TBS系のテレビ放送番組に『プレバト!!』がある。この番組は俳優・歌手・お笑いタレント・作家など様々な分野の有名人をゲストに迎えて、ここに登場する俳句の他にも、料理、華道、書道、水彩画など、様々な分野を取り上げ、ゲストの才能の有無を判定するというバラエティ重視の教養番組(?)である。あるときたまたま、本書の著者・夏井先生が、ゲストが事前に与えられた兼題写真で一句ひねって提出した俳句を、判定者の立場で評価し才能の有無を判定するという放映を見た。これが面白くて、この番組の常連視聴者の一人になってしまった。勿論その他のジャンルも視聴している。
他のジャンルも同様の方式である。まずゲストが与えられたテーマで作品に相当するものを仕上げる。誰がその作者であるかを伏せられて作品の評価を判定者が事前に評価する。才能あり、凡人、才能なしの3ランク評価である。
ゲストは番組内で、俳句の場合なら兼題写真をみて作句したその意図、主旨、気持ちなどを説明する。判定者である夏井先生は、それを聞いた上で、作品の辛口批評をしながら、どういう風にしたら俳句になるか、本人の思いを俳句に表現できるかという観点を踏まえて添削するという趣向である。そして、作品事例を踏まえた俳句を作るワンポイント・レッスンの要点指導がナレーションと文字画面で行われる。ゲストはそれぞれのジャンルでは一応成功しているタレントの持ち主、その道のプロだ。しかし、自分の畑を出ると、二足、三足の草鞋を履ける人もいれば、一般人と同列の人も多い。だからこそ、バラエティの面白さが生まれる。自分の畑を離れた人が、まな板の上の鯉として、番組に出演し、料理されるのだ。
視聴者の立場でみると、「人のふり見て」笑いながら、うなずきながら、俳句を作るとはどういうことかを少しずつ学べる(というか、学んだつもりになれる)番組である。番組を視聴するだけなら、実際に学べたかどうかはわからない。ワンポイント・レッスンすら忘れてしまうかもしれない・・・・。
この本は、プレバトの放送内容から抽出された事例を材料にして、番組での添削と解説を整理してまとめたものと言えそうである。まずテレビ番組に登場したゲストの作品と作句者名が載っている。そして、その作品を事例にして、著者は読者に質問を投げかける。まず読者に作品事例の問題点を質問形式で考えさせるのである。つまり、初心者が犯しやすい間違いを作品事例で考えさせ、指摘させる。読者の俳句づくりの基本知識の有無を理解させる形になっている。
例えば、「第1章 季語は1句に1つ?」の最初の質問は、兼題写真が「6月の鎌倉」で、電車が進んできていて、線路の左側すぐ近くに紫陽花が咲き誇っている写真である。そして、ユナクさんと陣内智則さんのひねり出した俳句作品が事例に取り上げられている。読者への問いかけは、「紫陽花」という季語以外に「季重なり」が生じているので、どれが紫陽花以外の季語かをまず指摘せよと質問している。
これに読者が答えられるためには、「季語」の知識が必要である。ここで読者もテストされているという次第である。その後に、ページをくれば答が記され、作品事例に対するコメントが載っている。作品事例のどこに問題点が潜んでいるかの具体的な指摘、作品事例そのものに問いに対する赤ペンでの説明を付記し、作品へのコメントが付記されている。
分析→問題点指摘、とくれば当然、ではどう改善するか?となり、添削後の修正句が一つの解答として載せられている。
こんなスタイルでページが進む。プレバト放映シーンの活字版と言えそうである。違うのは、各作品事例に才能あり・凡人・才能なしという評価語がないこと。それはまあ多少の幅があっても、改善余地があり添削することで意味がある事例を抽出しているからだろう。多分凡人以上の作品事例からということになろうか。
つまり、<< 質問と作品事例の提示 → 兼題写真掲載 → 答 → 作品事例への赤ペン記入 → 質問に対応して作品事例の分析と解説のコメント → 添削後としての修正版・俳句作品の提示 >>というページ建てになっている。
まさに「俳句教室」であり、流れがわかりやすくて、すんなりと入っていける組み立てになている。兼題写真自体もキレイで楽しい息抜きにもなる。
俳句なんて敷居が高いな・・・・と感じる人は、「プレバト」視聴のノリで入って行きやすい「俳句教室」であることは間違いがない。テレビ番組の出演者の作品事例がそのまま使われているのだから、番組の雰囲気を思いだしながら読める楽しさもあると思う。
