醸楽庵(じょうらくあん)だより 

主に芭蕉の俳句、紀行文の鑑賞、お酒、蔵元の話、政治、社会問題、短編小説、文学批評など

醸楽庵だより   1300号   白井一道   

2020-01-14 14:24:24 | 随筆・小説



   徒然草126段 ばくちの、負極まりて


原文
 「ばくちの、負極まりて、残りなく打ち入れんとせんにあひては、打つべからず。立ち返り、続けて勝つべき時の至れると知るべし。その時を知るを、よきばくちといふなり」と、或者申しき。

現代語訳

 「博打の負が極まり、残った金もすべて賭けようかという時には、賭けてはならない。平常に立ち帰り、続けて勝てる時が来ることがあると気付くべきだ。その時を持ち得る人を良き博打ちという」と或るものが言っていた。

 『徒然草126段』の解釈について 白井一道

「負けてばかりいる相手が、負けてばかりいるということはないだろう。今度は勝ち続けるかもしれないから、止めておけ」という解釈が『126段』の多数意見のようだ。しかし勝負事で大事なことは、負けを受け入れることができるかどうかにかかっている。どけだけ冷静に勝負ができるかというのが、勝負師の器量というもののようだ。
 勝っても負けても冷静でいられるか、どうかに勝負師の器量がある。