あの悪夢のような東北大地震から6年が経過した。
福島原発事故による放射能除染作業はほぼ終了したという。
環境省が計上した費用は2兆6000億円、延べ3000万人の作業員を要した。
■2016年11月福島県沖地震は・・・
福島原発事故による放射能除染作業はほぼ終了したという。
環境省が計上した費用は2兆6000億円、延べ3000万人の作業員を要した。
除染作業おおむね終了へ 効果の検証を 3月12日 4時55分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170312/k10010907921000.html?utm_int=nsearch_contents_search-items_005
6年前の原発事故で発生した放射性物質を取り除く除染は、福島県の帰還困難区域を除いて、今月末までにおおむね作業が終わる予定です。
一方、環境省が計上した費用は2兆6000億円に上るほか、除染で出た廃棄物の処分の道筋も不透明なことから、専門家は、節目を迎えた除染が復興につながっているのか効果を検証する必要があると指摘しています。
原発事故のあと、関東から東北にかけての8つの県の合わせて100の市町村で行われてきた除染は、福島県の長期間、住民の帰還が難しい帰還困難区域を除いて、今月末までにおおむね作業が終わる予定で、震災発生の翌年から5年余り続いた事業が節目を迎えます。
これを受けて、環境省がまとめた結果、これまでの除染に延べ3000万人以上の作業員が携わったほか、今年度までに環境省が計上した予算はおよそ2兆6000億円に上ることがわかりました。
一方、避難区域の中には、放射線量が下がるなどして避難指示が解除されても学校や病院などのインフラの整備が遅れ、多くの住民が帰還しない意向を示すケースもあるほか、これまでの除染で出た東京ドーム13杯分にあたる1600万立方メートルの廃棄物は処分の道筋がついておらず、今も仮置き場や住宅の庭先など住民に身近な場所に置かれたままになっています。
このため、専門家は、除染が地域の復興につながっているのか、効果を検証する必要があると指摘しています。
専門家「総合的に検証すべき」
避難区域の復興に詳しい大阪市立大学大学院の除本理史教授は「避難区域で避難指示が解除されたあと、住民が戻るか戻らないかを判断する条件の1つが放射線量なのは間違いない。ただ、医療機関や学校などのインフラの復旧や近隣のコミュニティがまだ回復していないことも戻れない理由にあがっていると思う」と述べ、除染には放射線量を下げる一定の効果はあったものの、必ずしも地域の復興に直結していない現状があると指摘しています。
そのうえで、「除染は今まで経験のなかった事態で、震災後、国がかなり主導する形で枠組みが作り上げられたため、どこを除染すると効率的なのかなどの進め方をめぐって、地元のニーズとのずれが生じるといった課題も出てきている。地元の情報や課題を吸い上げて、除染の在り方を柔軟に見直すとともに、これまでの除染の効果を費用面の数字を含めて、総合的に検証すべき時期に来ている」と述べ、節目を迎えた除染の効果をきちんと検証したうえで、来年度(平成29年度)から始まる福島県の帰還困難区域での進め方を考える必要があると指摘しています。
環境相「除染には一定の効果」
一方、山本環境大臣は、これまで行われてきた除染について、今月7日の会見で、「除染の地道な作業が環境の改善にかなり貢献してきていることを被災者の方々にまずはわかっていただきたい」と述べ、除染には一定の効果があったことが確認されたという考えを強調しました。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170312/k10010907921000.html?utm_int=nsearch_contents_search-items_005
6年前の原発事故で発生した放射性物質を取り除く除染は、福島県の帰還困難区域を除いて、今月末までにおおむね作業が終わる予定です。
一方、環境省が計上した費用は2兆6000億円に上るほか、除染で出た廃棄物の処分の道筋も不透明なことから、専門家は、節目を迎えた除染が復興につながっているのか効果を検証する必要があると指摘しています。
