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夢の終わり

 松井が現役引退を表明した。

以下に報道陣とのやりとりを載せる。

 -引退を決断したタイミングは
松井 常にありましたけど、傾いたのはつい最近ですね。

 -巨人から復帰の誘いは
松井 10年前、ジャイアンツの4番バッターということに対して誇り、責任を持ってプレーしていたつもりです。もし戻ってプレーすることになれば、たくさんのファンの方が10年前の姿を見たいと思うし期待します。正直言いましてその姿に戻れる自信が強く持てませんでした。

 -巨人とヤンキースについて
松井 巨人は故郷(ふるさと)のようなチーム。ヤンキースはあこがれていたチームでしたが、家族のような時間があったし、家族の一員になれたような気がします。

 -20年間で一番の思い出は
松井 いっぱいありますね。(しばし考え)やはり、長嶋監督と毎日、2人で素振りした時間ですかね。一番印象に残っています。

 -最初に報告したのは
松井 妻です。「お疲れさま」と。そのひと言に集約されています。彼女が一番のファンでいてくれたと思いますし、支えてくれました。ケガをしてから結婚したので心配をかける時間が多かった気がします。普段は球場には来ませんが、2009年のワールドシリーズは全試合球場で観てました。唯一の恩返しですね。

 -長嶋監督には報告したか
松井 報告はしてあります。電話だったのですべての気持ちは伝わったかどうか分かりませんが、少し残念な気持ちと、よく頑張った、ご苦労さんという気持ちと両方あったような気がします。

 -松井選手にとって長嶋監督とは
松井 プロ野球選手としての心構え、練習への取り組み方、試合への取り組み方、すべてにおいて学んだことは20年間の大きな支えになりました。

 -今後について
松井 これまでの経験をいろんな世代、いろんなファンに伝えていけたらいいですね。ただ20年間、プロ野球しかやっていませんから、いろいろ勉強しながら土台をつくる時間が必要だと思います。

 -悔いは
松井 その時、その時に自分で決断してきましたし、何一つ後悔はないし(心残りも)ないですね。

 -今の心境は
松井 寂しい気持ちとホっとした気持ち。いろんな気持ちがあります。複雑ですね。「引退」という言葉は使いたくないですね。草野球の予定も入っているし、まだまだプレーしたい(笑い)。

 -今、自分にかけたい言葉は
松井 「よくやった」という気持ちはありません。「頑張ったね」というのもない。そんなに苦労した思いもないですし「もう少しいい選手になれたかもね」ですかね。

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四編まとめて

 寝るのを惜しんでレゴばかり作っていた私だから、当然読書量は激減した。このブログを振り返れば一目瞭然だろうが、読んだ本の感想文など随分書いていない。いくら何でもそれはダメだろう・・、と最近ようやく思うようになったので、「戦争と文学」から手頃な長さの小説を幾つか読んでみた。その感想をまとめて以下に記してみようと思うのだが、レゴ呆けの私にうまく書けるかどうか・・。

 辻邦生「叢林の果て」(第3巻「冷戦の時代」より)
辻邦生は20代半ばにまとめて読んだはずだが、この作品は読んだことがなかった。舞台は、南米と思しき地域のゲリラ戦、まさにチェ・ゲバラが生きた時代。数年前に見たゲバラの映画を思い出しながら読んでいったが、辻自身が体験したかのような筆致の鋭さには驚いた。「すごい作家だな」、と辻邦夫の偉大さを再認識できた。(そうだ、「辻邦生全集」買わなくちゃ、と思って探してみたが、全巻揃えるとなるとかなりの出費になるようなので、未だ思い切れず・・。情けない・・。)

 野間宏「第三十六号」(第11巻「軍隊と人間」より)
陸軍刑務所での話。脱獄を繰り返した男を観察したものであるが、正直、創作意図がまったく分からなかった。私が、戦争を忌み嫌うのは、軍隊という組織が嫌で堪らないからでもあるが、軍隊のもつ非道さを糾弾するでもなく、野間宏は何故こんな作品を書いたんだろうと、不思議でたまらなかった。

 中島敦「巡査のいる風景」(第17巻「帝国日本と朝鮮・樺太」)
少年時代をに植民地・朝鮮で過ごした中島敦が、彼の見た朝鮮の実情を、巡査として日本に仕える朝鮮人の目を通して描いた作品である。だが、読後は心が塞いだ。日本に対する「恨」が朝鮮民族の中に深く根付いていることを垣間見せてくれたが、それはあくまでも日本人・中島敦が描き出したもので、実のところどれだけ描き出せているのか、私には分からない。 

 李恢成「砧をうつ女」(第17巻「帝国日本と朝鮮・樺太」)
この作品の入った単行本は書棚にあるから、中学生か高校生の頃に読んだはずだ。しかし、読み始めてみたら、その内容をまったく覚えていないことに気づいた。この小説を読んで当時の私は何を感じたのだろう。改めて読んでみて、幼くして母を亡くした者の持つ、母への追慕が滲み出ていて、読む者の心を打つ作品であった。それは民族という垣根を超越した人類共通の思いであり、そうした共通項に立つ限りは、民族間の対立も乗り越えられるのではないか、などというユートピア的考えに引き込まれそうになった・・。

 
 来年はもっと本を読まなくちゃいけないなぁ・・。
 
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