最初からほぼ順に誰の作品が俎上にのせられているか列挙してみよう。一層本書への親しみがわくかもしれないから。
ユナク、陣内智則、優木まおみ、木村祐一、和田正人、西川貴教、青木愛、長島一茂
鈴木明子、峯岸みなみ、秋元才加、前川泰之、石井一久、前田吟、山村紅葉、北原里英
織田信成、柴田理恵、吉村涼、市毛良枝、NONSTYLE 石田、宮川一朗太、箕輪はるか
ピーター、杉村太蔵、田原総一朗、蛭子能収、鈴木奈々、黒川智花、岡本麗、岡本玲
石田純一、大久保佳代子、長谷川初範、梅沢富美男、高橋惠子、笛木優子、平愛梨
ダレノガレ明美、白石美帆、高橋茂雄、DAIGO、杉山愛、熊谷真美、藤本敏史
ロバート秋山、宮崎香蓮、濱田マリ、大友康平、廣田遙、和田アキ子、春名風花
武井壮、竹財輝之助、三遊亭円楽、インパルス板倉、東幹久 という人々だ。
本書の構成に触れておこう。
序章 はじめの一歩を踏み出すために
有名な「柿食えば・・・・」の句を材料に、俳句の表記についての質問から始まる。
第1章 季語は1句に1つ?
上記で詳述の進めかたで6問設定されている。
ここには、「知ってトクするQ&A」という触れ込みで、「季語は絶対に入れなくてはいけないの?」というコラムが載せてある。解説は本書を開いてほしい。
第2章 「発想の吹き溜まり」を抜け出すには?
冒頭で著者は語る。「俳句を作るとは・・・『類想類句』を避け、オリジナリティのある発想や言葉を見つけ出す、言葉のパズルのような作業なのです」(p40)と。類想類句にに堕すという発想の吹き溜まりを抜け出すヒントがこの章で作品事例を使いながら語られる。まずは俳句の音数をどう数えるかという実作へのコツを「チューリップ」の音数という切り口から入っている。わかりやすい。
ここでは3問の投げかけがある。質問のしかたもちょっとおもしろい。
ここの「Q&A」は、「歳時記と友達になろう!」である。作品事例を使った解説。
第3章 「言葉の無駄遣い」って何?
これはテレビ番組視聴者には馴染みのある「何}」である。
冒頭で、著者は「俳句は十七音しかありませんから、いかに言葉を無駄遣いせず、効率よい言葉を選ぶかが重要なコツとなります」と述べ、作品事例を取り上げ説明する。
ここでは、6問が投げかけられている。
第4章 「こころ」と「ことば」に隙間あり?
作者の表現が読み手にきちんと伝わらない原因について分析している。
4問が設定されている。光景を具体的な映像に描くことや表現における作句者の立ち位置が論じられている。
ここにも「Q&A」があり、「[添削]した句の作者は誰になるの?」という素朴な疑問への説明が行われている。
第5章 「発想を活かす」ための小さなコツとは?
ここでは、作句する際に、知ってトクする様々なテクニックが、作品事例の添削という形で解説されていく。この章では、最初と最後に「Q&A」がある。最初は「切れ」の意味説明で、最後は「俳号」をまず持っては?という勧めである。その間に、次のテクニックの事例研究があるという形になっている。
「切れ」の効果/ 動詞の効果/ 助詞の選択/ 「調べ」の効果/
駄洒落とナンセンス/ 季語を主役とする工夫/ 描写の精度
これらのテクニックの意味するところが、これら語句から即座に理解できるなら、あなたはこの「俳句教室」の読者は卒業していることだろう。別の入門書を探すとよい。何? そのテクニックは・・・と思う人は、添削事例を読むと一歩理解が深まるだろう。敷居はまたげたことになる。例えば、説明臭さのある動詞ではなく、眼前に映像を浮かべられるような動詞を選択してうまく活かすということが推奨されている。その効果が具体的な作品事例を分析し、解説したうえで、添削後の句が提示されているのである。
この章、読んでトクする章である。
第6章 プレバト秀句を味わう
この本は2014年12月に初版第1刷が発行されている。2016年6月の初版第10刷を読んだ。つまり、2014年12月以前のプレバト放映から作品事例が抽出されたということだろう。 秀句として紹介されているのは、次の人々の句である。
ピース又吉、中田喜子、山村紅葉、藤田弓子、遼河はるひ、杉山愛、今井華、市川猿之助 どんな句が詠まれ、どこが秀句となるかの解説は本書で味わっていただくとよい。著者のコメントを読むと、なるほど・・・・と思う。
もし、この第2版がでるなら、上記の人々の作句から秀句に並ぶ句がその後いくつか生まれていることだろう。
この章にも、「Q&A」がある。「俳句」を始めるには何を準備すればいいの?
