「原子力」という冒頭の言葉が気になってこの本を手に取ってみた。著者名も知らなかったので、一層関心を引いた。表紙を見ると、第27階江戸川乱歩賞受賞作である。昭和56年(1981)の受賞作なのだ。著者56歳での受賞作という。
参考にその前の3年間を遡ると、第26回(1980年)「猿丸幻視行」井沢元彦、第25回(1979年)「プラハからの道化たち」高柳芳夫、第24回(1978年)「ぼくらの時代」栗本薫、が受賞していた。一方、直近の3年(2012~2014)を見ると、「カラマーゾフの妹」高野史緒、「襲名犯」竹吉優輔、「闇に香る嘘」下村敦史と、諸氏が受賞されている。
さて、この小説に話を戻す。
「著者のことば」を読むと、著者は不可能趣味の王者”密室”を設定した「歯ごたえのある謎解き」を書きたいが、古めかしい形はおもしろくないので、「現代の社会生活にビルト・インされた”密室”こそが望ましい」という観点から、原子力に目をつけたという。今から35年前である。著者はこう記している。
「いま私たちが選択を迫られつつある原子力発電である。原子炉こそは、巨大なコンクリートの”密室”ではないのか。”公開”をうたいながら不可解がつきまとう装置-」と。情報化社会を見据え、謎と情報が絡み合った推理小説は情報小説でもあると著者は言う。著者は、原子炉建屋内で発生する殺人事件を構想したのである。
中央新聞東京支社で編集委員を務める曽我明が、千葉支局の記者原田清之から電話での依頼を受けることから始まる。原田は曽我に警視庁管内での変死者を当たってほしいと頼み込む。関東電力の九十九里浜原子力発電所の下請けをしている房総電業の社長高瀬勝二、45歳が捜索願の出された十日前から行方不明になているというのである。房総電業は、定期検査に入っている1号炉での放射能の除染作業や修理などの作業員を入れている会社なのだ。千葉日々の記者・京林が熱心に取材しているのだが県紙ではネタにしづらく、原田の中央新聞での報道を期待しているという。原田は京林と仲が良いのだ。
房総電業に取材した原田は、鎌田総務部長から高瀬社長が北海道の函館へ社長自ら飛び、現地で労務者募集をしているのだという。
曽我はふと、千葉の名だたる金権選挙区から選出されている種村代議士が、電力議員であり、関東電力とのつながりがありそうだ。種村一派の選挙における買収工作の下働きを高瀬がしていて、選挙違反摘発絡みで姿を消したと言う線を思いつく。
原田は京林からの電話で彼と会うことになるが、その席に曽我も同席することとなる。京林は高瀬社長の行方不明の取材として函館出張を願い出たのだが、社会部長から拒否されたという。京林が高瀬社長の自宅を取材で訪ねたら真っ昼間に線香の匂いがしたという。原田は曽我に乗りかかった舟だからと、函館行きを頼みこむのだ。曽我が事件に巻き込まれていく。そして、曽我が函館で取材活動をしている矢先に、高瀬社長が青森行の連絡船から投身自殺したらしいということを、函館支局の多賀支局長から連絡を受けることになる。函館西署は諸般の事情聴取と捜査経緯から、中小企業主の経営難からきた自殺と結論づける。曽我自身の取材活動からも、影の人物が浮かび上がることも無く、警察署の判断に同調せざるを得なくなる。だが、それは偽装工作でしかなかったことが、見え始めていく。
京林は、ある官庁に勤めていて、九十九里浜原発が建設される前の段階から原発反対運動に携わってきている木内から、1号炉の原子炉建屋の内部で人身事故があり、その建屋内に、ひと一人が一晩中放置されていたといううわさ話を聞く。京林は木伏から聞いた「うわさ話」を翌日、原田記者に伝えたのだ。そして、京林はそのうわさ話の裏をとる手段の一つとして、剣崎徹を紹介するのだ。剣崎は原発で作業員をやっているようで、原発の事情に詳しいようなのだ。
勿論、原田は剣崎と会うことになる。その剣崎からうわさ話の驚くような内容を聞くこととなる。そして、原田は関東電力の現地における総務部長藤平に面会取材することになっていく。その結果をスクープ記事にすることから、事態は急速に展開し、新聞社の存続を揺るがすことにも繋がっていくのだった。
更には、その藤平総務部長が原子炉建屋内で殺害されるという事件に発展する。だが、それだけにはとどまらなかった。
原子力発電所内の建屋は放射能漏洩防御という目的から超特殊な建物である。原子炉建屋内の作業に携わる作業員は、私服から作業服に着替えるために何重にもチェックを受けるというプロセスを経て、放射能被曝量の観点から、制限された時間内で作業に従事する。作業員が入退出する入口は巨大な建屋に1箇所しかない。
建屋内への出入管理はコンピュータで記録管理されている。殺人事件の加害者と想定できる者の出入は記録を精査しても発見できないのだった。
巨大な密室空間で、次々に事件が起こり、被害者側が偽装工作すら行わなければならない状況に立ち至っているのだ。なぜなのか?
