を傾けながら、おたがいさまの精神で共に創り上げる経験を重ねていければと思っています。

これから、ワーカーズコープの皆さんの働くかたちから大いに学ばせていただき、
”会社(雇う側)と社員(雇われる側)””仕事は会社でするもの”といった無意識の固定概念が昇華された、本来の「働くよろこび」を職場という場でも感じられるような二項動態のコミュニティ型の組織を地域に増やしていきたいと考えています。

どうぞよろしくお願い致します。