「眠れなくなるほど面白いことばの世界」という副題がついている。
この新書一冊が、何と37人により分担されて執筆されている。1つの疑問に対して、4~11ページと幅があるが、限られたページ数で、なるほどと思う回答が執筆されている。
日本に生まれ育ち、学校で日本語の文法をならった時期があるというものの、日本語を毎日あたりまえに使う形で生活している。日本語についてふと疑問を抱いても、日常生活に支障がなければ、深くは考えずにスルーしてしまうことになる。言葉もまた時代とともに変化するわなあ・・・・とお茶を濁して。
本書はなぜと投げかけられれば、そういう疑問もあるね、と頷ける。じゃ、回答できる? そう言われても・・・・。そういう疑問に回答がなされている。裏表紙に「日本語の教養をこの一冊でアップデート!」と記されている。確かに言い得て妙なキャッチフレーズだ。
ちょっと立ち止まって、日本語自体を一歩踏み込んで考えるネタ本として役立つ新書と言える。おもしろい疑問が満載されている。図解、イラスト、統計図、写真などが併用され、わりと読みやすい文章で回答が記述されている。国語研究に携わる執筆者だけのことはあると思う。本書は2021年11月に刊行された。
本書は、6章に分類してQ&Aが順次列挙されていく。その構成と疑問数を括弧付きで示してみよう。1つの疑問がいくつかの疑問に細分されて回答されているのもあるが、ここでは元々の疑問レベルで疑問数を表記してみた。本書全体の構成イメージをまずもっていただくとよい。
第1章 どうも気になる最近の日本語 (6)
第2章 過剰か無礼か? 敬語と接客ことばの謎 (7)
第3章 歴史で読み解く日本語のフシギ (8)
第4章 どちらを選ぶ? 迷う日本語 (6)
第5章 便利で奇妙な外来語 (7)
第6章 歴史で読み解く日本語のフシギ (6)
それでは、具体的にどんな大疑問がなげかけられているかをサンプリングし、ご紹介しよう。私の主観的なサンプリングに過ぎないけれど・・・・。末尾の<>は章を示す。
*若者ことばの「やばみ」や「うれしみ」の「み」はどこから来ているものですか。<1>
*「あの~」や「えっと」が多い人は話し下手なんでしょうか。 <1>
*何でも略して言うと、正しい日本語が失われてしまうのではないでしょうか。 <1>
*外国人の友人が先生に「推薦状をお書きください」と言いました。丁寧な言い方なのに失礼な感じがするのはなぜですか。 <2>
*すでにお店に入っているのに「いらっしゃいませ」と言うのはなぜですか。 <2>
*電話に出るとき「佐藤です」ではなく「佐藤ですが」とか「佐藤ですけど」のようにも言うのはなぜですか。 <2>
*家族や赤ちゃんのことを話すときに尊敬語を使うのは間違った言い方なのでしょうか。 <2>
*日本語は難しい言語ですか。 <3>
*カナダでfutonと呼ばれるものが日本語の「布団」と全然違うのはなぜですか。 <3>
*手話って世界共通ですか。 <3>
*外国人と日本語で話すとき、伝わりやすいように気をつけるべき点を教えてください。 <3>
*「これ」「それ」「あれ」は、どんなふうに使い分けられますか。 <4>
*「それから」「そして」「それで」がどう違うか、その違いを教えてください。 <4>
*「思う」と「考える」の意味はどういうふうに違うのですか。 <4>
*イヌ年のことをなぜ「犬年」でなく「戌年」と書くのですか。 <4>
*「可能性」は「高い」のか「大きい」のか「強い」のか、どれを使えばいいですか。 <4>
*どうして日本語には外来語が多いのですか。 <5>
*外来語をカタカナで書くのはいつから、どのように始まったのですか。 <5>
*「エンターテインメント」が「エンターテイメント」「エンタメ」といったいろいろな語形で使われるのはなぜですか。 <5>
*「コンディション」には「状態」や「調子」では言い表せない特別な意味があるのでしょうか。 <5>
*「シミュレーション」が「シュミレーション」と発音されるのはなぜでしょう。 <5>
*新しい元号が「令和」になりましたが、日本の元号に言葉の規則性はありますか。 <6>
*むかしの落書きにはどいうことが書かれているのですか。 <6>
*明治時代、犬を「カメ」と呼ぶことがあったというのは本当ですか。 <6>
*「国」と「國」のように、昔と今とで形がちがう漢字があるのはなぜですか。 <6>
どうでしょう。けっこうおもしろい、あるいは興味深い疑問が発せられているように思う。今まで考えたことのない疑問を数多い。
日本語の大疑問に対し、回答の中には外国の諸言語との比較がけっこう含まれている。この点については「おわりに」に少し説明が加えられている。それを最後にご紹介しておきたい。
「国語研は研究対象を単に日本語だけに限定せず、世界のさまざまな言語と比較対照することで日本語の特徴を捉え、日本語を詳しくみることでこれまで気が付かれなかった諸外国のことばの特徴を探ることも研究内容となっています。」(p251)
ことばの世界って、おもしろいものだ。
お読みいただきありがとうございます。
本書から関心の波紋を広げて、ネット検索してみた。一覧にしておいたい。
国立国語研究所 ホームページ
コーパス一覧
インデックスリスト ことばの研究 学術情報リポジトリ
「ことばビデオ」シリーズ 学術情報リポジトリ
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日本語不思議辞典 ホームページ
日本語の意外な歴史 ホームページ
日本語は本当に特殊な言語か? 平野卿子 :「Newsweek」
