本書は2012年8月に出版された新書である。六ヶ所再処理工場はなぜか報道メディアに頻繁に採り上げられることはあまりない。巨大な施設に湯水の如く費用が費やされているにもかかわらず、原子力産業の分野では死角のような扱いになっている気がする。
この六ヶ所再処理工場がどれだけ危険な施設であるか、もし本格的に稼働すれば、日本のみならず地球全体にどれだけの災厄をもたらす可能性があるかを、最新の科学的知見とシュミレーションを駆使して、警鐘を発している書である。
著者は、2011年3月に発生した東京電力福島第一原発事故は無責任の積み重ねの結果であり、「想定外」という発言は自らが無能であることを認めることと大差なく、そのセリフを吐くことは無責任を自認することだと断定している。
現在の六ヶ所再処理工場は、「想定外」が招く亡国の危機をまさに秘めている施設であり、地震列島、津波列島である日本列島を考えると、「自爆スイッチ」の最たるものだと警告する。この再処理工場で、過酷事故が発生したらどうなるか、その危険性を解き明かしている。
本書は4章から構成されている。各章は共著者の分担執筆である。
第1章 「原子力後進国」日本の再処理工場が招く地球汚染の危機 小出裕章
六ヶ所再処理工場の持つ現実の問題点を具体的に事例を挙げて指摘している。私が理解した点を箇条書きで要約してみる。
*「平常運転時の住民の被曝量」評価が極端に甘い「仮定」の積み上げで行われているケースが多々ある。「さじ加減」による過小評価であり、「科学」には程遠い。それでも審査で承認されているということ。
*「日本原燃は、再処理工場から放出した放射性物質は大気中や海洋中で一様に拡散し、そこかに沈着することも蓄積することもない」(p39)という現実を無視した「仮定」をしている。科学を無視した好都合な解釈がまかり通っている。
*六ヶ所再処理工場の経済性は、稼働する前からはや十二分に破綻している。著者は具体的な事実を積み上げて指摘する。一例をあげよう。「六ヶ所処理工場の稼働率が100パーセントの場合、使用済み核燃料1トン当たりの再処理費用はおよそ4億円になる。だが、稼働率が20パーセントにしかならなければ、1トン当たり20億円へと跳ね上がる」という。英国とフランスに使用済み核燃料の再処理を委託した価格は1トン当たり約2億円だそうだ。(p47)
*高性能爆弾を積んだ米軍戦闘機が使用済み核燃料プールに墜落した事故想定の仮定のしかたを詳述したうえで、被害想定をシュミレーションしている。その1事例では、「1100キロメートルを越える彼方まで放射線管理区域にしなければならない」規模になる。
*高レベル放射性廃棄物の「ガラス固化体」製造工程はトラブルの連続である。
*仮に、原子力推進派の思惑どおりに核燃料サイクルが実行できたとしても、再処理を行わない場合に比べて経済的な負担が大きくなることは明白である。
*再処理に固執する理由は、核兵器の材料であるプルトニウムを独自に取り出す力をつけたいという軍事的要請だけである。一方、日本に自立した「原子力技術」はない。
第2章 シュミレーション「六ヶ所炎上」 明石昇二郎 協力・小出裕章
201X年6月11日午後5時、マグニチュード9級の「東北巨大地震」が発生したと想定した。震度7の揺れ、10メートルを越える津波、六ヶ所村付近の最大地震動830ガル。こんな想定での被害シュミレーションがドキュメントタッチで語られていく。この被害シュミレーションは、京都大学原子炉実験所の助手だった故・瀬尾健氏が作られた「原発事故災害評価プログラム」に、小出氏が協力して手を加え、再処理工場での災害評価を行ったものだという。他者が検証できるようソースタームを本書に明示されている。このシュミレーション結果を踏まええ、明石氏が「六ヶ所炎上」の様子を描き出したのだ。生き地獄になる様子がシュミレーションされている。
明石氏は章末を「この地獄を再び日本に出現させない唯一の道は、一刻も早く六ヶ所再処理工場を閉鎖・撤去すること以外にない」という文で締めくくる。
このシュミレーション結果は、実に戦慄すべきおぞましいものだ。一読をお勧めする。 六ヶ所村のこの原子力施設で過酷事故が起これば、日本全体、いや地球全体が危険になるということを、どこまで感じられるか。その感性が今求められていると思う。
第3章 核燃料サイクル基地は活断層の上に建っている 渡辺満久