なかなか興味深く、おもしろい構成でストーリーが展開されていく。
1980年代初頭に構想されたこの推理小説を現時点で読んでみて、いくつかの点に気づく。そのことを列挙しておこう。
1. 原子炉建屋という分厚いコンクリートの箱、限定された入口しかない「密室」を事件現場にするというユニークさは、原発関係者には迷惑だろうが、実にユニークで面白い。 そして、その密室殺人とからめて、サルカニ合戦の見立て殺人事件という構想展開となっている工夫が興味深い。サルカニ合戦の童話そのものが、時代により内容に変化が加えられていたという事実を、この小説を読んで初めて知った。これもひとつの情報だ。
この小説の章の見出しをご紹介しておくと、興味を引くかもしれない。
1.失踪 2,栗がはぜた 3.サルカニ合戦 4.ハチが刺した
5.臼がつぶした 6.カニがハサミ切った
2. 福島第一原発での爆発事故以来、原発建屋内への出入りにおける防護服への着替えや放射線被曝量のチェックプロセスなどが、映像という形で、またドキュメント本での紹介で情報が伝わってきた。外部から建屋内に作業員として入るためのプロセスに光を当てて、克明にその状況をストーリー展開の一環に組み込み、1981年に読み物にしていたということ。著者が言うとおり、情報小説になっている。
3. この小説を読み、1980年代には、放射線量の測定単位として、ミリレムという単位が使われていたことを知り、時代の変化を改めて感じた。
4. 原発反対運動の活動家・木内という設定人物を介してであるが、原子力産業の当時の状況が情報提供されている点である。その情報提供内容はかなり核心をついているものをちりばめているように感じる。原発用地買収プロセスや建設反対運動のたどるプロセス描写、原発構内で働く作業員の下請け構造の実態など、ドキュメント本のエッセンスが描写されている。それ以外に、こんな記述もあるのだ。
*最近の原発は規模が大きくなって、1基で110万キロワットというのが普通ですが、問題は炉が大きくなるにつれて安全性に細心の注意を払わねばならなくなります。p22
*定期検査が1年間のうち3ヵ月。いま日本には21基の原子炉があるのです。・・・p22
*こんなに補修に手がかかり、稼働率が低いのならコスト計算が狂ってきそうです。資源エネルギー疔は1キロワット・アワー7円60銭とはじいていて、安い安いと意っていますが、放射能廃棄物の投棄もむつかしくなりそうだし、そのコストも高くなる一方でしょう。 p22
*彼らとしては採算が問題ですからね。もっとも計算はどのようにも出来るのです。例えば、国の安全基準さえ少し甘くしてもらえればたちまち安くなります。放射線作業従事者の”最大許容集積線量”と”許容被曝線量”ですね・・・・許容被曝線量はいま、3ヵ月間に3000ミリレムとなっていますが・・・ p23
*(C区域について)問題はトイレだよ。管理区域内には一つもないから、便意を催したからすぐ飛び込むというわけにはいかない。二度も着替えを繰り返さなければ外へ出られないのだから、大変どころじゃなさそうだ。 p60
*一つの原子炉を中心に様々なパイプが配管されているのが原発なんだが、九十九里では一つの炉に14,500mの長さのパイプが曲がりくねって走っている。原子炉自体は完全なメインテナンスの下に運転されているとしてもだよ、この膨大なパイプ類のどの部分も、常に完全だと思えるかい? どんな金属質でも年月がたてば劣化するが、それが最初の納品のときから100%の品質管理が行われていると君は考えることが出来るかい? いいかね。100%だよ。他の製造工場なら100%なんて理論値を実際に要求したりしないが、原発はそうはいかない。どこかに、目に見えない微小なピンホールがあっても、直ちに放射能漏出、汚染ということになる。 p64
5. 新聞が印刷され、各地に搬送さていく「版」のイメージがわかりやすく描き込まれている。また、その違いがストーリー展開に組み込まれているるという点もおもしろい。
6. 1980年初頭はまだ青函連絡船の時代だったのを再認識した。(完全に廃止されたのが、1988年9月19日だという。ウィキペデイア参照)
ご一読ありがとうございます。
