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神なる冬

カミナルフユはマヤの遺跡
コンサドーレサポーターなSFファンのブログ(謎)

[SF] SFマガジン2011年05月号

2011-04-17 18:32:42 | SF
『S-Fマガジン 2011年5月号』 (早川書房)



「チャールズ・ストロス&コリィ・ドクトロウ特集」と銘打っているが、この二人に限らず、デジタル技術特集とでもいう感じ。

カラーで紹介されている『リトル・ブラザー』(コリィ・ドクトロウ)はデジタル世代のためのバイブル的存在。世界を憂うなら、世界を変えろというメッセージ性が強烈。今や古典となって、寓話化したオーウェルの『1984年』を21世紀に語りなおし、現実とリンクした物語へと生まれ変わらせている。

「SF IN THE DIGITAL AGE」はローカス誌からの特集翻訳。SF作家たちのデジタル社会に対するスタンスが見えて面白すぎる。これは毎月連載して欲しいくらい。

特集以外にも「大森望の新SF観光局」が電子書籍ネタ。途中までは、先月会社で作ったレポートにそっくりでワロス。まぁ、なんというか、そういうことなんだよね、電子書籍って。

SF大賞受賞の長山靖生「僕がSFでマンガでアニメで、おたくと呼ばれた頃」は80年代SFファンダムの回顧録。自分は10年ぐらいずれているんだけれど、80年代ファンダムの出来事の発端が70年代にあるように、80年代は90年代に地続きであり、なんかいろんな昔のことを思い出したり、もだえたり。



◎「無線人」 チャールズ・ストロス&コリィ・ドクトロウ
インターネット規制だとか、携帯ネット監視だとか、実名強制だとかなんだとか、その先にディストピアが繋がっているのが見える。そんな社会で自由を求めて戦う人々。『リトル・ブラザー』のマーカスは、こんな社会が来ないように立ち上がったわけだし、自分も仕事柄、何かしないわけにはいかないだろうと思うんだけれど、何をしていいのかがわからない。そんな焦りを感じさせられる短編。

△「酔いどれマンモス」 チャールズ・ストロス
ドタバタハチャメチャスラップスティック。

○「エインダのゲーム」 コリィ・ドクトロウ
まずはタイトルに爆笑。読んだら、ネット社会に持ち込まれた南北格差問題に泣く。ネットでは誰もが平等とかいう時代はすでに終わってしまっているんだよ。

×「ヒロシマをめざしてのそのそと〈後篇〉」 ジェイムズ・モロウ
危惧した通りだ。中篇からのどんでん返しもないし、日本のトクサツに対するリスペクトもあるんだかないんだか。ゴジラの偉業をアメ公に横取りされた気分。

△「《現代SF作家論シリーズ》第四回 スタニスワフ・レム論 境界線の幻想」 島村山寝
一言で言うと、散漫。論としての主題が良くわからない。


[SF] 青い星まで飛んでいけ

2011-04-17 17:28:00 | SF
『青い星まで飛んでいけ』 小川一水 (ハヤカワ文庫 JA)




小川一水の最新短編集。しまった、読んだのばっかりだった(笑)

今回短編集としてまとまった中で、一番おもしろかったのは冒頭の一篇と、最後の一篇の対比。

とにかく外を目指したい、行ったことの無い世界へ行きたいという外に向かう感情を描いた冒頭の作品に対し、外へ向かうだけではダメだ、内へ向かう感情を獲得して初めて生命体として完成するのだという最後の一篇。

そしてまた、小さな閉鎖環境からの脱出に始まり、時間的、空間的に壮大なスケールの探索に終わる。

この2篇は正反対の要素を持っていながら、どちらも小川一水的SFを感じさせる。

また、全体的に感じるのは、ネット世論というか、ネットで話題のキーワードを題材に取ったものが多いな、という印象。もしかしたら、普通の人が、ブログを書くようなイメージで短編小説を書いているんだろうか。物語の紡ぎ手というのは、根っからの語り部だということか。

もうひとつ付け加えれば、小川一水の短編に共通しているのは、科学技術への楽天的な信頼性だと思う。これがあるからこそ、一見悲惨なエンディングであっても、ポジティブなイメージを保ち続けられているのではないかと思える。



「都市彗星のサエ」
こーの支配からのっ……そつぎょう……

「グラスハートが割れないように」
そういえば、水伝も懐かしい話題になっちゃったなぁ。いや、まだリアルタイムな人もいるのか。

「静寂に満ちていく潮」
森奈津子的ななにか。

「占職術師の希望」
自分探しって本当に見つかるものなんですね。

「守るべき肌」
〈デベロッパー〉は太陽喰わないんだっけ? あと、この世界のハード的なメンテは内部から可能なのか?
そういうことの方が気になって、彼らの決断には納得できない。
まぁ、現実がダメなら仮想でがんばればいいじゃないとか、惨事がダメなら虹でいいじゃないとかいう話では無いと思うけど。

