ちわきの俳句の部屋

メカ音痴おばさんの一念発起のブログです。
人生の後半を俳句にどっぷりと浸かって、…今がある。

俳句で忌日を詠むのは?

2019年09月02日 | 俳句

 今日は昨日につづきまた雨、でも小雨ですから…今はもう止んでいますが、なんとも湿っぽくて不快指数が高い!だからかしら。明日の午後からは句会なんですが、何となく気が重いです。でも、それだけではなく、気になることもあるから。何ですかって?それは私の始めての体験、いや挑戦(笑)かしら、それがあるからなんです。やはり、初めてのことには緊張しますもの。聞きたい?いやいや、それは明日にでも…楽しみに待っていて下さい。アハッ!

 ところで、歳時記を開くとこの時期、忌日の季語が並んでいます。9月1日は、「木歩忌」と「夢二忌」、今日の2日は「温亭忌」、3日が「迢空忌」「夢窓忌」と。その「夢二忌」は、もちろん詩人・画家で有名な竹久夢二の忌日ですが、「木歩忌」は、俳人の富田木歩の忌日なんです。でも、夢二は昭和9年、木歩は大正12年。もうお分かりでしょう。木歩はもしかしたら関東大震災で?…と。まさにそうなんです。

 昔のことです。私が初心の頃、確か2学期の始業式のことを詠もうと思って、季語を捜していました。するとちょうど9月1日が「木歩忌」とあって、それを使って詠んでみたんです。すると、私が師事している先生から〝君、木歩のことをよく知っているのかね〟と聞かれ、〝知りません。ただ9月1日だということで…〟〝忌日というものはよく知りもしないのに詠むものではありませんよ〟と言われ、ハッと顔から血が引くような気がしたのをよく覚えています。

 それ以後私は安易に忌日の季語を使うことが出来なくなりました。この前の7月17日は秋櫻子の忌日で、「紫陽花忌」「群青忌」「喜雨亭忌」などと詠まれますが、私は秋櫻子先生の謦咳に一度も接したことがありませんので、やはり詠めません。何だかよく知りもしないのに…と思われそうで、先生にも失礼だし。

 ところで、先生から言われて、「木歩忌」のことはある程度調べましたので知識はありますよ。が、その過酷な人生を知れば知るほど、なまじっかなことでは詠めないと思いましたね。知りたい方はウィキペディアに詳しく書いてありますので是非読んでみて下さい。ここにはその人物の概略だけ載せておきますね。

 富田木歩(とみた もっぽ、1897年4月14日ー1923年9月1日)は俳人。本名は一(はじめ)。東京市本所区新小梅町(現在の東京都墨田区向島一丁目)生まれ。最初の俳号は吟波、後に木歩と号す。誕生の翌年、高熱のため両足が麻痺し生涯歩行不能となる。俳号の木歩は、彼が歩きたい一心で自分で作った木の足に依る。富田木歩は歩行不能、肺結核、貧困、無学歴の四重苦に耐えて句作に励み、「大正俳壇の啄木」と言われ将来を嘱望されるが、関東大震災で焼死した。26歳の生涯であった。(ウィキペディアより)

 また、女流作家で俳人でもある吉屋信子さんは、1963年(昭和38年)生前の木歩の親友・新井声風に会い話を聞き、著書「底の抜けた柄杓-憂愁の俳人たち-『墨堤に消ゆ』」の中で、木歩の若い宗匠ぶりを次のように書いています。「……その狭い長屋の六畳からはみ出るほど人が集まったとは、若くして吟波には人間の魅力があったと思える。不具にありがちな陰気な暗さやひがみはまったく彼にはなく、じつに明朗でかつもの柔らかに謙譲だった……」と。

 弟子たちも、先生とは言わず、子供の頃からの〝いっちゃん〟で呼んでいたとか。そのことからでも人柄が分かりますよね。

 木歩の置かれた苛酷な境遇と、純真な才能溢れる青年像、これは生涯の友となる新井声風にも驚きであったらしく、その出逢い以後は声風の惜しみない支援によって、木歩は、俳句は勿論のこと俳論も随筆も書ける新進の俳人として、その特異な境涯と共に、全国的に知られる俳人となっていったのです。

 とにかくスゴイ人です。小学校さえも行けなくて、独学でここまで…と思うだけでも並みの人ではないでしょう。これでもか、これでもかと、自分だけではなく一家中に襲いかかる不幸は手を緩めません。きっと私だったら神も仏もいないのかと怨みに思ったことでしょうが、彼は諦めず投げ出さず弱音を吐かずガンバル…。だから友人や弟子たちがみんな助け合って付いていったんでしょうね。

 亡くなる前の7月、弟妹につづく母の死、自らの病苦、こういう中で、声風はじめ俳句の友人たちが木歩を慰めようと、仕立ててくれた一夜の舟遊び。芸妓を乗せての賑やかな船遊びは、太鼓や三味線の音や、さざめく声を響かせて暗い夜の川面を屋形船の灯が過ぎていきます。小康状態の木歩にとっては唯一の豪勢な経験だったとか。その時〈夜釣りの灯なつかしく水の闇を過ぐ〉と詠んで、束の間の幸せな時が持てたのに…なのに、最も苛酷な運命が最期に待っていたとは!本当に涙なしには到底読めませんよ。ムゴイとしか言いようがありませんもの。

 木歩の人生を思うとき、私たち…いや私は恵まれています。贅沢すぎますよね。しっかり反省して精進しなくては…みなさんも、ほらネッ!

 写真は、〝落ち柿〟。もうこんなに大きくなったのに、この雨でボロボロ落ちてしまいました。もう少し辛抱すれば(誰が?)食べられるのに、残念!今年も柿は裏年かしら。アアッ… と、ここまで書いて…

 聞いて下さい。これと同じ文章を前に書いたんですが、ブログから消えてなくなったんです。クヤシイ!写真を入れようとした時どこかで操作ミスをしたのかしら?さっぱり分からないのですが、以前にもこういうことがあって、さんざん苦労しましたので、いつも気を付けてはいるんですよ。でももう二度と同じ文章は書けませんので、前に書いた方がよかったような…バカですね。昨日からドジってばかり。三度あることは…ですから、もう一度あるかも。明日の大事な時ではないといいのですが…ね、祈って下さい。

 

 

コメント (2)
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