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本作品は1981年の受賞であり、正に現代科学の進展という点では、時代の変化を感じさせる用語もある。いくつかをネット検索してみた。一覧にしておきたい。
青函連絡船 :ウィキペディア
ミリレム ← レム :ウィキペディア
100レム=1シーベルト、 1ミリシーベルト=100ミリレム
シーベルト :ウィキペディア
「ミリシーベルト」「マイクロシーベルト」とはどんな単位なのか、どのくらいから危険なのか?放射線量計測単位のまとめ :「Gigazine」
アラーム・メーター ← アラームメータ :「原子力規制委員会」
原発で働く人々(3) ←アラームメーターの説明ページ
ポケット線量計 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説 :「コトバンク」
ポケット線量計 :「weblio辞書」
線量計 :ウィキペディア
個人被ばく線量計 :「日立アロカメディカル株式会社」
デジタル式個人線量計のテスト結果 2012.5.24 独立行政法人 国民生活センター
ATLD(自動熱蛍光線量計) → 熱ルミネッセンス線量計
蛍光ガラス線量計環境モニタリングシステム 株式会社千代田テクノル
フィルムバッジ :ウィキペディア
フィルムバッジ(film badge) :「緊急被ばく医療研修のホームページ」
C区域 → 原子力発電所における放射線被ばく管理 :「原子力百科事典ATOMICA」
表1 管理区域の区域区分(例)
東京電力マニュアルから・原子力発電所での管理区域とは
C服 →
「この防護服で大丈夫?」放射性物質広がり作業員不安 2011.3.27 :「朝日新聞」
ハンドフットモニタ :「原子力百科事典ATOMICA」
さるかに合戦 :ウィキペディア
さるかに合戦(昔話) デジタル絵本 :「国際デジタル絵本学会」
さるかに合戦いまむかし :「明星大学人文学部日本文化学科」
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参考にその前の3年間を遡ると、第26回(1980年)「猿丸幻視行」井沢元彦、第25回(1979年)「プラハからの道化たち」高柳芳夫、第24回(1978年)「ぼくらの時代」栗本薫、が受賞していた。一方、直近の3年(2012~2014)を見ると、「カラマーゾフの妹」高野史緒、「襲名犯」竹吉優輔、「闇に香る嘘」下村敦史と、諸氏が受賞されている。
さて、この小説に話を戻す。
「著者のことば」を読むと、著者は不可能趣味の王者”密室”を設定した「歯ごたえのある謎解き」を書きたいが、古めかしい形はおもしろくないので、「現代の社会生活にビルト・インされた”密室”こそが望ましい」という観点から、原子力に目をつけたという。今から35年前である。著者はこう記している。
「いま私たちが選択を迫られつつある原子力発電である。原子炉こそは、巨大なコンクリートの”密室”ではないのか。”公開”をうたいながら不可解がつきまとう装置-」と。情報化社会を見据え、謎と情報が絡み合った推理小説は情報小説でもあると著者は言う。著者は、原子炉建屋内で発生する殺人事件を構想したのである。
中央新聞東京支社で編集委員を務める曽我明が、千葉支局の記者原田清之から電話での依頼を受けることから始まる。原田は曽我に警視庁管内での変死者を当たってほしいと頼み込む。関東電力の九十九里浜原子力発電所の下請けをしている房総電業の社長高瀬勝二、45歳が捜索願の出された十日前から行方不明になているというのである。房総電業は、定期検査に入っている1号炉での放射能の除染作業や修理などの作業員を入れている会社なのだ。千葉日々の記者・京林が熱心に取材しているのだが県紙ではネタにしづらく、原田の中央新聞での報道を期待しているという。原田は京林と仲が良いのだ。
房総電業に取材した原田は、鎌田総務部長から高瀬社長が北海道の函館へ社長自ら飛び、現地で労務者募集をしているのだという。
曽我はふと、千葉の名だたる金権選挙区から選出されている種村代議士が、電力議員であり、関東電力とのつながりがありそうだ。種村一派の選挙における買収工作の下働きを高瀬がしていて、選挙違反摘発絡みで姿を消したと言う線を思いつく。