渡辺氏は「現在停止中の原子力発電所再稼働に対して、必ずしも『絶対反対』というわけではない」(p110)という立場を最初に鮮明にしている。ただし、それは「活断層調査」や「安全審査」が完璧になされて問題がないと評価・判断できる場合という条件が付けられている。
現実はどうか。著者は、「活断層調査」や「安全審査」に重大な欠陥があると指摘する。著者は変動地形学という学問研究の分野から活断層について研究しているという。この研究分野の視点で、原発立地場所を次々に調査して、電力会社側が調査報告書をまとめ、原発建設の審査に提出し、審査を通過しているその調査結果を分析する。そして、現実の活断層の存在が認知されず、分断され、値切られて、電力会社側に都合のよい解釈で報告書がまとめられているという欺瞞を明瞭に分析し、その重大な欠陥を俎上にのせている。活断層の過小評価が如何になされ、活断層として解釈しない方向で、事実データがどのように解釈され歪曲化されているかを個別事例で分析して、指摘していく。
六ヶ所再処理工場と付近の活断層との関連が、詳細に分析されていることから、現在の調査報告書の内容結や審査結果に潜む重要な欠陥が見えてくる。空恐ろしい事実が見えてくる。
著者の結論は、「六ヶ所断層は活断層である」だから、危険この上ないということになる。
審査員の活断層評価の実態について、著者は辛辣な文を記す。引用しておこう。
「能力と見識のある研究者であれば、問題点の多くは容易に見抜くことができるレベルのものである。しかし、変動地形に関する知識が十分でない『専門家』であれば、電力会社と同様の『間違い』を犯す。のちに『間違い』だとわかっても、その『専門家』が責任を追及されることはない。彼らは安心して安全審査を引き続き担当し、新たな『間違い』を繰り返し、犯し続ける--。恐ろしいことに、これが現在の日本における原子力『安全審査』の実態である。」(p157-158)
審査の結果問題がないと結論だけもっともらしく公表されるのだ。背筋が寒くなる・・・・ではないか。
第4章 再処理「延命」のために浮上した日本「核武装」論 明石昇二郎
明石氏は、過去の取材事実も踏まえて、問題となる専門家を名指しで俎上に上げている。科学的知見ではなく、政策的視点を優先するまさに御用学者の役割を担っているとしか思えない。
著者は、原子力規制委員会設置法に「我が国の安全保障に資する」という新たな大義名分をドサクサに紛れ込ませてしまった政府のやり方に警鐘を鳴らしている。そこには「核武装」の準備という本音が見えるという点の怖さである。
六ヶ所再処理工場について、こんな数字も事実として記されている。
工場建設費は現在までに2兆2000億円が投下された。未だ本格稼働は不可の状態だ。
→ 当初の計画での建設費は「7600億円」とされていた(第1章、p46)。
再処理工場を稼働させなくても維持費が年間1100億年かかるのが実態だとか。
(2012年5月14日 東京新聞記事)。
著者の結論は明瞭である。
「今、六ヶ所再処理工場の『延命』を許せば、将来にわたって禍根を残すことになる。」 (p189)
脱原発とともに脱再処理! 重要なテーマである。
事実を客観的に見つめることから始めねばならない。科学的事実を政策的思惑で歪めてはならない。事実を認識するために一読の価値がある。
ご一読ありがとうございます。
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本書に出てくる用語と関連語句をネット検索してみた。検索範囲のものを一覧にしておきたい。
六ヶ所再処理工場 :ウィキペディア
日本原燃 :ウィキペディア
日本原燃 ホームページ
下北半島東部の地質構造調査の実施状況について 平成25年9月25日発表
原子燃料サイクル
再処理工場(2010年撮影)
報告書等 ← 問題事象などの公式発表報告書等の項目一覧ページ
六カ所村ってどんなとこ? :「日本原燃」
こういうスタイルで情報発信しているということを知った次第です。
六カ所村ウラン濃縮工場 :「原発・核関連地図」
上空からの地図。Google地図がリンクされています。
六ヶ所再処理工場が平常運転時に予定している被曝 小出裕章氏
原子力資料情報室通信385号(2006/7/1)より :「原子力資料情報室(CNIC)」
六ヶ所再処理工場の潜在的危険性―使用済み燃料プールの事故災害評価― 上澤千尋氏
