落葉松亭日記

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台風19号・大雨被害

2019年10月13日 | 環境・エネルギー
台風19号は13日未明に関東・東北地方を縦断し、北海道東部で温帯低気圧になった。
この台風は大雨を伴い、長野県の千曲川堤防を決壊させるなど大規模浸水被害をもたらした。
死者19名、不明16名、全国で70個所以上の河川が氾濫したという。
いつもは九州南部から大陸の縁に沿うようなコースが多いが、今回は太平洋の沖から直接関東地方に上陸したのが印象的だった。
専門家は「気候が大きく変動し、20世紀に想定した降雨をはるかに超え、防災施設の能力が追いつかない状況」と背景を説明している。(産経)

日経新聞の写真入り報道
台風19号、死者19人不明16人 9河川10カ所で堤防決壊 停電37.6万戸、断水1.4万戸
2019/10/13 13:39 (2019/10/13 14:54更新)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO50952990T11C19A0MM8000/

12日夜に静岡県の伊豆半島に上陸した台風19号は13日未明にかけて、記録的な大雨を伴いながら関東・東北地方を縦断した。長野市の千曲川で堤防が決壊して周辺が大規模浸水するなど、全国70以上の河川で氾濫した。13日午後2時時点で19人が死亡、16人が行方不明となっている。災害派遣要請を受けた自衛隊などが住民らの救助を進めている。

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写真:浸水した車両基地に並ぶ新幹線の車両(13日、長野市)=小高顕撮影

国土交通省によると、13日午前6時現在、国と都県が管理する計77河川で浸水被害があった。正午時点で、千曲川のほか、栃木県の秋山川や粟野川など9河川10カ所で堤防が決壊した。土石流や崖崩れなどの土砂災害は同10時現在、岩手、山梨、静岡、神奈川、東京など1都11県で48件に上った。

長野市では千曲川の堤防が約70メートルにわたり決壊して住宅地などに大規模に浸水し、福祉施設など5カ所に高齢者ら計約360人が取り残された。同県東御(とうみ)市でも千曲川に架かる橋付近の道路が陥没し、車が流されて3人が行方不明になった。

写真:台風19号で崩落した、千曲川に架かる上田電鉄別所線の橋(13日午前、長野県上田市=共同

東京都世田谷区では多摩川が氾濫した。川崎市高津区でマンション1階が浸水し、一室で見つかった60代男性が死亡。埼玉県川越市では13日午前、特別養護老人ホームの入居者ら約230人が浸水で取り残され、消防と警察がボートで救助にあたった。

群馬県富岡市では土砂崩れが起きて住宅が倒壊し、連絡が取れなくなった3人が救助されたが、いずれも死亡。福島県二本松市でも12日に土砂崩れがあり、2人が行方不明になっている。

写真:台風19号の大雨による影響で陥没した道路の路肩に落ちた乗用車(13日午前、宮城県角田市)=共同

東京湾では停泊中だったパナマ船籍貨物船が沈没し、外国籍の乗組員12人のうち5人が救助、1人が死亡した。

JR東海は13日の始発から東海道新幹線の運行を再開した。JR東日本は13日も在来線の多くを始発から運休したが、山手線は午前9時半ごろに全面再開した。

台風19号は12日午後7時前に静岡県の伊豆半島に上陸し、関東地方を縦断して太平洋へ抜けた後、正午ごろに東北沖の太平洋で温帯低気圧に変わった。

写真:台風19号の暴風雨で剥がれ落ちた屋根のブルーシート(13日午前、千葉県鋸南町)=共同

菅義偉官房長官は13日午前に記者会見し、同日午前7時現在、台風19号による停電が全国で約37万6千戸、断水が約1万4千戸に上ると明らかにした。8都県から自衛隊の災害派遣要請があり、人命救助などにあたっている。

政府は13日午前、台風19号に関する関係閣僚会議を首相官邸で開いた。安倍晋三首相は非常災害対策本部を設置すると表明した。首相は会合で「被害の全容把握を進め、人命第一で災害応急対策に取り組み、迅速で分かりやすい情報発信を継続してほしい」と閣僚らに指示した。

警察や消防、海上保安庁に加え、自衛隊2万7千人体制で救命救助や安否不明者の捜索にあたっていると説明。「必要に応じ体制を機動的に強化していく」とも語った。

【台風19号】異常な降水量、防水施設の想定も「防災能力追いつかず」 2019/10/13 13:59産経新聞
https://news.goo.ne.jp/article/sankei/nation/sankei-afr1910130047.html

 台風19号の通過による猛烈な降雨で各地では堤防が決壊するなどして河川が氾濫。貯水量が増えたダムは流入量と同じ水量を下流に流す「緊急放流」を行うなど重大な事態が相次いだ。専門家は「気候が大きく変動し、20世紀に想定した降雨をはるかに超え、防災施設の能力が追いつかない状況」と背景を説明する。

 国土交通省によると、国や県が管理する少なくとも計17の河川で堤防が決壊。赤羽一嘉国交相は、13日朝の省内の災害対策本部会議で「決壊は今後も増える可能性がある」とした。長野市の千曲川では堤防決壊により住宅地で大規模な洪水が起き住民らが孤立した。

 ダムでは急速に貯水量が増え、12日夜前後から緊急放流を実施。荒川水系の二瀬ダム(埼玉県)や相模原市の城山ダム、茨城県の水沼ダム、栃木県の塩原ダムで相次いで行われ、下流域で水位が増す恐れがあることから国や自治体が警戒を呼び掛けた。

 大規模災害対策をめぐり国が進める「国土強靱化」では今年度、昨年発生した西日本豪雨を教訓に、河川堤防の強化と迅速な住民避難を重点課題とされた。大きな被害が懸念される全国の河川では、堤防の強化やかさ上げを急ぐ一方、自治体に対して、最大級の被害を想定してハザードマップを作成し防災訓練をすることなどを促している。

 水害対策は、各河川ごとに水量を想定し、人命や経済面などの重要性をも加味した上で優先度を決め、整備が進められてきたが、水防などに詳しい新潟大の安田浩保准教授(河川工学)は「想定をはるかに超える極端な降水が同時多発的に起こることで、水があふれ出した」と指摘する。

 安田氏は、日本の水防について「世界的に見ても高水準で工事の技術も高い」と分析。ただ、「想定した施設の能力が現実にそぐわなくなっている。計画中の工事を一刻も早く完了させ、降雨や浸水の想定を改めて進め、予測の精度もあげるなど、各方面で対応を急ぐ必要がある」と強調した。