まあ、当然の説明といえる。句帳、筆記用具、歳時記、国語辞典が挙げられている。
最後に「知ってトクする実作のコツ」として、「基本型」に挑戦!という解説がある。これも作品事例で説明が行われているので意味合が理解しやすい。
1) まず「季語とは関係のない12音のフレーズ」を作る。
2) フレーズの気分に似合った季語を探す。
ことだと解説が加えられている。そこには2つのコツがあるという。それは何か?
それは本書のp148~p151の後半部をお読みいただきたい。
著者は、序章の最初に、「『俳句』とは、『型』の文学です。言葉をパズルのように型に入れると一句作れる、かなりメカニックな性質を持っています」と。
五、七、五の枠の中に言葉を嵌め込み、季語を一つ入れる。無駄な言葉遣いは極力避ける。説明的でなく、イメージが浮かぶような映像化できる句、音や匂いを感じさせるような言葉選びというあたりに、コツが潜むようである。それをわかりやすく解説している赤ペンを駆使した本と言える。
著者は「あとがき」の末尾近くで、本書を「初めの一歩を踏み出したい人の背中をちょいと押してあげられる超入門書」と位置づけられた本と述べている。
筆者の顔、言動が別媒体で見えているという本はやはり親しみが持てる。歳時記以外で手許に購入済みの俳句関連本は積ん読のままにして、これを先読みしてしまった。
著者はこう言う。「俳句を通して、日本語の豊かさ美しさを愛してくれる人が一人でも増えることが、私たちの掲げる未来予想図だ」と。
ご一読ありがとうございます。
↑↑ クリックしていただけると嬉しいです。
本書からの波紋で、ネット検索してみた。一覧にしておきたい。
俳句新聞いつき組 公式ページ
100年俳句計画 :「marukobo.com」
歳時記 :ウィキペディア
インターネット歳時記 :「日本伝統俳句協会」
季語検索 :「増殖する歳時記」
歳時記 :「俳誌のsalon」
わたしの俳句歳時記 歳時記監修/永方裕子
インターネットに有益な情報を掲載してくださった皆様に感謝します。
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(情報提供サイトへのリンクのアクセスがネット事情でいつか途切れるかもしれません。
その節には、直接に検索してアクセスしてみてください。掲載時点の後のフォローは致しません。
その点、ご寛恕ください。)
他のジャンルも同様の方式である。まずゲストが与えられたテーマで作品に相当するものを仕上げる。誰がその作者であるかを伏せられて作品の評価を判定者が事前に評価する。才能あり、凡人、才能なしの3ランク評価である。
ゲストは番組内で、俳句の場合なら兼題写真をみて作句したその意図、主旨、気持ちなどを説明する。判定者である夏井先生は、それを聞いた上で、作品の辛口批評をしながら、どういう風にしたら俳句になるか、本人の思いを俳句に表現できるかという観点を踏まえて添削するという趣向である。そして、作品事例を踏まえた俳句を作るワンポイント・レッスンの要点指導がナレーションと文字画面で行われる。ゲストはそれぞれのジャンルでは一応成功しているタレントの持ち主、その道のプロだ。しかし、自分の畑を出ると、二足、三足の草鞋を履ける人もいれば、一般人と同列の人も多い。だからこそ、バラエティの面白さが生まれる。自分の畑を離れた人が、まな板の上の鯉として、番組に出演し、料理されるのだ。
視聴者の立場でみると、「人のふり見て」笑いながら、うなずきながら、俳句を作るとはどういうことかを少しずつ学べる(というか、学んだつもりになれる)番組である。番組を視聴するだけなら、実際に学べたかどうかはわからない。ワンポイント・レッスンすら忘れてしまうかもしれない・・・・。
この本は、プレバトの放送内容から抽出された事例を材料にして、番組での添削と解説を整理してまとめたものと言えそうである。まずテレビ番組に登場したゲストの作品と作句者名が載っている。そして、その作品を事例にして、著者は読者に質問を投げかける。まず読者に作品事例の問題点を質問形式で考えさせるのである。つまり、初心者が犯しやすい間違いを作品事例で考えさせ、指摘させる。読者の俳句づくりの基本知識の有無を理解させる形になっている。
