ウソをつく統計
侘助 年金生活になってから生活の豊かさのようなものを感じることがなくなってきたな。
呑助 そうですよ。私なんかもケチケチした老後生活ですよ。1000円会費の飲み会ですよ。
侘助 給与は上がっているというテレビ放送は自分とは無関係なことと思ってしまうよ。
呑助 政府は嘘を言っていたようですよ。
侘助 厚生労働省の統計に嘘があったようだ。アベノミクスで景気が良くなったというマスコミ報道は嘘だったのかな。
呑助 統計の仕事をしている職員は女性が多いらしいですよ。
侘助 そうなんだ。
呑助 統計関連の部署に女性が配属されるとずっとその部署から離れることがなく、昇進もしない。男性職員は配置転換され、出世もしていく場合が多いようですが、女性の場合は配置転換もなく、出世もないということで裁判に訴えている女性職員がいるらしいですよ。
侘助 へぇー、そうなんだ。統計というものはそもそも重要なものだという認識が政府にないのかもしれないな。統計法を設けた目的は何かと言うと「国民経済の健全な発展及び国民生活の向上に寄与することを目的とする。」と書いている。国民生活の向上を実現するための統計なんだ。
呑助 統計という職務に携わる職員を冷遇するとは、統計法という法の趣旨を尊重していないということですか。
侘助 国際NGO「オックスファム」は、2018年の報告書で、世界で1年間に生み出された富(保有資産の増加分)のうち82%を世界で最も豊かな上位1%が独占し、経済的に恵まれない下から半分(37億人)は財産が増えなかった。国際NGO「オックスファム」は2019年版をダボス会議に向けて1月に発表した。「世界のお金持ち上位26人が、世界のボトム・ハーフ(貧しい半数)の38億人と同じ額の資産を保有している」と報じている。「昨年1年間でボトム・ハーフの資産は11%も縮小する一方で、ビリオネアの資産は12%も拡大。1日に25億ドルずつ増加」「十分な医療を受けられないため、推定約1万人が毎日亡くなる一方貧しい国々では貧困家庭の子供は裕福な家庭の子供より5歳までに死ぬ割合が平均で倍近く高い」「両親が学費や制服、教科書代を負担できないことなどを理由に、学校に行けない子供は2億6200万人。貧富の格差は教育格差も広げている。世界トップ1%のお金持ちが資産の0.5%に相当する税金を納めれば年4160億ドルが集まる。これを元手に学校に行けない子供たちを救い、医療サービスの提供で330万人の死を防ぐことができる」と報じている。
呑助 貧富の格差は統計によって明らかにされるということなんでしょうね。
侘助 政府は貧富の格差を明らかにしたくない。だから統計をないがしろにする傾向があるのかもしれないな。
呑助 現実を現実として受け入れないという傾向が政府にはあるのかもしれませんね。
侘助 資本主義経済というのは必然的に貧富の格差を大きくする傾向があるように思うな。
呑助 自由主義経済というのはそのような傾向があるということなんですね。
侘助 マルクスの思想には永遠なものがあるように思う。生産の社会性と生産手段の私的所有制の矛盾をどのようにコントロールするかという所に問題があると考えているんだ。戦後日本経済は社会主義的であったという話を聞く。その理由は生産の社会性を統制し、生産手段の私的所有を統制した。そのことを護送船団方式と言っていた。資本主義経済を大蔵省や通産省が統制していた。統制経済が戦後日本の経済態勢だったが、1990年代以降新自由主義経済体制を取るようになってから赤裸々な自由競争、小さな政府の実現=社会保障の削減、これが格差社会を生んでいる。