原子力資料情報室通信381号(2006/3/1)より :「原子力資料情報室(CNIC)」
六ヶ所再処理工場の災害評価に関する覚書 2006.4.2(5.9改定) 小出裕章氏
:「原子力安全研究グループ」
六ヶ所再処理工場に伴う被曝-平常時と事故時 小出裕章氏
:「原子力安全研究グループ」
再処理を止めよう!青森県シンポジウム 2006.7.15(土)
原子力発電は危険、プルサーマルはさらに危険 小出裕章氏 2009.12.22(火)
石巻市、第3回「プルサーマル市民勉強会」 :「原子力安全研究グループ」
活断層 :「防災科学技術研究所」
断層 :ウィキペディア
活断層データベース :「産業技術総合研究所」
特集 活断層とは何か ← pdfファイルです。
原子燃料サイクル施設を載せる六ヶ所断層 渡辺満久・中田高・鈴木康弘
原子力施設安全審査システムへの疑問 -変動地形学の視点から- 渡辺満久氏
渡辺満久教授、現地での活断層説明後のインタヴュー :YouTube
渡辺満久教授、現地での活断層説明-1 :YouTube
原子力村に配慮して活断層を値切る :YouTube
原発に活断層ドミノ 「変動地形学」でクロ判定(真相深層)
2012年12月28日 日本経済新聞
地形変動学的調査とリニアメント調査 広島工業大学 中田 高 氏
日本原子力発電賀発電所直近の浦底断層を例に
「原子力規制委 断層調査の暴走が心配だ」(産経社説)に反論する
2012-12-30 :「木走日記」
比較変動地形研究の目的と方法 植村善博氏
「御用学者」の異常な審査 危険な「六ヶ所」活断層 :「FACTA ONLINE」
変動地形学的調査についてのメモ 平成18年11月22日 事務局 原子力規制委員会資料
出戸西方断層と六ヶ所村再処理工場 :「保坂展人のどこどこ日記 世田谷区長」
最新情報 核燃・むつ小川原 :「Web東奥」(東奥日報)
空撮・日本の核燃料サイクルのカギを握る青森県・六ヶ所村の再処理工場。見込み違いとトラブル続きで、建設が遅れに遅れているようです。
:「今月の写真」2011年11月撮影 島村英紀氏
直下に大きな活断層・六ヶ所村、ウラン濃縮工場と核燃料サイクル施設:「原発問題」
六ヶ所村核燃料再処理事業反対運動 :ウィキペディア
青森・六ヶ所村「核施設」に活断層と東京湾に流れ込む放射能汚染水(1)
週間実話 2011年6月23日 :「exiteニュース」
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今までに以下の原発事故関連書籍の読後印象を掲載しています。
読んでいただけると、うれしいです。
『この国は原発事故から何を学んだのか』 小出裕章 幻冬舎ルネサンス新書
『ふるさとはポイズンの島』島田興生・写真、渡辺幸重・文 旬報社
『原発事故の理科・社会』 安斎育郎 新日本出版社
『原発と環境』 安斎育郎 かもがわ出版
『メルトダウン 放射能放出はこうして起こった』 田辺文也 岩波書店
『原発をつくらせない人びと -祝島から未来へ』 山秋 真 岩波新書
『ヤクザと原発 福島第一潜入記』 鈴木智彦 文藝春秋
『官邸から見た原発事故の真実』 田坂広志 光文社新書
原発事故及び被曝に関連した著作の読書印象記掲載一覧 (更新1版)
この六ヶ所再処理工場がどれだけ危険な施設であるか、もし本格的に稼働すれば、日本のみならず地球全体にどれだけの災厄をもたらす可能性があるかを、最新の科学的知見とシュミレーションを駆使して、警鐘を発している書である。
著者は、2011年3月に発生した東京電力福島第一原発事故は無責任の積み重ねの結果であり、「想定外」という発言は自らが無能であることを認めることと大差なく、そのセリフを吐くことは無責任を自認することだと断定している。
現在の六ヶ所再処理工場は、「想定外」が招く亡国の危機をまさに秘めている施設であり、地震列島、津波列島である日本列島を考えると、「自爆スイッチ」の最たるものだと警告する。この再処理工場で、過酷事故が発生したらどうなるか、その危険性を解き明かしている。
本書は4章から構成されている。各章は共著者の分担執筆である。
第1章 「原子力後進国」日本の再処理工場が招く地球汚染の危機 小出裕章
六ヶ所再処理工場の持つ現実の問題点を具体的に事例を挙げて指摘している。私が理解した点を箇条書きで要約してみる。