例えば、「第1章 季語は1句に1つ?」の最初の質問は、兼題写真が「6月の鎌倉」で、電車が進んできていて、線路の左側すぐ近くに紫陽花が咲き誇っている写真である。そして、ユナクさんと陣内智則さんのひねり出した俳句作品が事例に取り上げられている。読者への問いかけは、「紫陽花」という季語以外に「季重なり」が生じているので、どれが紫陽花以外の季語かをまず指摘せよと質問している。
これに読者が答えられるためには、「季語」の知識が必要である。ここで読者もテストされているという次第である。その後に、ページをくれば答が記され、作品事例に対するコメントが載っている。作品事例のどこに問題点が潜んでいるかの具体的な指摘、作品事例そのものに問いに対する赤ペンでの説明を付記し、作品へのコメントが付記されている。
分析→問題点指摘、とくれば当然、ではどう改善するか?となり、添削後の修正句が一つの解答として載せられている。
こんなスタイルでページが進む。プレバト放映シーンの活字版と言えそうである。違うのは、各作品事例に才能あり・凡人・才能なしという評価語がないこと。それはまあ多少の幅があっても、改善余地があり添削することで意味がある事例を抽出しているからだろう。多分凡人以上の作品事例からということになろうか。
つまり、<< 質問と作品事例の提示 → 兼題写真掲載 → 答 → 作品事例への赤ペン記入 → 質問に対応して作品事例の分析と解説のコメント → 添削後としての修正版・俳句作品の提示 >>というページ建てになっている。
まさに「俳句教室」であり、流れがわかりやすくて、すんなりと入っていける組み立てになている。兼題写真自体もキレイで楽しい息抜きにもなる。
俳句なんて敷居が高いな・・・・と感じる人は、「プレバト」視聴のノリで入って行きやすい「俳句教室」であることは間違いがない。テレビ番組の出演者の作品事例がそのまま使われているのだから、番組の雰囲気を思いだしながら読める楽しさもあると思う。
最初からほぼ順に誰の作品が俎上にのせられているか列挙してみよう。一層本書への親しみがわくかもしれないから。
ユナク、陣内智則、優木まおみ、木村祐一、和田正人、西川貴教、青木愛、長島一茂
鈴木明子、峯岸みなみ、秋元才加、前川泰之、石井一久、前田吟、山村紅葉、北原里英
織田信成、柴田理恵、吉村涼、市毛良枝、NONSTYLE 石田、宮川一朗太、箕輪はるか
ピーター、杉村太蔵、田原総一朗、蛭子能収、鈴木奈々、黒川智花、岡本麗、岡本玲
石田純一、大久保佳代子、長谷川初範、梅沢富美男、高橋惠子、笛木優子、平愛梨
ダレノガレ明美、白石美帆、高橋茂雄、DAIGO、杉山愛、熊谷真美、藤本敏史
ロバート秋山、宮崎香蓮、濱田マリ、大友康平、廣田遙、和田アキ子、春名風花
武井壮、竹財輝之助、三遊亭円楽、インパルス板倉、東幹久 という人々だ。
本書の構成に触れておこう。
序章 はじめの一歩を踏み出すために
有名な「柿食えば・・・・」の句を材料に、俳句の表記についての質問から始まる。
第1章 季語は1句に1つ?
上記で詳述の進めかたで6問設定されている。
ここには、「知ってトクするQ&A」という触れ込みで、「季語は絶対に入れなくてはいけないの?」というコラムが載せてある。解説は本書を開いてほしい。
第2章 「発想の吹き溜まり」を抜け出すには?
冒頭で著者は語る。「俳句を作るとは・・・『類想類句』を避け、オリジナリティのある発想や言葉を見つけ出す、言葉のパズルのような作業なのです」(p40)と。類想類句にに堕すという発想の吹き溜まりを抜け出すヒントがこの章で作品事例を使いながら語られる。まずは俳句の音数をどう数えるかという実作へのコツを「チューリップ」の音数という切り口から入っている。わかりやすい。
ここでは3問の投げかけがある。質問のしかたもちょっとおもしろい。
ここの「Q&A」は、「歳時記と友達になろう!」である。作品事例を使った解説。
第3章 「言葉の無駄遣い」って何?
