遊心逍遙記

読書三昧は楽しいひととき。遊心と知的好奇心で本とネットを逍遥した読後印象記です。一書がさらに関心の波紋を広げていきます。

『MARGRET & H.A.REY'S Curious George and the Puppies』 Houghton Mifflin Harcourt

2022-10-13 10:28:52 | レビュー
 Curious George シリーズの英語絵本電子書籍版を読み継いでいる。
 本書の内表紙に ”Illustrated in the style of H.A.REY by Vipah Interactive" と、1998年のコピーライトが明記されている。
 今まで読んできたこのシリーズの1990年代ものは『Curious George Goes to a Movie』(1998)、『Curious George Makes Pancakes』(1998)、『Curious George Goes to The Beach』(1999)の3冊。H.A.REY の没後、イラストは、Vipah Interactive という組織が引き継いでいる時点の出版。
 H.A.REY が1977年に没し、MARGRET が1996年に没した。イラストの継承者だけが明記されているので、絵本の文は MARGRET の遺作かと推測するが不詳。
 勿論、本書もナレーション付きである。
 
 ジョージが友達・黄色帽子の男と散歩にでかけ、茂みから覗く子猫 (kitten) を見つける。付近で飼い主を探すが見つからない。そこで子猫を the animal shelter に連れて行き預かってもらおうとするところからお話が始まる。
 動物保護センターとでも呼ぶ施設だろうか。こんなところで、shelter という単語が使われるんだということをこの絵本で知った。
 施設の入口で、所長さん(the director of the shelter) に会い子猫を預けたいと黄色帽子の男は話す。快諾されて、施設内に入り、彼がが手続きをする間に、好奇心旺盛なジョージが騒動を引き起こすというお話。丁度その時、施設内で一匹の子犬(puppy) がおりから出て行方がわからず、施設内を皆で探しているところだったという。
 なぜ Puppies がタイトルに出てくるのか。施設内を見て回っていたジョージが、数多くの子犬と母親犬の入っているおりを見つけて、その内の一匹の子犬を身近で可愛がりたく思って扉を開けた。母親犬が猛然と飛び出し、子犬も全部続く。大騒動になる。だが、その結果、母親犬が迷子になっている子犬の居場所を見つけることに。
 ジョージは今回も怪我の功名で、所長さんから結果的には喜ばれることになる。
 子供たちにとっては、さまざまに想像力を働かせることで楽しめることだろう。

 kittenを初め、この絵本からも初めて知る単語やイディオム、日常でよく使われる表現のフレーズなど、けっこう学べて、おもしろい。

 茂みからジョウージと友達を見つめる子猫のところで、peek out (<外を>ちらっと見る)が出てくる。
 所長さんは、ジョージと友達に、”Come in, but watch where you step." と語る。「お入りください。階段に注意してくださいね」というところか。 watch your step という表現は知っていたが、こういう表現もあるんだと・・・。
 We have a large litter of puppies and one has gotten out of his cage.
と所長さんが話す。 litter には、「散らかしたもの、がらくた」という意味があるのは知っていたけれど、「[犬・豚などの]ひと腹の子」という意味もあることをこの絵本で知った。
 ジョージが施設内を見て回り、おりの中に犬が一杯いる部屋を見つける。そこでいろんな犬の表現として、yellow dogs, spotted dogs, sleek dogs, fluffy dogs, quiet dogs, yappy dogs などと出てくる。知らない単語も混じっている。子供たちはこの絵本から自然にこれらの表現を学ぶんだ・・・・。
 sleek(なめらかな、つやのある)、fluffy(ふわふわした)、yappy(キャンキャン吠える)という単語を学ぶ。
 Then George saw a wagging tail. という文。絵から wag の意味は推測できるが、この単語 wag(<体の部分などを>[上下・前後・左右に]振る、揺り動かす)も初めて。この一文、ジョージが沢山の子犬たちを見つけるきっかけになる。

 ジョージがおりの留め金を開けたために、母親犬と子犬たちが飛び出し、子犬たちが騒動を始める。犬が吠えるのは、bark なんだけど、猫がニャーニャー鳴くのは? The cats were meowing. という文が出てくる。meow という擬声語を知った。
 子犬に吠えられて、おりの中の兎たちがおりの反対側の隅にさっと動いてかたまっているイラストが絵の一部に描かれている。
The bunnies rustled into the corner of their cage. という説明がある。rustle(さらさらと音をさせて動く、動き回る)という単語が使われていた。これも知らない単語だった。
 一匹の子犬はおりの上に上って、そこから to watch the others get into mischief を決め込む。他の子犬がいたずらするのを高みの見物としゃれこむのだ。辞書を引くと mischief(いたずら)の語義説明の箇所に、get into mischief が事例として載っていた。
 子犬たちが一斉にいたずらをしている中で、ジョージが困り果てているイラストがおもしろい。

 所長さんがジョージにこんな言葉を投げかける。
George, you certainly caused a ruckus! ruckus(騒ぎ、騒動)という単語も初だった。
 だが、迷子の子犬を見つけることができたので、所長さんも探し回らずに済むことになり、子犬たちも無事おりに戻して、ハッピーエンドとなる。

 この絵本も実質22ページにまとめられている。このシリーズ、22ページが基本のようだ。
 今回も学ぶことがけっこうあった。私の英語リハビリ学習には丁度よい感じ・・・・。

 この絵本、最後に、「子犬をしつけるヒント5ヶ条」(FIVE HELPFUL PUPPY TRAINING TIPS) が記されている。子を持つ親への付録というところか。内容は本書を開いてご覧いただきたい。

 ご一読ありがとうございます。

 こちらもお読みいただけるとうれしいです。
『Curious George Color Fun』 Houghton Mifflin Harcourt
『MARGRET & H.A.REY'S Curious George and the Pizza Party』
           Houghton Mifflin Harcourt
『MARGRET & H.A.REY'S Curious George Goes to the Beach』
           Houghton Mifflin Company
『MARGRET & H.A.REY'S Curious George Makes Pancakes』
           Houghton Mifflin Company
『MARGRET & H.A.REY'S Curious George Goes to the Zoo』
           HOUGHTON MIFFLIN HARCOURT
『Curious George's First Day of School』
           Houghton Mifflin Harcourt
『Curious George Goes to the Hospital 』 MARGRET & H.A.REY
           Houghton mifflin Harcourt
『Curious George Learns the Alphabet』 H.A.REY
           Houghton Mifflin Harcourt
『Curious George and the Birthday Surprise』 MARGRET & H.A.REY
           Houghton Mifflin Company
『Curious George Goes to a Movie』 MARGRET & H.A.REY
           Houghton Mifflin Company