SaltyDog

               by kaji

ヨーロッパ旅行記(8)

2005-07-12 | ヨーロッパ旅行記
 次に向かったのはネス湖だ。ネス湖の少し手前で僕らは車の中で寝ることにした。昨晩もそうしたし、その夜も少なくとも僕とヒロシはそうしようと考えていた。ところがヒデヒコが、「俺は車の中じゃ眠れないので、ホテルかB&B(ベッド&ブレックファスト)に泊まろう」と言い出した。お金もあまりなかったし、彼を説得したが聞き入れられない。しょうがないから、「じゃあ、おまえだけホテルに泊まれよ、俺達は車の中で寝るから。で、明日の朝8時に迎えに来るから、それまでに準備をしておいてくれよ」と言った。すると彼は「8時じゃ朝食が食べられないので、9時に迎えに来てくれ」とぬかしやがった。少なくとも僕は カチン ときたけど、その場はなんとか抑えて、「よし、わかった、じゃ9時にしよう」と言ってかれと別れた。 この時期英国は夜11時頃まで薄明るい。まだ時間も早かったし、ヒロシと僕はドライブでもするかってことで、沈みそうでなかなか沈まない太陽を追いかけて走りつづけた。

 どれくらい時間が経っただろうか、とても見晴らしのいい丘で車を止めて、真っ赤に焼けた空をながめていた。横に居るのが男であることがもったいないほどの景色だった。二人とも黙ったままその景色をただ見ていた。沈黙を破ったのは僕だった「なあ、ヒロシ。もう、このまま行っちゃおうか」つまり明日の朝ヒデヒコを迎えに行かずに行ってしまおうかということを言った。するとヒロシは少し驚いたような顔をして僕の方を見た。「ヨシキ、おまえからそういう言葉を聞くとは思っていなかったよ。実は俺は最初からそうしようと思っていたんだ。」お互い顔を見合わせて笑った。「あいつ(ヒデヒコ)だってもう子供じゃないんだし、1人でキャンプに戻れるさ」「そうだよなぁ」ってことで合意し、僕達は彼を置き去りにして車を走らせた。

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