神なる冬

カミナルフユはマヤの遺跡
コンサドーレサポーターなSFファンのブログ(謎)

[SF] S-Fマガジン 2009年6月号

2009-06-03 00:07:51 | SF
『S-Fマガジン 2009年6月号』 (早川書房)




スプロール・フィクション特集V。スプロール・フィクションというのは、ジャンルSFの外へ発散(這い出していく?)していく小説という意味の、S-Fマガジンでしか通用しない造語なのだが、この特集も5回目。

「SF界における世代を巡る論議」は、ブログ発の世代格差論争という意味で、日本でもいつか見た光景。感想はこちら

S-Fマガジンでは海外(といっても欧米限定)の小説を紹介しているが、日本版は5月増刊号として『STRANGE FICTION』が刊行されている。どちらも、早川の新レーベル《想像力の文学》の宣伝ということか。

また、第4回日本SF評論賞の発表。未だにアシモフかとも思うが、SFジャンル外からゼロ年代を語られるよりもましか。
そういえば、90年代の、いわゆる冬の時代を総括するSF論ってどっかに出ていたっけ?
お前がやれといわれても困るんだけど……。

ここで笑えるのが、選考委員の高千穂遥の発言の少なさ。影、薄いよ。
ついでに、落選した瀬名秀明論(の梗概と貶され具合)に触発されて書いたエントリはこちら


読み終わってから、編集後記に伊藤計劃の訃報とともに、田中文雄の訃報が載っているのに今ごろ気が付いた。マジですか!
ウェブでも記事を全然見なかったので、チョ→びっくり。あらためてググってみたら、時事ドットコムには、代表作としてSF・ファンタジーばっかり記載されているのに、肩書きが推理作家とあって、不謹慎にも笑ってしまった。不遇だな。




『名高きもの』 クリストファー・ロウ
 ×:超人ハルク? なんだかよくわかりません。

『蝶の国の女王』 ホリー・フィリップス
 ○:これは良いファンタジー。恋人を待つ苦しさと、帰ってきた喜びが美しく表現されている。

『都市に空いた穴』 リチャード・ボウズ
 ×:阪神淡路も奥尻も経験していない者には、911なんて理解できませんよ。

『ローズ・エッグ』 ジェイ・レイク
 ○:ナノテク世代の伝説。寓意の部分は受け取れ切れていないかも。

『星の香り』 菅 浩江
 ○:うーむ。また縄文時代の挿話が解釈できない。関連がずれている?