醸楽庵(じょうらくあん)だより 

主に芭蕉の俳句、紀行文の鑑賞、お酒、蔵元の話、政治、社会問題、短編小説、文学批評など

醸楽庵だより  986号  白井一道

2019-02-02 13:23:01 | 随筆・小説



  ハンガーストライキをした青年


侘助 沖縄、辺野古に米軍の新基地を日本国民の税金で建設することに反対か、賛成かを問う県民投票に反対し、県民投票に参加しないと言っている宜野湾市、うるま市、沖縄市、石垣島市、宮古島市の五市に参加するよう訴えるハンガーストライキを1月15日から19日まで5日間行った青年がいた。元山仁士郎さんだ。県民投票を求める会の会長をしている青年のようだ。
呑助 今時、ハンガーストライキなどということをする人がいるんですね。
侘助 ハンガーストライキなどして、何が変わるのという気がしたな。
呑助 私もそんな風に思いますね。私たちだけじゃないでしょうね。
侘助 橋下徹氏などはっきりテレビで発言していた。県民投票自体法的拘束力がない。そのような無意味なことは直ちに止めた方がいいと述べていた。
呑助 私もそのような意見に頷いてしまうように思いますよ。
侘助 でも実際はそうじゃなかったようだよ。元山さんは宜野湾市に住んでいる。彼は宜野湾市役所前で五日間ハンガーストライキをした。その間、彼は県民投票に参加しないと言っていた市が県民投票に参加するよう求める請願書名をしていた。
呑助 署名やハンガーストライキなどという運動が実を結ぶことなんてあるんですかね。
侘助 ハンガーストライキをしている元山さんを見た公明党の県会議員さんが心を動かし、自民党に働きかけ、投票が二択でなく三択なら県民投票にへの参加を検討するということになった。
呑助 若者のハンガーストライキが社会を動かしたということなんですか。
侘助 私は辺野古米軍新基地建設に賛成だけれども県民投票に参加しないということには反対だと述べ、県民投票参加を求める請願書名に署名してくれた人がいたようだ。
呑助 それが民主主義というものなんでしようね。
侘助 元山さんの訴えも「民主主義とは、何だ」ということのようだった。 「2019年の民主主義国家と言われている日本、沖縄において、住民の口をふさぐという行為があり得ていいのか。投票権を奪うのは人権侵害だ」。「『自分は埋め立てに賛成だけど、投票権を奪うのはおかしい』と言って署名する方もいた。県民投票に疑問を持ってる人も白票を投じたり、投票に行かないということもできる。そういう全部の声を投票で選ばれた市長が奪うことにものすごく違和感を感じる」。「終戦から23年が経過した米統治下の1968年、自治権獲得を求める長い住民運動の末、主席公選が実施された沖縄。元山さんは「沖縄は(主席公選の)投票権を50年前にようやく勝ち取った。それを今、沖縄の市長たちが取り上げるというのはすごく皮肉なことだと思う」と語り、繰り返し5市長に翻意を促した」とニコニコニュースデジタル版は報じている。
呑助 県民投票の結果は法的な拘束力はなくとも政治的に大きな意味があると言うことなんですかね。
侘助 安倍総理もよく「沖縄の民意に寄り添う」という言葉を使うが今回の施政方針演説では沖縄の民意に寄り添うと言う言葉はなかったようだ。沖縄の民意に寄り添うと演説し、辺野古埋め立てを強行するわけにはいかないからかもしれませんな。
呑助 そうですよ。口先だけでも沖縄の民意に寄り添うとは言えない状況があるということなのかもしれませんよ。
侘助 沖縄県会野党の自民党、公明党は全会一致で県民投票をしようということで意思が決まったのかというとそうではなかったようだ。五人の自民党県議が反対し、白紙の議員もいたようだ。
呑助 県民投票不参加の市があるという報道はたくさんあったように思いますが県民投票に沖縄全市が参加するようになったという報道は少なかったように感じますね。
侘助 日本のマスコミは自主規制している。自由な報道がないのかな。