*「平常運転時の住民の被曝量」評価が極端に甘い「仮定」の積み上げで行われているケースが多々ある。「さじ加減」による過小評価であり、「科学」には程遠い。それでも審査で承認されているということ。
*「日本原燃は、再処理工場から放出した放射性物質は大気中や海洋中で一様に拡散し、そこかに沈着することも蓄積することもない」(p39)という現実を無視した「仮定」をしている。科学を無視した好都合な解釈がまかり通っている。
*六ヶ所再処理工場の経済性は、稼働する前からはや十二分に破綻している。著者は具体的な事実を積み上げて指摘する。一例をあげよう。「六ヶ所処理工場の稼働率が100パーセントの場合、使用済み核燃料1トン当たりの再処理費用はおよそ4億円になる。だが、稼働率が20パーセントにしかならなければ、1トン当たり20億円へと跳ね上がる」という。英国とフランスに使用済み核燃料の再処理を委託した価格は1トン当たり約2億円だそうだ。(p47)
*高性能爆弾を積んだ米軍戦闘機が使用済み核燃料プールに墜落した事故想定の仮定のしかたを詳述したうえで、被害想定をシュミレーションしている。その1事例では、「1100キロメートルを越える彼方まで放射線管理区域にしなければならない」規模になる。
*高レベル放射性廃棄物の「ガラス固化体」製造工程はトラブルの連続である。
*仮に、原子力推進派の思惑どおりに核燃料サイクルが実行できたとしても、再処理を行わない場合に比べて経済的な負担が大きくなることは明白である。
*再処理に固執する理由は、核兵器の材料であるプルトニウムを独自に取り出す力をつけたいという軍事的要請だけである。一方、日本に自立した「原子力技術」はない。
第2章 シュミレーション「六ヶ所炎上」 明石昇二郎 協力・小出裕章
201X年6月11日午後5時、マグニチュード9級の「東北巨大地震」が発生したと想定した。震度7の揺れ、10メートルを越える津波、六ヶ所村付近の最大地震動830ガル。こんな想定での被害シュミレーションがドキュメントタッチで語られていく。この被害シュミレーションは、京都大学原子炉実験所の助手だった故・瀬尾健氏が作られた「原発事故災害評価プログラム」に、小出氏が協力して手を加え、再処理工場での災害評価を行ったものだという。他者が検証できるようソースタームを本書に明示されている。このシュミレーション結果を踏まええ、明石氏が「六ヶ所炎上」の様子を描き出したのだ。生き地獄になる様子がシュミレーションされている。
明石氏は章末を「この地獄を再び日本に出現させない唯一の道は、一刻も早く六ヶ所再処理工場を閉鎖・撤去すること以外にない」という文で締めくくる。
このシュミレーション結果は、実に戦慄すべきおぞましいものだ。一読をお勧めする。 六ヶ所村のこの原子力施設で過酷事故が起これば、日本全体、いや地球全体が危険になるということを、どこまで感じられるか。その感性が今求められていると思う。
第3章 核燃料サイクル基地は活断層の上に建っている 渡辺満久
渡辺氏は「現在停止中の原子力発電所再稼働に対して、必ずしも『絶対反対』というわけではない」(p110)という立場を最初に鮮明にしている。ただし、それは「活断層調査」や「安全審査」が完璧になされて問題がないと評価・判断できる場合という条件が付けられている。
現実はどうか。著者は、「活断層調査」や「安全審査」に重大な欠陥があると指摘する。著者は変動地形学という学問研究の分野から活断層について研究しているという。この研究分野の視点で、原発立地場所を次々に調査して、電力会社側が調査報告書をまとめ、原発建設の審査に提出し、審査を通過しているその調査結果を分析する。そして、現実の活断層の存在が認知されず、分断され、値切られて、電力会社側に都合のよい解釈で報告書がまとめられているという欺瞞を明瞭に分析し、その重大な欠陥を俎上にのせている。活断層の過小評価が如何になされ、活断層として解釈しない方向で、事実データがどのように解釈され歪曲化されているかを個別事例で分析して、指摘していく。
六ヶ所再処理工場と付近の活断層との関連が、詳細に分析されていることから、現在の調査報告書の内容結や審査結果に潜む重要な欠陥が見えてくる。空恐ろしい事実が見えてくる。
著者の結論は、「六ヶ所断層は活断層である」だから、危険この上ないということになる。