これはテレビ番組視聴者には馴染みのある「何}」である。
冒頭で、著者は「俳句は十七音しかありませんから、いかに言葉を無駄遣いせず、効率よい言葉を選ぶかが重要なコツとなります」と述べ、作品事例を取り上げ説明する。
ここでは、6問が投げかけられている。
第4章 「こころ」と「ことば」に隙間あり?
作者の表現が読み手にきちんと伝わらない原因について分析している。
4問が設定されている。光景を具体的な映像に描くことや表現における作句者の立ち位置が論じられている。
ここにも「Q&A」があり、「[添削]した句の作者は誰になるの?」という素朴な疑問への説明が行われている。
第5章 「発想を活かす」ための小さなコツとは?
ここでは、作句する際に、知ってトクする様々なテクニックが、作品事例の添削という形で解説されていく。この章では、最初と最後に「Q&A」がある。最初は「切れ」の意味説明で、最後は「俳号」をまず持っては?という勧めである。その間に、次のテクニックの事例研究があるという形になっている。
「切れ」の効果/ 動詞の効果/ 助詞の選択/ 「調べ」の効果/
駄洒落とナンセンス/ 季語を主役とする工夫/ 描写の精度
これらのテクニックの意味するところが、これら語句から即座に理解できるなら、あなたはこの「俳句教室」の読者は卒業していることだろう。別の入門書を探すとよい。何? そのテクニックは・・・と思う人は、添削事例を読むと一歩理解が深まるだろう。敷居はまたげたことになる。例えば、説明臭さのある動詞ではなく、眼前に映像を浮かべられるような動詞を選択してうまく活かすということが推奨されている。その効果が具体的な作品事例を分析し、解説したうえで、添削後の句が提示されているのである。
この章、読んでトクする章である。
第6章 プレバト秀句を味わう
この本は2014年12月に初版第1刷が発行されている。2016年6月の初版第10刷を読んだ。つまり、2014年12月以前のプレバト放映から作品事例が抽出されたということだろう。 秀句として紹介されているのは、次の人々の句である。
ピース又吉、中田喜子、山村紅葉、藤田弓子、遼河はるひ、杉山愛、今井華、市川猿之助 どんな句が詠まれ、どこが秀句となるかの解説は本書で味わっていただくとよい。著者のコメントを読むと、なるほど・・・・と思う。
もし、この第2版がでるなら、上記の人々の作句から秀句に並ぶ句がその後いくつか生まれていることだろう。
この章にも、「Q&A」がある。「俳句」を始めるには何を準備すればいいの?
まあ、当然の説明といえる。句帳、筆記用具、歳時記、国語辞典が挙げられている。
最後に「知ってトクする実作のコツ」として、「基本型」に挑戦!という解説がある。これも作品事例で説明が行われているので意味合が理解しやすい。
1) まず「季語とは関係のない12音のフレーズ」を作る。
2) フレーズの気分に似合った季語を探す。
ことだと解説が加えられている。そこには2つのコツがあるという。それは何か?
それは本書のp148~p151の後半部をお読みいただきたい。
著者は、序章の最初に、「『俳句』とは、『型』の文学です。言葉をパズルのように型に入れると一句作れる、かなりメカニックな性質を持っています」と。
五、七、五の枠の中に言葉を嵌め込み、季語を一つ入れる。無駄な言葉遣いは極力避ける。説明的でなく、イメージが浮かぶような映像化できる句、音や匂いを感じさせるような言葉選びというあたりに、コツが潜むようである。それをわかりやすく解説している赤ペンを駆使した本と言える。
著者は「あとがき」の末尾近くで、本書を「初めの一歩を踏み出したい人の背中をちょいと押してあげられる超入門書」と位置づけられた本と述べている。
筆者の顔、言動が別媒体で見えているという本はやはり親しみが持てる。歳時記以外で手許に購入済みの俳句関連本は積ん読のままにして、これを先読みしてしまった。
著者はこう言う。「俳句を通して、日本語の豊かさ美しさを愛してくれる人が一人でも増えることが、私たちの掲げる未来予想図だ」と。
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俳句新聞いつき組 公式ページ
100年俳句計画 :「marukobo.com」
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季語検索 :「増殖する歳時記」
歳時記 :「俳誌のsalon」
わたしの俳句歳時記 歳時記監修/永方裕子
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