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各専門分野の統計技術、方法、テクニックなどを気ままに分かり易く例題をもとに解説します。

統計のコツのこつ(41)

2017-04-18 18:03:17 | 日記・エッセイ・コラム
ここしばらくは、「すぐに役立つ統計のコツ」では触れていない効果量(ES)や検出力(Power)の求め方をご紹介して来ました。
ES や Power の筆算でのキーワードは「非心t分布」です。これを筆算するのはやっかいですが、幸いにも"CASIO" の電卓??(下記URL)を使えば楽ちんです。
 
http://keisan.casio.jp/keisan/service.php
 
やってみましょう!
上記URL画面より、
[専門的な計算]→[統計関数]→[非心t分布]→[非心t分布]を選択
 
***
http://keisan.casio.jp/exec/system/1161228870
 
非心t分布の確率密度、下側累積確率、上側累積確率を求めます。
***
 
図1 未入力画面 
 
 
図1の画面で次により計算した値を入力します。
・パーセント点(x):t(α, df)
・自由度(v):n1+n2-2
・非心度(λ):es × √(n1*n2/(n1+n2))
 
例えば、
2つの平均値の差(対応なし)の検定データから、次の値から Power を求めて見ましょう。
n1 = 30             
n2 = 20              
効果量d = 0.954      
有意水準α = 0.05
 
まずは、下記の筆算を行います。
 
***
● 自由度(v)=30+20-2=48
● パーセント点(x)=t(0.05, 48)=2.0106:(注1)
● 非心度(λ)=0.954×√30×20/(30+20)=3.3047
 
注1:
t分布のパーセント点は、
[専門的な計算]→[統計関数]→[スチューデントのt分布(パーセント点)]→
[累積確率:0.025, 自由度:48]→[2.0106]
 
として求めれば良いでしょう。
***
 
そして、
上記の値をそれぞれ図2の様に入力し[計算](6桁に変更)をクリックすると、図2の結果が得られます。
 
図2 入力と計算結果の画面 
 
 
上側累積確率の値(0.8994)が Power(1-β)=89.94% となります。
 
では、
次の「対応あり」のデータをやって見ましょう。
 
n = 101                           
効果量d = 0.322      
有意水準α = 0.05
 
***
●自由度(v)=101-1=100
●パーセント点(x)=t(0.05, 100)=1.984
●非心度(λ)=0.322×√101=3.236
***
 
上側累積確率の値(0.893) が Power(1-β)=89.3% となります。
 
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統計のコツのこつ(40)に対するコメントをご紹介します。
 
杉本典夫 先生のコメント要旨
 
対応の無いt検定(一元配置分散分析)と対応の有るt検定の違いは、前者が2群の平均値の差が0かどうかを検定するのに対して、後者が変化量平均値が0かどうかを検定する点です。そのため「一般的には有意差の出やすい方法を採用」するのではなく、時期変動を検討するための評価指標として、平均値の差が妥当なのか、それとも変化量平均値が妥当なのかで使い分けるべきです。僕のサイト(http://www.snap-tck.com/room04/c01/stat/stat03/stat0303.html)にこのことを端的に表す例を挙げてあるので参考にしてください。
 
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