審査員の活断層評価の実態について、著者は辛辣な文を記す。引用しておこう。
「能力と見識のある研究者であれば、問題点の多くは容易に見抜くことができるレベルのものである。しかし、変動地形に関する知識が十分でない『専門家』であれば、電力会社と同様の『間違い』を犯す。のちに『間違い』だとわかっても、その『専門家』が責任を追及されることはない。彼らは安心して安全審査を引き続き担当し、新たな『間違い』を繰り返し、犯し続ける--。恐ろしいことに、これが現在の日本における原子力『安全審査』の実態である。」(p157-158)
審査の結果問題がないと結論だけもっともらしく公表されるのだ。背筋が寒くなる・・・・ではないか。
第4章 再処理「延命」のために浮上した日本「核武装」論 明石昇二郎
明石氏は、過去の取材事実も踏まえて、問題となる専門家を名指しで俎上に上げている。科学的知見ではなく、政策的視点を優先するまさに御用学者の役割を担っているとしか思えない。
著者は、原子力規制委員会設置法に「我が国の安全保障に資する」という新たな大義名分をドサクサに紛れ込ませてしまった政府のやり方に警鐘を鳴らしている。そこには「核武装」の準備という本音が見えるという点の怖さである。
六ヶ所再処理工場について、こんな数字も事実として記されている。
工場建設費は現在までに2兆2000億円が投下された。未だ本格稼働は不可の状態だ。
→ 当初の計画での建設費は「7600億円」とされていた(第1章、p46)。
再処理工場を稼働させなくても維持費が年間1100億年かかるのが実態だとか。
(2012年5月14日 東京新聞記事)。
著者の結論は明瞭である。
「今、六ヶ所再処理工場の『延命』を許せば、将来にわたって禍根を残すことになる。」 (p189)
脱原発とともに脱再処理! 重要なテーマである。
事実を客観的に見つめることから始めねばならない。科学的事実を政策的思惑で歪めてはならない。事実を認識するために一読の価値がある。
ご一読ありがとうございます。
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本書に出てくる用語と関連語句をネット検索してみた。検索範囲のものを一覧にしておきたい。
六ヶ所再処理工場 :ウィキペディア
日本原燃 :ウィキペディア
日本原燃 ホームページ
下北半島東部の地質構造調査の実施状況について 平成25年9月25日発表
原子燃料サイクル
再処理工場(2010年撮影)
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六カ所村ってどんなとこ? :「日本原燃」
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六カ所村ウラン濃縮工場 :「原発・核関連地図」
上空からの地図。Google地図がリンクされています。
六ヶ所再処理工場が平常運転時に予定している被曝 小出裕章氏
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:「原子力安全研究グループ」
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断層 :ウィキペディア
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その点、ご寛恕ください。)
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『この国は原発事故から何を学んだのか』 小出裕章 幻冬舎ルネサンス新書
『ふるさとはポイズンの島』島田興生・写真、渡辺幸重・文 旬報社
『原発事故の理科・社会』 安斎育郎 新日本出版社
『原発と環境』 安斎育郎 かもがわ出版
『メルトダウン 放射能放出はこうして起こった』 田辺文也 岩波書店
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『ヤクザと原発 福島第一潜入記』 鈴木智彦 文藝春秋
『官邸から見た原発事故の真実』 田坂広志 光文社新書
原発事故及び被曝に関連した著作の読書印象記掲載一覧 (更新1版)
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