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百人一首から

 トイレに妻が高校生の頃使っていた百人一首の解説本が置いてある。座っている間に何首かまとめて読んでみるのだが、なかなか諳んじることができない。鬼のような記憶力を誇っていた高校生の頃だったらすぐに覚えられたのに・・と、若い頃の不勉強さを呪うことしばしばだ。
 
 そんな私のトイレでの勉強の中から、今の季節にぴったりの和歌を一首選ぶとするならば、次の 左京大夫顕輔 のものだろう。

 「秋風にたなびく雲のたえ間より 
        漏れ出づる月の影のさやけさ」 


 歌意は「秋風に吹かれて、長くたなびいている雲のきれ間から、射しこぼれてくる月の光の清らかなことであるよ」と解説本に記されているが、こんな散文では表しきれない情趣に溢れていて、藤原定家が「麗様(端正な歌)」の体の例歌としたのも首肯できる。
 日に日に秋は深まっているが、雨天続きで秋の月を拝することができないでいるのは残念だ。
 だが、今度月夜に恵まれたら、この歌が吟唱できるよう、何度も繰り返し暗唱せねばならない。
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