【12月15日投稿分】
拙僧の法話読者の男性から「12月10日と12月12日に投稿された、50組以上仲人をされたという住職のお爺様の『30歳過ぎた独身の子供がいたら、親が売って回らんと、買い手はつかん。明治の時代でも、大正の時代でも、昭和の時代でも、結婚に対する若者の尻込みは変わらん。後押しする、大きなお世話人間、がいるか、いないかだ』の言葉、住職が言うように、激しい言葉ではあるが、考えたら、昨今の『親活』の走りですよね。その親活も、住職の檀家の若者達が『親が選んできた相手だから、安心して付き合う事が出来る。その人と結婚まで行くかどうかは、別の話だよ、住職』と言ったという言葉にしても、なんか私も、娘に対して勇気が湧いてまいりました。有難うございました。ところで、この住職のお爺様ですが、他にも何か、お爺様に関する面白いお話がありそうで、それを聞かせて頂きますれば」と。「ありますよ、掃いて捨てるほど。書くのはいいですが、昔の話ですので、その話を読まれた人達が文句、批判を言ってこなきゃいいですが」と。
この読者男性に「拙僧の爺様は、明治41年から平成2年まで生きた人で、戦時中は満州で向こうの人を数百人雇って土建屋の親方を。爺様の葬式の時、どこで爺様の死を聞き付けたのか、中国の人が3人、会葬にみえられ『満州では、親方に命を助けられました』と泣きながら拙僧に。通夜、葬儀の時には、家族が知らなかった故人の情報を聞かされる事がよくあります。その様な事がある度に『通夜、葬儀(拙僧はこれまでに1000人以上の葬式を)は、絶対にしなくちゃならんよな』と、つくづくそう思いましたね。
話は戻しまして、その満州時代に当時、満州(満州政府養成機関)に来ておられた三原朝雄(文部大臣、防衛庁長官など)さん(明治42年生まれ)と爺様は知り合う事に。日本に帰ってからも、付き合いは続きました。拙僧が18歳になってからは時折、『連れて行け』と爺様の命令で福岡県遠賀郡にある三原朝雄さんの事務所に自動車で。三原さんと爺様が並んでソファに座っている姿は、カタギのそれには、到底見えなかったですね。土建の親方衆が事務所に入ってくるや否や『親父(三原朝雄さん)さん、仕事をくれや』と。対し、三原さんは開口一番『俺の取り分は』と。このやり取りだけを切り取ったら『なんちゅう世界や』と思われるが、このやり取りで、確実に仕事が親方衆の元に。そのやり取りを見ていた18歳の拙僧に爺様が『博(博文、拙僧の俗名)よ。綺麗事では飯は食えん。政治家は人間の欲を相手の、大変な仕事なんだ。石川五右衛門が辞世で言ったろ『浜の真砂は尽きるとも、世に盗人の種は尽きまじ』と。談合とは信頼の表れだ。談合をする事で、危ないよそ者の侵入を封じる事が出来るんだ。人を動かすには、金が掛かる。金を使わにゃ、人は動かん。その金は現場のもんにとっては、死に金にはならん、生きた金だ。世の中には、文句言いが数多におるが、それそのものに対し、知識のない人間が、薄っぺらい正義感をかざして文句を言ってきよる。但し、取り分の取り過ぎは、あかんぞ』と拙僧に。
続けて、この男性読者に「爺様は満州から帰国後、山本工作所(北九州)を女性創業者と共に立ち上げを。その配下で爺様は、下請け会社を設立。檀家の水道工事の社長さんが、爺様が他界した後に面白い話を。『住職よ、爺ちゃんは面白い人だったよな。工事の見積もりを持って行ったらくさ、高い、下げて来い、と。下げて持って行ったら、また、下げて来い、と。仕方ないので、また下げて持っていくと今度は、俺の取り分は、と。グラグラ頭にきたんで、初めに持って行った見積もりの倍額の見積もりを出したんだ。すると大きな声で笑って、よし、これでやれ、と。爺ちゃんだが、他界した時、お金がほとんどなかったろ』と拙僧に。『税理士さんから、6000万円以上あったら、税金が掛かるから、正直に言わにゃ駄目だよ、と言われたが、ほんと、300万円しかなかったんだよな』と。『そうだろうな。だって、従業員の人達に会社をたたんで残ったお金を、全て配分してやったもんな。みんな、すっごい喜んでたよ』『えっ、そうなの、知らんかった』『男気のある人だったもんな。亡くなる少し前(平成元年頃)だが、当時の政治家達に対して、数百万、数千万くらいの細い金に対し、ガタガタ言いおって。人を動かすにゃ、金が掛かるんだ。金が動かにゃ、人も動かん。綺麗事より、国を動かせや。そんなけつの穴の小さい事ばかり言ってては、一筋縄ではいかん隣国どもと対等に渡り合えん、と、いつも怒ってたな』『他界するその日まで、元気だったからね、爺様は』と、この水道工事の社長さんと、そんな懐かし話をしましたね。この一連の話は、あくまでも爺様の話だから、昔々の話だから、読者の方々だが、拙僧に文句、批判を言って来なきゃいいんだが」「大丈夫だよ、住職。必ず文句、批判を言ってくるよ、何人かは。そんなご時世だよ、今の世は、諦めな。特に今は、自民党の問題が」と。「人に散々しゃべらせておいて」「そんな事よりも住職、また、お爺様の別の面白話(豪快話)を聞かせてよ」「読者の方々が、矢玉の様に文句を言ってこなきゃ、また、書かせてもらうよ」と。
投稿写真は、わが寺の客殿に置かれている達磨さんです。前にも言いましたが、柘植(つげ)の根で彫られている貴重なものです。わが爺様にそっくりです。さて、次回の投稿法話は、12月20日になります。