山口 恵以子著作 「月下上海」 は第20回松本清張賞の受賞作です。
スキャンダルを逆手にとり人気画家にのしあがった財閥令嬢・八島多江子
が主人公、戦時下に日本を離れ、上海に渡り、上海で多江子が出会う四人の
男たちとをめぐってのの謀略と、恋愛の物語です。
奥宮瑠偉 元夫 愛人と組んで妻(多江子)殺害の計画・・・しかしこれは
多江子の仕組んだもの・・・・スキャンダルの素
槇庸平 招聘元である中日文化協会に潜入していた憲兵大尉
重慶に逃れた蒋介石政権と通じている証拠を探すように強要
される
夏方震 槇に近づくことを強要された民族資本家、しかし多江子は、
その人間的な大きさに惹かれて行く
黄士海 医学生ながら抗日運動に身を投じる
昭和17年の上海を舞台に、これら4人の男性をめぐってスパイ活動に手を
染めたヒロイン、ロマンスが交錯するストーリーでした。
著者 山口恵以子さんは早稲田大学文学部出身、小説家でありな
がら社員食堂で働くおばちゃんです。
上海と言えば昔から歌にも歌われたように華やかな都会です。自由
貿易都市でもあり、戦時下でもその様子は伺えます。中国 ロシア、日本
フランス、イギリスなど多くの人種の街でした。・・・上海には南京条約による
外国人居留地(租界) が多くありました。
虹口(ホンキュウ)四馬路(スマロ)フランス租界、上海の街は戦中か
ら戦後にかけて当時ダンスホールで働いていたダンサーたちは大連、ハル
ビンへと海外へ働き場所を求めたものです。
これらの都市の名前も本には多く見られました。
わたしは中国旅行(10年前)の際、上海も訪れましたが今や国際都市
で世界の企業も進出、ビルの高さは世界に誇る高層に目を見張ったもの
です。空港の大きさも成田の比ではないでした。
上海空港