ちわきの俳句の部屋

メカ音痴おばさんの一念発起のブログです。
人生の後半を俳句にどっぷりと浸かって、…今がある。

俳句の〝句またがり〟とは?

2019年09月22日 | 俳句

 今日は朝から雨がザアザアと…午後になると風もだんだんヒドくなりました。外に出ないので実感はないのですが、窓から見える柿の木が風に揺さぶられて今にも折れそうなのを見るとかなりの暴風雨のようです。もう暗くなってきましたので、明朝外に出てみるとその風の被害も分かるでしょう。去年は皇帝ダリアがのきなみダメになりましたし、木の枝なども折れて吹き飛ばされていましたが…

 ニュースでは明日未明に山口県に最接近すると…もちろん飛行機もフェリーも鉄道もみんな運行中止。でも明日はお彼岸の法要で広島へ義母たちと行くことになっていますので大丈夫かしら。夜中に通り過ぎ日本海の方へ抜けて行くようなので、余波は残っているだろうが、徐々に遠ざかるのでOKだと…これは主人の弁。まあ、お盆のお墓参りも春のお彼岸にも行っていませんので、おばあちゃんはどうしても行きたいようですから仕方がありません。

 ところで、昨日は朝方急に気温が下がって最低気温が18度、最高気温も25度と、とても半袖では寒くってすぐに長袖を出して着ました。雨も降ったり止んだりと…あれはもう台風17号の影響だったのでしょうか。

 午後からは「宇部馬酔木」の句会で、行って見ると皆揃っていて…〝あら、珍しい人が…〟と。〝一年ぶり?いやもっとかしら。ビックリするから大雨がふるでしょうが…〟と久し振りのMさんに言うと、みんなも大笑い。句会も和やかに始まりました。

 この句会では兼題がありませんので、当季雑詠です。しめて75句の10句選。でも使われた季語にはまだ夏が混在していましたね。例えば、「炎天」「蛸」「水馬」「新生姜」「夏果て」「蟻」「日傘」「蟬」「夕凪」「毛虫」など。秋の季語ではやはり「月」や「虫」に関わるものが多くて、月などは10句もありましたよ。

 以前にも書いたことがあると思うのですが、今回は特にリズムの気になった句が結構ありました。俳句は基本的に「五・七・五」という定型詩であるということ。これを音数の合計が17音であれば定型だと思っている人がいるような。いつも言っていることなんですが、5音と7音と5音のかたまりで詠むこと…もし収まらないときは上五は字余りにしてもいいが、中七や下五はできる限り守って詠むこと。もちろん山頭火のような自由律の俳句は別ですよ。

 そう言っているのに…今回出た〈青北風や源平の戦の跡へ〉の句に〝合計が17音でもこれはリズムがよくないですね〟と言うと、作者から〝これは句またがりで詠んだんです。だからいいのでは?〟と。他にも〈爽やかやマラソンのピストル発す〉や〈飛蝗跳ぶ除草剤撒きし庭にも〉のような合計17音の句も出ていました。

 確かに俳句には破調の句と言って、「句またがり」や「句割れ」の句があります。Wikipediaでは「句またがり」を〝短歌、俳句、川柳といった句数の定まった定型詩で使われる技法である。小池光は「文節のおわりと句の切れ目が一致しない時、これを『句またがり』という。」と定義している。と説明しています。

 その例として、西東三鬼の〈算術の少年しのび泣けり夏〉の句を挙げて、2句目から3句目にかけてが句またがりになっていると。要するに、子規の〈幾たびも/雪の深さを/尋ねけり〉というような句は、5/7/5でできているので正調(定型)といわれるもの。それに対して、芭蕉の〈海暮れて/鴨の声ほのかに/白し〉の句は、5 /9 /3 (または中9を5 /4とも)となって、「ほのかに」が中七と下五にまたがっていますので句またがり。字余りや句割れというのも俳句の一種の技法なんです。その字余りや破調によって独特の効果をもたらすことも多いのですが、初心の頃は基本的なリズムで音節の切れと意味の区切れを一致させて、まず音感に慣れることの方が大切でしょうね。

 というわけで、句会に出た前掲の3句も確かに句またがりと言えなくはないのですが、例句に出た句と読み比べてみて下さい。三鬼の句にしても芭蕉の句にしても575のリズムが底辺に流れている気がしませんか。句またがりであってもそれを感じさせない、というよりそれが却って快く響いてきて、内容の詩情を高めるという効果があることを考えてみて下さい。

 ところが、前掲の3句は読みづらいため却って違和感だけを与えて心に響いてきません。むしろ〈青北風や源氏平家の戦跡〉〈マラソンの合図鳴りたり爽やかに〉〈除草剤撒きたる庭を飛蝗跳ぶ〉のように素直に正調で詠んだ方がいいのではないでしょうか。俳句も何年かやっているとだんだん平凡なものではあきたらず、ちょっと変ったことをしたくなるのかも知れませんが、やはり無理をせず学んでほしい。格好をつけることよりも内容の方に力を注ぐようにしたいものですね。

 写真は、以前俳画で〝鶏頭〟を描いたと言いましたが、その花がお隣さんに咲いていましたので撮らせてもらいました。〝槍鶏頭〟と書いていましたが、調べると〝ノゲイトウ系〟で、〝ホルン〟とか〝シャロン〟とかいって、いろいろな名前がありました。

    

コメント (5)
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