医学と統計(51):Steel Dwass による多重比較
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前回のSteel test は対照群との比較であり、Steel dwass はすべての群と比較する検定で、Tukey のノンパラメトリック版と言えます。
前回と同じ仮想データを用いたSteel dwass はMS-Excelで次によりおこなうことが出来ます。
図1 MS-Exceによる方法(1)
無投与群と中度投与群の対比の場合:
「Rnk-1 , Rank-2」は「無投与群:中度投与群」を一つにして順位付けしたもので、
Excel関数では「=RANK.AVG()」を使うと便利でしょう.
Rank-1:=RANK.AVG(A2,$A$2:$B$6,0)
Rank-2:=RANK.AVG(B2,$A$2:$B$6,0)
R1^2, R2^2:Rank-1の2乗、Rank-2の2乗
図2 MS-Exceによる方法((2):計算方法
R (順位和):各列の合計値
n (個数) :各列の個数
N (総数) :全個数(nの合計)
E (期待値):=D8*(E9+1)/2
Calc-1 :=D8*E8/(E9*(E9-1))
Calc-2 :=F7+G7
Calc-3 :=E9*(E9+1)^2/4
Calc-4 :=D12-D13
Vr (分散) :=D11*D14
t 0(統計量):=(D7-D10)/SQRT(D15)
そして、「無投与群:高度投与群」、「中度投与群:高度投与群」について行えば
検定統計量(t0)は次のようになります。
Steel dwass test:
--------------------------------------------------------------------------------
検定統計量(t0) 無投与群 中度投与群 高度投与群
無投与群 -
中度投与群 2.4023 -
高度投与群 2.6112 2.4023 -
--------------------------------------------------------------------------------
検定統計量(t0) は「スチューデント化範囲の%点」から、
q ( 3,∞,0.05 )/sqrt (2)=2.3437
ですので、
t0 >= q ( 3,∞,0.05 )/sqrt(2) から、すべての群で統計学的に有意と言えます。
前回と今回の StellとSteel dwass の方法をまとめると次のようになります。
パラメトリック法 ノンパラメトリック法
Dunnett Steel
Tukey Steel dwass
もし、群間にのみ注目するなら、ANOVA や Kruskal-Wallis を省略しても良いのではないかとの意見もあります。確かに、
ANOVA や Kruskal-Wallis で N.S. であっても、多重比較で有意になることもあります。最近では、
初めから多重比較をおこなっている論文も見受けられます。もし、わずかの水準で ANOVA や Kruskal-Wallis で有意差が認めらいなら、多重比較の結果を採用して良いと思います。