危機感の発信がカタカナになる日本語の不思議 冷泉彰彦 :「Newsweek」
謎に包まれた日本語の起源!世界から孤立した言語の謎! YouTube
「象は鼻が長い」の謎-日本語学者が100年戦う一大ミステリー #10 YouTube
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その点、ご寛恕ください。)
この新書一冊が、何と37人により分担されて執筆されている。1つの疑問に対して、4~11ページと幅があるが、限られたページ数で、なるほどと思う回答が執筆されている。
日本に生まれ育ち、学校で日本語の文法をならった時期があるというものの、日本語を毎日あたりまえに使う形で生活している。日本語についてふと疑問を抱いても、日常生活に支障がなければ、深くは考えずにスルーしてしまうことになる。言葉もまた時代とともに変化するわなあ・・・・とお茶を濁して。
本書はなぜと投げかけられれば、そういう疑問もあるね、と頷ける。じゃ、回答できる? そう言われても・・・・。そういう疑問に回答がなされている。裏表紙に「日本語の教養をこの一冊でアップデート!」と記されている。確かに言い得て妙なキャッチフレーズだ。
ちょっと立ち止まって、日本語自体を一歩踏み込んで考えるネタ本として役立つ新書と言える。おもしろい疑問が満載されている。図解、イラスト、統計図、写真などが併用され、わりと読みやすい文章で回答が記述されている。国語研究に携わる執筆者だけのことはあると思う。本書は2021年11月に刊行された。
本書は、6章に分類してQ&Aが順次列挙されていく。その構成と疑問数を括弧付きで示してみよう。1つの疑問がいくつかの疑問に細分されて回答されているのもあるが、ここでは元々の疑問レベルで疑問数を表記してみた。本書全体の構成イメージをまずもっていただくとよい。
第1章 どうも気になる最近の日本語 (6)
第2章 過剰か無礼か? 敬語と接客ことばの謎 (7)
第3章 歴史で読み解く日本語のフシギ (8)
第4章 どちらを選ぶ? 迷う日本語 (6)
第5章 便利で奇妙な外来語 (7)
第6章 歴史で読み解く日本語のフシギ (6)
それでは、具体的にどんな大疑問がなげかけられているかをサンプリングし、ご紹介しよう。私の主観的なサンプリングに過ぎないけれど・・・・。末尾の<>は章を示す。
*若者ことばの「やばみ」や「うれしみ」の「み」はどこから来ているものですか。<1>
*「あの~」や「えっと」が多い人は話し下手なんでしょうか。 <1>
*何でも略して言うと、正しい日本語が失われてしまうのではないでしょうか。 <1>
*外国人の友人が先生に「推薦状をお書きください」と言いました。丁寧な言い方なのに失礼な感じがするのはなぜですか。 <2>
*すでにお店に入っているのに「いらっしゃいませ」と言うのはなぜですか。 <2>
*電話に出るとき「佐藤です」ではなく「佐藤ですが」とか「佐藤ですけど」のようにも言うのはなぜですか。 <2>
*家族や赤ちゃんのことを話すときに尊敬語を使うのは間違った言い方なのでしょうか。 <2>
*日本語は難しい言語ですか。 <3>
*カナダでfutonと呼ばれるものが日本語の「布団」と全然違うのはなぜですか。 <3>
*手話って世界共通ですか。 <3>
*外国人と日本語で話すとき、伝わりやすいように気をつけるべき点を教えてください。 <3>
*「これ」「それ」「あれ」は、どんなふうに使い分けられますか。 <4>
*「それから」「そして」「それで」がどう違うか、その違いを教えてください。 <4>
*「思う」と「考える」の意味はどういうふうに違うのですか。 <4>
*イヌ年のことをなぜ「犬年」でなく「戌年」と書くのですか。 <4>
*「可能性」は「高い」のか「大きい」のか「強い」のか、どれを使えばいいですか。 <4>
*どうして日本語には外来語が多いのですか。 <5>
*外来語をカタカナで書くのはいつから、どのように始まったのですか。 <5>
*「エンターテインメント」が「エンターテイメント」「エンタメ」といったいろいろな語形で使われるのはなぜですか。 <5>
*「コンディション」には「状態」や「調子」では言い表せない特別な意味があるのでしょうか。 <5>
*「シミュレーション」が「シュミレーション」と発音されるのはなぜでしょう。 <5>
*新しい元号が「令和」になりましたが、日本の元号に言葉の規則性はありますか。 <6>
*むかしの落書きにはどいうことが書かれているのですか。 <6>
*明治時代、犬を「カメ」と呼ぶことがあったというのは本当ですか。 <6>
*「国」と「國」のように、昔と今とで形がちがう漢字があるのはなぜですか。 <6>
どうでしょう。けっこうおもしろい、あるいは興味深い疑問が発せられているように思う。今まで考えたことのない疑問を数多い。
日本語の大疑問に対し、回答の中には外国の諸言語との比較がけっこう含まれている。この点については「おわりに」に少し説明が加えられている。それを最後にご紹介しておきたい。
「国語研は研究対象を単に日本語だけに限定せず、世界のさまざまな言語と比較対照することで日本語の特徴を捉え、日本語を詳しくみることでこれまで気が付かれなかった諸外国のことばの特徴を探ることも研究内容となっています。」(p251)
ことばの世界って、おもしろいものだ。
お読みいただきありがとうございます。
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