原田は京林からの電話で彼と会うことになるが、その席に曽我も同席することとなる。京林は高瀬社長の行方不明の取材として函館出張を願い出たのだが、社会部長から拒否されたという。京林が高瀬社長の自宅を取材で訪ねたら真っ昼間に線香の匂いがしたという。原田は曽我に乗りかかった舟だからと、函館行きを頼みこむのだ。曽我が事件に巻き込まれていく。そして、曽我が函館で取材活動をしている矢先に、高瀬社長が青森行の連絡船から投身自殺したらしいということを、函館支局の多賀支局長から連絡を受けることになる。函館西署は諸般の事情聴取と捜査経緯から、中小企業主の経営難からきた自殺と結論づける。曽我自身の取材活動からも、影の人物が浮かび上がることも無く、警察署の判断に同調せざるを得なくなる。だが、それは偽装工作でしかなかったことが、見え始めていく。
京林は、ある官庁に勤めていて、九十九里浜原発が建設される前の段階から原発反対運動に携わってきている木内から、1号炉の原子炉建屋の内部で人身事故があり、その建屋内に、ひと一人が一晩中放置されていたといううわさ話を聞く。京林は木伏から聞いた「うわさ話」を翌日、原田記者に伝えたのだ。そして、京林はそのうわさ話の裏をとる手段の一つとして、剣崎徹を紹介するのだ。剣崎は原発で作業員をやっているようで、原発の事情に詳しいようなのだ。
勿論、原田は剣崎と会うことになる。その剣崎からうわさ話の驚くような内容を聞くこととなる。そして、原田は関東電力の現地における総務部長藤平に面会取材することになっていく。その結果をスクープ記事にすることから、事態は急速に展開し、新聞社の存続を揺るがすことにも繋がっていくのだった。
更には、その藤平総務部長が原子炉建屋内で殺害されるという事件に発展する。だが、それだけにはとどまらなかった。
原子力発電所内の建屋は放射能漏洩防御という目的から超特殊な建物である。原子炉建屋内の作業に携わる作業員は、私服から作業服に着替えるために何重にもチェックを受けるというプロセスを経て、放射能被曝量の観点から、制限された時間内で作業に従事する。作業員が入退出する入口は巨大な建屋に1箇所しかない。
建屋内への出入管理はコンピュータで記録管理されている。殺人事件の加害者と想定できる者の出入は記録を精査しても発見できないのだった。
巨大な密室空間で、次々に事件が起こり、被害者側が偽装工作すら行わなければならない状況に立ち至っているのだ。なぜなのか?
なかなか興味深く、おもしろい構成でストーリーが展開されていく。
1980年代初頭に構想されたこの推理小説を現時点で読んでみて、いくつかの点に気づく。そのことを列挙しておこう。
1. 原子炉建屋という分厚いコンクリートの箱、限定された入口しかない「密室」を事件現場にするというユニークさは、原発関係者には迷惑だろうが、実にユニークで面白い。 そして、その密室殺人とからめて、サルカニ合戦の見立て殺人事件という構想展開となっている工夫が興味深い。サルカニ合戦の童話そのものが、時代により内容に変化が加えられていたという事実を、この小説を読んで初めて知った。これもひとつの情報だ。
この小説の章の見出しをご紹介しておくと、興味を引くかもしれない。
1.失踪 2,栗がはぜた 3.サルカニ合戦 4.ハチが刺した
5.臼がつぶした 6.カニがハサミ切った
2. 福島第一原発での爆発事故以来、原発建屋内への出入りにおける防護服への着替えや放射線被曝量のチェックプロセスなどが、映像という形で、またドキュメント本での紹介で情報が伝わってきた。外部から建屋内に作業員として入るためのプロセスに光を当てて、克明にその状況をストーリー展開の一環に組み込み、1981年に読み物にしていたということ。著者が言うとおり、情報小説になっている。
3. この小説を読み、1980年代には、放射線量の測定単位として、ミリレムという単位が使われていたことを知り、時代の変化を改めて感じた。
4. 原発反対運動の活動家・木内という設定人物を介してであるが、原子力産業の当時の状況が情報提供されている点である。その情報提供内容はかなり核心をついているものをちりばめているように感じる。原発用地買収プロセスや建設反対運動のたどるプロセス描写、原発構内で働く作業員の下請け構造の実態など、ドキュメント本のエッセンスが描写されている。それ以外に、こんな記述もあるのだ。
*最近の原発は規模が大きくなって、1基で110万キロワットというのが普通ですが、問題は炉が大きくなるにつれて安全性に細心の注意を払わねばならなくなります。p22