「青い星まで飛んでいけ」
下位知性体の言動に似た言動をしている人は下位知性。いやそういう話じゃないか。
しかし、これを文字通りのレイプとトラウマの話とは読めないような。どちらかというと、ありがちなアンビバレントな感情に対する救いのような。


[SF] ストレンジ・トイズ

2011-04-17 16:52:57 | SF
『ストレンジ・トイズ』 パトリシア・ギアリー (ストレンジフィクション 河出書房新社)




これはある意味、“裏ナルニア”だと思った。

『ナルニア物語』は映画化されたことでも有名になったが、もともと、洋服ダンスの向こうに不思議な世界が“実在”するという“事実”を明かしたことで、しかも、その秘密を解き明かしたのが、読書好きで妄想好きな少女だということで、夢見がちな少女のバイブルとなった作品である。

『ストレンジ・トイズ』の主人公も、妄想好きな9歳の少女、ペット。三姉妹の末っ子である彼女は、長姉ディーンが引き起こした厄介ごとのおかげで、家族と共に自動車の旅へ出る。

サンディエゴから西海岸を北上し、セコイアの森へ。そして大陸を横断し、東海岸を下り、マイアミ、さらにはメキシコ湾沿いに進んでニューオーリンズへ。

ペットは家を出る間際に、ディーンの離れから魔法のノートを持ち出していた。そこに描かれているのは、呪いか、予言か。ディーンのノートをめぐって、ペカンナッツ色の肌をしたサミーが取引をしようと持ちかける。プードル達のおもちゃをお守りとして身に着けたペットは、家族を守るためにサミーを探して、不思議系博物館をめぐり続ける。

ペットが9歳の時の家族旅行(というか、逃避行?)を描いた第1部が、とにかくすばらしい。ブゥードゥーに嵌った姉が残したノートを手がかりに、ディズニーランドの存在しないアトラクションや、かの有名な〈リプリーのビリーブ・イット・オア・ノット〉などの不思議系博物館で、子供目線の恐怖と驚きに満ちた大冒険が描かれる。

そこにあるのは、現実と表裏一体となった不思議の世界だ。バッヂ、積み木、貝殻、力の腕輪……。大人の目から見れば何でもないおもちゃが、秘密のおまじないになる。それは遊びではなく、自分の身を守るための大真面目な戦いなのだ。

そして、ティーンエイジの第2部、30歳になった第3部。ペットはそれらの呪いを遊びとして卒業するのではなく、さらに深くはまり込んでしまう。そこにいたって、第1部のおまじないが、子供の空想などではなく、事実であったことが明かされていくのだ。

少女の幻想はどこまで現実なのか。それは、少女自身がいつか知ることになる秘密であり、背筋が凍るような恐怖であると同時に、懐かしく温かい安らぎであり、果たされた約束である。

洋服ダンスの向こう側の国が真実であるように、おもちゃのお守りも真実である。そして、夢見がちな少女を、まだ見ぬ不思議の世界へ誘う扉なのである。(セックスはドアよりも窓よりも強い!)

『ナルニア物語』が、少女が12歳までに読むべき本とされるように、『ストレンジ・トイズ』も、少女が12歳までに読むべき本なのかもしれない。たとえ、そこに秘められた力は正反対だったとしても。



