一人っ子政策をした中国では、深刻な労働力不足が起きているという。
こういう社会の次はどうなっていくのだろうか。
こういう社会の次はどうなっていくのだろうか。
「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
平成29年(2017)11月26日(日曜日) 通巻第5522号
http://melma.com/backnumber_45206_6614164/
中国とて、深刻な労働力不足は少子化が原因だが。。。
大学新卒は795万人、80万人は就労先なしだが、労働現場へも軍隊へもいかない
日本は「売り手市場」である。
少子化のため大学新卒が年々歳々減り続け、地方の大学は存続が危うい。文科省はなにを狂ったか、奨学金までつけて外国人留学生を大募集し、他方で日本人学生に給与型の奨学金は少ない。文科省の権益である大学を存続させるだけが目的かと、多くの若者が不満を募らせている。
雇用側は新卒を狙うが、学生は二社も三社も掛け持ちで受け、最終的にどの会社へ行くかを決めるのだから、企業側が内定を決めたら学生の囲い込みに入るのも無理はない。国際的にみれば、これほど異常な現象はないだろう。
欧米では大学を出ても30%前後に職がないのだから。
反対の文脈で中国も異常なのである。
労働現場に労働力が払底し始めている。中国を代表する製造業「フォックスコム」(鴻海精密工業)は湖南省鄭州工場で、旧正月の消費を当て込んでのかきいれ時に備えた増産態勢を敷いている「iフォン」の大メーカーだが、労働者が決定的に不足しているため強制残業に踏み切った。
不満の声があがり、ストライキの構えにあるそうな。
軍隊はといえば、新兵が欠員だらけとなった。
中国人民解放軍が、徴兵制ではなく志願制に切り替えてから四半世紀、新兵募集に応じる若者が激減している。兵隊なんかやってられるか、という意識が蔓延し始めたのだ。それもこれも中国の若者に大きな意識が起きていることと、人口動態からみても、一人っ子政策の悪弊が残っており劇的な変化が目立つ。
2011年に働く人口は9億2500万人だった。過去五年で、2000万人が労働戦線を去り、2050年には7億人にまで減少するといわれる。
若者の人口(15歳から24歳)は、2006年に1億2000万人だった。この数も、2020年には6000万人となって半減するという予測がある。未来の若者の急減予測は、その比率を比較すると、日本より深刻である。
▼世界一の人員をほこる中国軍も新兵不足が深刻
もっとも顕著な例が、じつは軍隊である。
たとえば山東省は人口9800万人もいるが、輸出製造基地でもあり、経済が飛躍する一方で、軍人リクルートは過去三年間、毎年二桁の落ち込みをしめしている。
現在235万人の人民解放軍、上層部に「団塊の世代」があり、毎年、15万から20万人が退役している。これを補充するには毎年、すくなくとも毎年25万人の新兵を徴集しなければいけない」(アジアタイムズ、11月23日)
最大の原因は大学にある。
中国も猫も杓子も大学へいくようになり、2017年の新卒は795万人。16年は760万人、即席の大学やら、教授の資格のないセンセイが寄せ集めの、名ばかりの技術大学など、雨後の竹の子のように粗製濫造され、大学ビジネスこそ盛況なれど、就労先が急減している。景気後退の所為である。
大学新卒は795万人(2017年)、このうち一割は最終的にあぶれる。つまり80万人は就労先なし、しかし彼らは労働現場へも軍隊にもいかない
2016年に大学新卒は760万人だった。半分がまともな就労先を見つけた。残りは仕方なく、中小企業家、あるいはアルバイト、女子学生は「愛人業」か風俗へ流れ、それでも一割は完全失業となる。
ところが中国人の意識では大卒はエリート。絶対に労働現場にはいかない。ブルーカラーにはなりたくないから大学へ行ったのに、何のため高い授業料を支払って大学をでてみれば、ホワイトカラーの職場がないじゃないか。