原発事故のあと、関東から東北にかけての8つの県の合わせて100の市町村で行われてきた除染は、福島県の長期間、住民の帰還が難しい帰還困難区域を除いて、今月末までにおおむね作業が終わる予定で、震災発生の翌年から5年余り続いた事業が節目を迎えます。
これを受けて、環境省がまとめた結果、これまでの除染に延べ3000万人以上の作業員が携わったほか、今年度までに環境省が計上した予算はおよそ2兆6000億円に上ることがわかりました。
一方、避難区域の中には、放射線量が下がるなどして避難指示が解除されても学校や病院などのインフラの整備が遅れ、多くの住民が帰還しない意向を示すケースもあるほか、これまでの除染で出た東京ドーム13杯分にあたる1600万立方メートルの廃棄物は処分の道筋がついておらず、今も仮置き場や住宅の庭先など住民に身近な場所に置かれたままになっています。
このため、専門家は、除染が地域の復興につながっているのか、効果を検証する必要があると指摘しています。
専門家「総合的に検証すべき」
避難区域の復興に詳しい大阪市立大学大学院の除本理史教授は「避難区域で避難指示が解除されたあと、住民が戻るか戻らないかを判断する条件の1つが放射線量なのは間違いない。ただ、医療機関や学校などのインフラの復旧や近隣のコミュニティがまだ回復していないことも戻れない理由にあがっていると思う」と述べ、除染には放射線量を下げる一定の効果はあったものの、必ずしも地域の復興に直結していない現状があると指摘しています。
そのうえで、「除染は今まで経験のなかった事態で、震災後、国がかなり主導する形で枠組みが作り上げられたため、どこを除染すると効率的なのかなどの進め方をめぐって、地元のニーズとのずれが生じるといった課題も出てきている。地元の情報や課題を吸い上げて、除染の在り方を柔軟に見直すとともに、これまでの除染の効果を費用面の数字を含めて、総合的に検証すべき時期に来ている」と述べ、節目を迎えた除染の効果をきちんと検証したうえで、来年度(平成29年度)から始まる福島県の帰還困難区域での進め方を考える必要があると指摘しています。
環境相「除染には一定の効果」
一方、山本環境大臣は、これまで行われてきた除染について、今月7日の会見で、「除染の地道な作業が環境の改善にかなり貢献してきていることを被災者の方々にまずはわかっていただきたい」と述べ、除染には一定の効果があったことが確認されたという考えを強調しました。
■2016年11月福島県沖地震は・・・
福島・茨城沖 「正断層」タイプの地震に注意を 3月11日 19時03分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20170311/k10010907581000.html?utm_int=all_side_ranking-access_002&nnw_opt=ranking-access_b
6年前の東北沖の巨大地震の影響で、福島県や茨城県の沿岸部では、それ以前とは異なる、陸側のプレートが引っ張られるような地殻変動が継続し、「正断層」と呼ばれるタイプの地震が起きやすい状態が続いています。 去年11月に福島県沖で発生した、マグニチュード7.4の地震もこのタイプの地震で、専門家は引き続き注意が必要だと指摘しています。
6年前に東北沖で発生したマグニチュード9.0の巨大地震では、プレート境界で陸側のプレートが大きく東へずれ動きました。
海洋研究開発機構などの研究グループは、巨大地震後に東北などの沖合の海底に設置されたGPSの観測機器のデータを分析し、海底の動きがどう変化しているか調べました。
その結果、巨大地震の震源域周辺の福島県沖や茨城県沖の海底では、それ以前とは異なる、陸側のプレートが東へ引っ張られるような地殻変動が今も続いていて、このうち、おととし11月までのおよそ3年間には、平均で1年間に7センチから13センチ前後ずれ動いていたということです。
この領域の陸側のプレートの内部では、巨大地震の影響で引っ張る力が加わって起きる「正断層」と呼ばれるタイプの地震が起きやすくなっているということです。去年11月に仙台港で1メートルを超える津波を観測した、福島県沖のマグニチュード7.4の地震や、去年12月に茨城県で震度6弱の揺れを観測した地震はいずれも正断層の地震でした。
