1分で読める小さなお寺の法話集

子育て、人材育成に関する法話を実話と歴史から紐解いて書いております。

【住職の法話。考え方を少し変えるだけで、苦しい人生が、楽しい人生に】 檀家の高校生男子から「住職は、華岡青洲さんという人を知ってますか」と。今日は、その会話の話を一席。

2024-04-14 10:34:54 | 法話

【4月15日投稿分】  今日は、実るほど頭を垂れる稲穂かな、の法話を一席。


檀家の高校生が「住職は、華岡青洲っていう人、知ってますか」と。「知ってるよ。確か、15年程前、NHK で『華岡青洲の妻』というドラマがあったよね」「僕ね、それを最近見たんだ。それを見て、医者の職業っていいな、と。感銘を受けた場面は、青洲さんの妹が乳癌になって、紀州(和歌山県)で最も腕のある名医と言われていた兄の青洲さんに、切開手術を懇願するが、研究に没頭していた麻酔薬が、まだ、完成しておらず、手術が出来ずに妹さんは死去したと。その時『人が病気で死ぬのは、いつも、医術が至らないからなのだ』と言った場面。住職が時々法話の中で、知人医師が『病気は気から、じゃないから、我々の仕事があるんだ』と言われていた、とか、『医者は助かる人間しか、助ける事は出来ん。助からない人間を助ける事は出来んのだ』と言われていた、とか。そんな言葉を聞いた時、大変な仕事だけど、やり甲斐のある仕事だな、といつも思っていたんだ」と。


そう話す高校生に拙僧「知人のその医師はこんな事も言われていたんだよ。『人の命を救っているは、医者だけではない。どの職業(専業主婦も含)の人も、人の命を支えてくれている。医者は特別だと勘違いしてはならん』と。ある時、檀家の男性が(60代)がこの医師に『暴飲暴食、酒、煙草、止める気はない。あんたはプロだろ。俺の体を治してくれればそれでいいんだ』と。対し『あんたは私に何を期待しとるんだ。やりたい放題やって、体を治せだと。酒や煙草、暴飲暴食をやめる気になってから出直して来い』とこの男性に。お寺でもそうだよ。浪費、浮気、ルーズと利己主義を貫き、散々人に迷惑を掛けておりながら神仏には『幸せにして下さい』と願う人達が一定数はおらっしゃる。神仏も呆れて『わしらにいったい何を期待しとるんだ。人は自分がやってきた事だけが、今の結果だわい』と言われとりゃせんかな。この知人医師の所へは、檀家さんを相当行かせたが、もう、この世におらっしゃれん。頭の低い、人情み溢れる人だったよな」と。


続けて拙僧、この高校生に「華岡青洲(1760年〜1835年)さんといえば、世界初の全身麻酔による乳癌摘出手術に成功した人だもんね。麻酔薬というは、紀元前から存在していたらしいが、効き目が弱くて、副作用が酷かったらしいもんな。青洲さんが麻酔薬の研究で注目したのは、チョウセンアダガオ(曼荼羅華)だったと。鎮痛、麻酔効果があるが、毒性が強いので処方を謝れば、死んでしまう恐れがあったと。動物実験を何度も繰り返して、動物では成功したんだが、あとは人間に通じるか、だったんだと。そこに『私の体を実験に使ってください』と名乗り出たが、清州さんの奥さんだったと。それが元で晩年、奥さんは失明されたそうだけどね。何でもがそうだが、1つの物を成功させる為には、何かしらの犠牲が伴うよね。いつの世も、そういった事情を知らない周囲は、その場の結果だけを見て、大騒ぎして、何じゃ、かんじゃ、と責め立ててくるけどね」と。


続けて拙僧、その高校生に「そうした家族の犠牲によって、遂に麻酔薬『通仙散』というが完成を。そして、1804年10月に、世界初の全身麻酔による乳癌摘出手術を成功させたと」「だけど、住職、摘出手術は成功はしたけど、その女性は助かったのかな」と高校生が。「転移、または再発、って事かい。その事までは、知らんな。だけど、西洋で初めて麻酔による手術が成功したは、青洲さんの手術の42年後だった、というから、青洲さんの功績は大きいよね。その後、青洲さんは、乳癌だけでなく、弾丸摘出、痔瘻、膀胱結石、白内障、舌癌、動脈瘤、結核性腫瘍、顔面整形、腦水腫の手術もやったらしいよ」「それって、200年以上前の事でしょ」「そうなんだよ、200年も前の話なんだよ」「青洲さんが現在に存在していたら、どんなものを残していったんでしょうね」と高校生が。


最後にこの高校生に「拙僧はこれまでに、1000人以上の葬儀と、その数倍の人間の『生き死に』に関わってきたが、その中の1例だけどね、あるご主人(当時80代)が他界する1ヶ月程前、奥様のいる前で拙僧(当時40代)に『住職よ、俺が死んだら、形だけの葬式はしてもいいが、浄土へは送るな。この家で家内が死ぬまで付き添って、一緒に浄土へ逝く。その時、一緒(夫婦共)に葬式をしてくれ』と。続けて奥様に向かって『どこにも行かん。ここにおる。が、言葉を掛けても、物は言わんぞ』と。すると奥様が『それは、一休宗純さんの言われた言葉ですよ』と微笑みながら、ご主人に言われていたな」と。


この檀家の高校生との会話は、今年の拙僧の誕生日、4月12日(拙僧62歳)の夕方、わが寺の本堂前で交わされたものですが、この高校生が帰り際に「住職さん、お大師さんの後方の藤の花(投稿添付写真)だけど、綺麗ですね」と。「そうだな。ところで君は、こんな詩を知ってるかい。『下がるほど、人の見あぐる藤の花』という言葉だが」と尋ねると「いいえ、知りません。どんな意味ですか」と。「藤の花は下がれば、下がるほど、人が『綺麗な花ですね』と見上げるだろ。その様に、人間も謙虚な人ほど、頭を下げるから、周りの人達から『この人は素晴らしい、立派な人だ』と敬われる。医者を目指すなら、そんなお医者さんにならにゃあかんよ」と、この高校生に。


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【追伸】尚「法話が長い」と不快感を示されておられる方々には、大変心苦しく申し訳ないので、拙僧の法話が目に入らない様に『ブロック』をさせてもらっております。楽しみにされている方々もおられますので、ご理解頂きまして、それでどうか、ご容赦くださいませ。


次回の投稿法話は、4月20日になります。






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