1分で読める小さなお寺の法話集

子育て、人材育成に関する法話を実話と歴史から紐解いて書いております。

【2211話目】理科系大学、同大学院を卒業、その分野の会社に入社、技術者として働いている30代男性が「住職、私達技術系の研究者の世界は、100人の凡人がいるよりも、1人の天才がいればいい」と。

2021-07-05 13:30:47 | 法話

30年前、門前脇の修行大師石像前の花立を板金屋さんに依頼。社長が1m真四角のステンレス板を木槌1つで設計図もなく、墨付けもせず、難なく作り上げた。「凄いですね」と声掛けすると「長年の勘だよ」と。「後継者もこれ、出来るの」「どうかな。ある程度なら誰でも努力で。プロ中のプロは天性の器用さが」と。

【追伸】
投稿写真のステンレスの花立がそれですが、水子地蔵さんの前にも全く同じ寸法の花立が。木槌1つで、平なステンレスの板から全く同じ物を2つ。見事としか言いようがない。現在95歳の宮大工棟梁には拙僧、大工仕事で相当に鍛えられた。こうでないといけない、という正論を悉くひっくり返され、こだわる事の意味のなさ、を身をもって悟らされた。どんなプロ(名匠)でも、失敗はする。その失敗が、如何に酷く、修正不能と思われる失敗でも、必ず工夫して仕上げ(修正)てくる。プロと素人の差はここにて。大工とは、大きく工夫の出来る人。