今日も最高気温は26度と涼しい一日でしたが、俳句教室の中はちょっと蒸し暑かったかしら…みんなは座って聞いているだけなので、エアコンが強いと寒いという。なのに私は暑い!殆ど立って話をしているからでしょうか。滅多に寒さなどは感じたことがありません。みんなにはエアコンの風が行くのに、私が立っている黒板の方へは風が来ないのです。だから私に合わせてちょうどよくすると、みんなには寒いということになるんです。これはエアコンの設置場所がよくない…言い換えれば教室の作りがよくないということ。黒板は動かせないんですからね…
でも、今時黒板を使っているところは少なくなりましたよ。殆どがホワイトボードに変っています。どっちかというと私にとっては黒板よりホワイトボードの方がいい…だって手が汚れませんもの。しかし、書きやすいのは馴れている分黒板の方かな。どっちにしても長所と短所があるんです。聞くところによると最近は電子黒板(?)とかが導入されたと…考えただけで恐ろしくって使えそうもありませんが。
今日の兼題は〝赤蜻蛉〟、秋の季語です。
赤とんぼ筑波に雲もなかりけり 正岡子規
これは、文芸における「写生」を唱えた子規の、まさに〝これぞ写生〟という句ですね。真っ青な雲一つない空にくっきりと浮かぶ筑波山、目の前には赤とんぼが飛び交うという、遠景と近景、青と赤という対比が見事に決まって、秋らしい気持の良い句になっています。
ところで、日本は、日本書紀や古事記で「おおやまととよあきつしま」(大倭豊秋津島または大日本豊秋津洲)といわれたほどのとんぼ王国でした。「あきつ」はとんぼの古語ですから「あきつしま」とは、とんぼの島を意味するんです。特に8月から9月にとんぼの数がピークになりますが、それはいわゆる「赤とんぼ」が数多く見られるようになるからなのです。そもそも赤とんぼという名前のとんぼはいないんですってよ。赤やオレンジ色など赤みがかった色のとんぼすべてを指す俗称で、 トンボ目トンボ科アカネ属のとんぼの総称です。日本だけでも21種いるとか。さらに狭くいえば、その中の秋茜(あきあかね)だけをさす場合もあるそうです。
だから、童謡の「赤とんぼ」も、どの種類の赤とんぼかと長年論議されてきたという、とても興味深い話がありましたので、みなさんにもご紹介しますね。
まず、赤とんぼの代表である秋茜は夕方にはあまり飛ばないという習性が知られているため、「夕焼け小焼けの赤とんぼ」という歌詞に矛盾すると指摘されたんです。 それで、夕焼けの中でよく飛ぶのを見かける銀やんまなどが夕日を浴びて赤く見えたという説が主張されますが、一方では、夕焼けが早く訪れる東北などでは、夕焼けの時間帯と秋茜の群飛が一致し、そのような風景が見られるという反論がなされました。結局「やはり赤とんぼの歌のとんぼは日本特産種の秋茜がふさわしいし、きっとそうにちがいない」ということで論争は終止符を打ったかに見えたんですが、「このとんぼは薄羽黄(うすばき)とんぼではないか」という説が新たに浮上します。なぜかというと、この童謡の作詞家・三木露風の故郷は兵庫県龍野(現たつの市)。西日本では、秋茜よりも薄羽黄とんぼが一般的で、秋に群れをなして飛ぶのを見かけるのもこれだからです。そして西日本ではこれも赤とんぼといわれているのです。しかし、この薄羽黄とんぼ説の弱点は「止まっているよさおの先」のところ。この薄羽黄とんぼは物にとまるときに何かの先端に体を水平にしてとまるのではなく、枝の途中や葉などにお尻を下にしてぶらりとたれさがってとまることが多いので、歌のイメージと矛盾すると指摘されたこと。これについては、三木露風がこの歌を着想したのは、さおの先端に止まっている赤とんぼ(秋茜)を見て、子供の頃に夕焼けの中で見たとんぼの飛んでいる様子を思い出した時だと回想していることから、さおの先にとまるとんぼと、夕焼けに飛ぶとんぼが別のイメージの組み合わせであると説明されました。 つまり、目の前のさおの先に止まる「秋茜」をきっかけにして、遠い昔の子供時代に見た「薄羽黄とんぼ」の群舞を思い出した、というのが真相のようだと述べてありました。
ヘエッ、面白いですね~。童謡の歌詞の〝とんぼ〟一つでさえも、こうやって昆虫学者(博士?)からすると〝これはおかしいのでは?〟と議論の対象になるのですから、私たちもなまじっかな知識を俳句に詠んでしまうと、何も知らない人なら〝へエッ、そうなんだ!〟と、感心したり、いい句だと思ったりしてしまうこともあるかも知れませんが、よく知っている人からすれば、〝この作者は何もわかっていない〟とか〝この句は嘘だ!〟とか、思われてしまうかも知れませんね。だから頭の中だけで適当にこねくり回して作ってもすぐに見破られてしまいますから、しっかり観察して真実を詠むようにしないといけません。いくら創造であったとしても…真実が底になければ人は感動してくれませんよ。
ウウ~ン、また、また難しくなりましたね。いや、いや怖がらないで!焦らず一歩一歩行けば大丈夫。さあ、ガンバロウ!
写真は、〝彼岸花〟。今年はなかなか咲かないと思っていましたら、昨日のお彼岸にはにょっきりと蕾が出ていました。ああ、やっぱり…時を間違わない曼珠沙華はスゴイ! 今朝見れば、開きかかっていましたので、句会が終って戻る頃にはもっと開いているだろう…と楽しみに帰ってきましたら、ナント主人が草刈機でバッサリ…ああ、ムザン!全部無くなっていました。クヤシイ!