*定期検査が1年間のうち3ヵ月。いま日本には21基の原子炉があるのです。・・・p22
*こんなに補修に手がかかり、稼働率が低いのならコスト計算が狂ってきそうです。資源エネルギー疔は1キロワット・アワー7円60銭とはじいていて、安い安いと意っていますが、放射能廃棄物の投棄もむつかしくなりそうだし、そのコストも高くなる一方でしょう。 p22
*彼らとしては採算が問題ですからね。もっとも計算はどのようにも出来るのです。例えば、国の安全基準さえ少し甘くしてもらえればたちまち安くなります。放射線作業従事者の”最大許容集積線量”と”許容被曝線量”ですね・・・・許容被曝線量はいま、3ヵ月間に3000ミリレムとなっていますが・・・ p23
*(C区域について)問題はトイレだよ。管理区域内には一つもないから、便意を催したからすぐ飛び込むというわけにはいかない。二度も着替えを繰り返さなければ外へ出られないのだから、大変どころじゃなさそうだ。 p60
*一つの原子炉を中心に様々なパイプが配管されているのが原発なんだが、九十九里では一つの炉に14,500mの長さのパイプが曲がりくねって走っている。原子炉自体は完全なメインテナンスの下に運転されているとしてもだよ、この膨大なパイプ類のどの部分も、常に完全だと思えるかい? どんな金属質でも年月がたてば劣化するが、それが最初の納品のときから100%の品質管理が行われていると君は考えることが出来るかい? いいかね。100%だよ。他の製造工場なら100%なんて理論値を実際に要求したりしないが、原発はそうはいかない。どこかに、目に見えない微小なピンホールがあっても、直ちに放射能漏出、汚染ということになる。 p64
5. 新聞が印刷され、各地に搬送さていく「版」のイメージがわかりやすく描き込まれている。また、その違いがストーリー展開に組み込まれているるという点もおもしろい。
6. 1980年初頭はまだ青函連絡船の時代だったのを再認識した。(完全に廃止されたのが、1988年9月19日だという。ウィキペデイア参照)
ご一読ありがとうございます。
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本作品は1981年の受賞であり、正に現代科学の進展という点では、時代の変化を感じさせる用語もある。いくつかをネット検索してみた。一覧にしておきたい。
青函連絡船 :ウィキペディア
ミリレム ← レム :ウィキペディア
100レム=1シーベルト、 1ミリシーベルト=100ミリレム
シーベルト :ウィキペディア
「ミリシーベルト」「マイクロシーベルト」とはどんな単位なのか、どのくらいから危険なのか?放射線量計測単位のまとめ :「Gigazine」
アラーム・メーター ← アラームメータ :「原子力規制委員会」
原発で働く人々(3) ←アラームメーターの説明ページ
ポケット線量計 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説 :「コトバンク」
ポケット線量計 :「weblio辞書」
線量計 :ウィキペディア
個人被ばく線量計 :「日立アロカメディカル株式会社」
デジタル式個人線量計のテスト結果 2012.5.24 独立行政法人 国民生活センター
ATLD(自動熱蛍光線量計) → 熱ルミネッセンス線量計
蛍光ガラス線量計環境モニタリングシステム 株式会社千代田テクノル
フィルムバッジ :ウィキペディア
フィルムバッジ(film badge) :「緊急被ばく医療研修のホームページ」
C区域 → 原子力発電所における放射線被ばく管理 :「原子力百科事典ATOMICA」
表1 管理区域の区域区分(例)
東京電力マニュアルから・原子力発電所での管理区域とは
C服 →
「この防護服で大丈夫?」放射性物質広がり作業員不安 2011.3.27 :「朝日新聞」
ハンドフットモニタ :「原子力百科事典ATOMICA」
さるかに合戦 :ウィキペディア
さるかに合戦(昔話) デジタル絵本 :「国際デジタル絵本学会」
さるかに合戦いまむかし :「明星大学人文学部日本文化学科」
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