脚本家橋田壽賀子さんが、自ら遺言のつもりで書いたという脚本
「99年の夏」が5夜にわたりTBS60周年記念ドラマとして放映されました。
橋田さんが生涯のテーマに掲げてきた<戦争と平和>を描く最後の作品
として構想4年を経てオリジナル脚本を書き下ろした作品です。
85歳の橋田氏は「戦中戦後を生きてきた者としてアメリカほど嫌いなもの
はない。」と思っていたが、メジャーリーグ選手のイチローがアメリカに好印象
を持たれていることから取材を始めたそうです。
「本当にこの脚本が書けて幸せ」と晴れやかに話していました。
今から99年前に夢を追ってアメリカに渡った日系人(平松長吉一家)
の物語。
異国の地で、人種差別や戦争による苦難に立ち向かってたくましく、
そして愛にあふれた人生を送っていく姿が描かれています。
日米開戦で日系人は砂塵の舞い上がるマンザーナ収容所へ、苛酷な生活
にもめげず働く。長男一郎は、家族を守るために自らアメリカ人として日系人
だけで編隊されている442部隊に入隊してヨーロッパ戦に・・・・そして戦死
(442部隊は最も危険な場所へ配属)
また長女しずと妹さちは共に日本へと、それぞれ広島、沖縄での暮らしも
食糧難の時代、苦しい生活を強いられる。広島の原爆により、しずは死亡。
さちはデザイナーとして生きてきた。そして孫を伴いメジャーで活躍する
イチロウ選手を見にアメリカへと、
長吉夫婦はすでに居ないが、次郎と一郎の嫁しのぶと再会、自分達は
両親から捨てられたと思っていたさちの憎しみも、アメリカでの苛酷な生活
を送った両親、兄弟たちのことを知り氷解する。
わたしもしずやさちの時代を生きてきました。戦争中は憎き米英でした。
戦後すぐは進駐軍による暴力がないかとおびえたこともありました。
しかし、日系人がこれほど苦労をしたことは、想像はしていましたが、事実は
もっと酷でした。世界から戦争だけはあってはならないです。
橋田さんは、<戦争と平和>のテーマではかつてNHKで放映された
「ハルとナツ」-届かなかった手紙ーも作品を書かれています。