中国の人口動態の激変ぶりも、つぎの社会的変化の前触れであろう。
平成29年(2017)11月26日(日曜日) 通巻第5522号
http://melma.com/backnumber_45206_6614164/
中国とて、深刻な労働力不足は少子化が原因だが。。。
大学新卒は795万人、80万人は就労先なしだが、労働現場へも軍隊へもいかない
日本は「売り手市場」である。
少子化のため大学新卒が年々歳々減り続け、地方の大学は存続が危うい。文科省はなにを狂ったか、奨学金までつけて外国人留学生を大募集し、他方で日本人学生に給与型の奨学金は少ない。文科省の権益である大学を存続させるだけが目的かと、多くの若者が不満を募らせている。
雇用側は新卒を狙うが、学生は二社も三社も掛け持ちで受け、最終的にどの会社へ行くかを決めるのだから、企業側が内定を決めたら学生の囲い込みに入るのも無理はない。国際的にみれば、これほど異常な現象はないだろう。
欧米では大学を出ても30%前後に職がないのだから。
反対の文脈で中国も異常なのである。
労働現場に労働力が払底し始めている。中国を代表する製造業「フォックスコム」(鴻海精密工業)は湖南省鄭州工場で、旧正月の消費を当て込んでのかきいれ時に備えた増産態勢を敷いている「iフォン」の大メーカーだが、労働者が決定的に不足しているため強制残業に踏み切った。
不満の声があがり、ストライキの構えにあるそうな。
軍隊はといえば、新兵が欠員だらけとなった。
中国人民解放軍が、徴兵制ではなく志願制に切り替えてから四半世紀、新兵募集に応じる若者が激減している。兵隊なんかやってられるか、という意識が蔓延し始めたのだ。それもこれも中国の若者に大きな意識が起きていることと、人口動態からみても、一人っ子政策の悪弊が残っており劇的な変化が目立つ。
2011年に働く人口は9億2500万人だった。過去五年で、2000万人が労働戦線を去り、2050年には7億人にまで減少するといわれる。
若者の人口(15歳から24歳)は、2006年に1億2000万人だった。この数も、2020年には6000万人となって半減するという予測がある。未来の若者の急減予測は、その比率を比較すると、日本より深刻である。
▼世界一の人員をほこる中国軍も新兵不足が深刻
もっとも顕著な例が、じつは軍隊である。
たとえば山東省は人口9800万人もいるが、輸出製造基地でもあり、経済が飛躍する一方で、軍人リクルートは過去三年間、毎年二桁の落ち込みをしめしている。
現在235万人の人民解放軍、上層部に「団塊の世代」があり、毎年、15万から20万人が退役している。これを補充するには毎年、すくなくとも毎年25万人の新兵を徴集しなければいけない」(アジアタイムズ、11月23日)
最大の原因は大学にある。
中国も猫も杓子も大学へいくようになり、2017年の新卒は795万人。16年は760万人、即席の大学やら、教授の資格のないセンセイが寄せ集めの、名ばかりの技術大学など、雨後の竹の子のように粗製濫造され、大学ビジネスこそ盛況なれど、就労先が急減している。景気後退の所為である。
大学新卒は795万人(2017年)、このうち一割は最終的にあぶれる。つまり80万人は就労先なし、しかし彼らは労働現場へも軍隊にもいかない
2016年に大学新卒は760万人だった。半分がまともな就労先を見つけた。残りは仕方なく、中小企業家、あるいはアルバイト、女子学生は「愛人業」か風俗へ流れ、それでも一割は完全失業となる。
ところが中国人の意識では大卒はエリート。絶対に労働現場にはいかない。ブルーカラーにはなりたくないから大学へ行ったのに、何のため高い授業料を支払って大学をでてみれば、ホワイトカラーの職場がないじゃないか。
中国の人口動態の激変ぶりも、つぎの社会的変化の前触れであろう。