海洋研究開発機構の飯沼卓史研究員は、「沿岸部では海底で規模の大きな地震が起きると短い時間で津波が到達するおそれがあるうえ、震源が陸地に近いと揺れが強まるため、引き続き注意してほしい」と話しています。
津波伴う「アウターライズ」地震にも注意
専門家は6年前の巨大地震のあと、震源域の東側の海底では津波を伴うような「アウターライズ」地震が起きやすい状態が続いているとして、注意も必要だと指摘しています。
海洋研究開発機構の飯沼卓史研究員によりますと、6年前の巨大地震で大きくずれ動いた、東北沖の震源域の沖合にあたる、「日本海溝」の東側の海底では、巨大地震の影響で海側のプレートに引っ張るような力が、それまでよりもかかっていて、津波を伴うような「アウターライズ」地震が起きやすい状態が続いていると考えられるということです。
この領域では、プレート境界で発生した「明治三陸地震」から37年たった昭和8年に、マグニチュード8.1の「昭和三陸地震」が発生して東北や北海道の沿岸に津波が押し寄せ、死者・行方不明者は3000人を超えました。
飯沼研究員は「過去のケースから見れば巨大地震の影響は数十年は続くと見られ、安心は出来ない。また、震源が陸地から遠いため、揺れが比較的小さくても広い範囲で津波が発生するおそれがあり、揺れを感じたら今後も津波に関する情報に注意してほしい」と話しています。
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6年前の東北沖の巨大地震の影響で、福島県や茨城県の沿岸部では、それ以前とは異なる、陸側のプレートが引っ張られるような地殻変動が継続し、「正断層」と呼ばれるタイプの地震が起きやすい状態が続いています。 去年11月に福島県沖で発生した、マグニチュード7.4の地震もこのタイプの地震で、専門家は引き続き注意が必要だと指摘しています。
6年前に東北沖で発生したマグニチュード9.0の巨大地震では、プレート境界で陸側のプレートが大きく東へずれ動きました。
海洋研究開発機構などの研究グループは、巨大地震後に東北などの沖合の海底に設置されたGPSの観測機器のデータを分析し、海底の動きがどう変化しているか調べました。
その結果、巨大地震の震源域周辺の福島県沖や茨城県沖の海底では、それ以前とは異なる、陸側のプレートが東へ引っ張られるような地殻変動が今も続いていて、このうち、おととし11月までのおよそ3年間には、平均で1年間に7センチから13センチ前後ずれ動いていたということです。
この領域の陸側のプレートの内部では、巨大地震の影響で引っ張る力が加わって起きる「正断層」と呼ばれるタイプの地震が起きやすくなっているということです。去年11月に仙台港で1メートルを超える津波を観測した、福島県沖のマグニチュード7.4の地震や、去年12月に茨城県で震度6弱の揺れを観測した地震はいずれも正断層の地震でした。
海洋研究開発機構の飯沼卓史研究員は、「沿岸部では海底で規模の大きな地震が起きると短い時間で津波が到達するおそれがあるうえ、震源が陸地に近いと揺れが強まるため、引き続き注意してほしい」と話しています。
津波伴う「アウターライズ」地震にも注意
専門家は6年前の巨大地震のあと、震源域の東側の海底では津波を伴うような「アウターライズ」地震が起きやすい状態が続いているとして、注意も必要だと指摘しています。
海洋研究開発機構の飯沼卓史研究員によりますと、6年前の巨大地震で大きくずれ動いた、東北沖の震源域の沖合にあたる、「日本海溝」の東側の海底では、巨大地震の影響で海側のプレートに引っ張るような力が、それまでよりもかかっていて、津波を伴うような「アウターライズ」地震が起きやすい状態が続いていると考えられるということです。
この領域では、プレート境界で発生した「明治三陸地震」から37年たった昭和8年に、マグニチュード8.1の「昭和三陸地震」が発生して東北や北海道の沿岸に津波が押し寄せ、死者・行方不明者は3000人を超えました。
飯沼研究員は「過去のケースから見れば巨大地震の影響は数十年は続くと見られ、安心は出来ない。また、震源が陸地から遠いため、揺れが比較的小さくても広い範囲で津波が発生するおそれがあり、揺れを感じたら今後も津波に関する情報に注意してほしい」と話しています。