4月16日(土)のつぶやき

2011-04-17 02:27:41 | つぶやき
10:18 from Tween
久しぶりに10時間以上寝た。これだけ眠れるということは、まだ老人じゃない。
10:25 from Tween
そういえば、盛大な鼻血は出ないけど、最近鼻くそに血が混じっていることが多い。これは放射能でも花粉症でもなくて乾燥のせい。
10:27 from Tween
いや、自分が花粉症じゃない証拠は無いけどね。しかも、この時期よく風邪を引くし。なんか知らんが外にいる方が調子がいいので、花粉症じゃないと思うけど、電車に乗るとやたらとくしゃみと鼻水が出る。
10:55 from Tween (Re: @consadole
育成よりも足りないポジションの補強に見えるのが困ったものだ。 QT @consadole: 札幌の3人を2種登録 Jリーグ http://www.hokkaido-np.co.jp/news/consadole/286376.html #consadole
10:57 from Tween
ポジティブ→ポリバレント。ネガティブ→上原コース。うちの10番。
10:59 from Tween
天気がいいので散歩にでも出かけようと準備しかけたが、先に洗濯をせねばならぬのだった!
11:20 from Tween
でけー!
11:23 from 読書メーター
【動乱2100 (ハヤカワ文庫SF―未来史3)/ロバート A. ハインライン】〈未来史?~?〉と繋がっているとは思えない感じ。一冊分まるまる抜けている、というか、書かれていないのか。後ろも完結ではなく... http://bit.ly/gW5bsR #bookmeter
11:38 from Tween
某映画館サイトにて、『ザ・ライト』が“(C)2011「ランウェイ☆ビート」製作委員会”になってる。それはともかく、ハズレかアタリか、見に行くべきか迷う。
12:11 from Tween (Re: @cge2
内陸部でも余震。太平洋側へ引っ張られてテンションがかかっているので内陸の活断層が破断する。らしい。 QT @cge2: 気象庁は余震余震て言ってるけど これってもぅ別の地震だよね 余震って言えば国民が安心するとでも思ってるんだったら間違えだよ
12:47 from Tween (Re: @cge2
@cge2 一連の地震なら本震はひとつしかありませんが。本震より大きいのが来ると前のが前震になるだけで。そういうことを言っているのではなく?
12:48 from Tween
逆に余震だから安心とかわけわからん。
12:57 from Tween
安心と不安、安全と危険は軸が重ならないというのは、ここ1ヶ月で実感する。安全だからといっても安心じゃないし、不安だからといっても危険じゃない。情報の発信側、受信側双方で、この話は重要だと思う。
14:09 from Tween (Re: @cge2
@cge2 余震かどうかなんて学術的な用語として決まっているわけだし、余震だから小さいとも安心とも言えないわけだし、いったい何を言いたいのかわかりませんが。
15:47 from Tween
多摩川堤防走ってたら、羽虫にたかられ、大粒の雨を喰らい、引き返そうと思ったら向かい風に阻まれ、うっへー。
18:51 from Tween
匿名が嫌いな人はtwitterやめてfacebookに行けばいいのに。
21:15 from Tween
「ゆるくない」の反対が「ゆるい」じゃ無いのは確かに納得がいかない。「ゆるくない」の反対は「普通」?
23:42 from Tween
スマホ1時間くらい触ってたら気持ち悪くなった。狭い画面のスクロールはダメだ。吐きそう。携帯ゲーム機も苦手なんだけど。
by kats_takami on Twitter

4月12日(火)のつぶやき

2011-04-13 02:25:44 | つぶやき
22:12 from Tween
宮部みゆきの『レベル7』って、むちゃくちゃワクワクしながら読んだんだけど、結局肩透かしで終わった記憶が。福島のレベル7もそんな感じで終わって欲しいものだ。
22:16 from 読書メーター
【青い星まで飛んでいけ (ハヤカワ文庫JA)/小川一水】未知との遭遇とか、恋愛SFとかいうより、ネット界隈でよく見た話題がSF化されている感じ。きっと地震デマとか反原発デモとかも、そのうちネタにするん... http://bit.ly/gkT010 #bookmeter
22:20 from 読書メーター
【ストレンジ・トイズ (ストレンジ・フィクション)/パトリシア・ギアリー】を読んでる本に追加 http://bit.ly/hQQCpU #bookmeter
22:26 from Tween
〈ストレンジ・フィクション〉って、日本語だとそのまま「奇妙な味」といわれる、文学とファンタジーとホラーの境界みたいな叢書なんだけど、日本作家版の〈想像力の文学〉よりも違和感が無く読める。これは、英米文学の舞台である外国が既にファンタジーとして明確だからですかね。
22:32 from Tween
『ストレンジ・トイズ』も、途中だけど、むちゃくちゃおもしろい。読み始める前は“ペット”が女の子の名前だと気づいて無かったので、いきなり混乱したしw しかも、この娘、かわいい。結局、最後はよくわからない話になるらしいんだけど……。
22:48 from goo
[SF] 誕生!〈星海企業〉 #goo_kats-takami http://goo.gl/9KtFn
by kats_takami on Twitter

[SF] 誕生!〈星海企業〉

2011-04-12 22:34:09 | SF
『誕生!〈星界企業〉(銀河乞食軍団 黎明篇[3])』 鷹見一幸 (ハヤカワ文庫 JA)




1から3巻までは連続で出たのに、4巻まで間が空いたので、このまましばらく続くのかと思いきや、4巻で完結。刊行が遅れた理由は著者あとがきを参照のこと。

さて、この最終巻。〈蒼橋〉と〈紅天〉の対立がもうひと盛り上がりあった後、大方の予想通り、〈蒼橋〉の技術者集団からインスパイアされた人助け義勇軍として、ムックホッファが〈星海企業〉を組織して頭目と呼ばれるところまでが描かれる。

〈紅天〉の最後の悪あがきはちょっと不自然で、無理矢理感がぬぐえないのだが、“草”たる男と妻のエピソードはなかなか良かった。

そして、ついに星界企業の初期メンバーが勢ぞろいする。頭目、ロケ松、和尚、お富さん、そして、なんと紅顔の美少年時代のピーター(笑)

この小説を読んでいると、中学生の頃に押し入れに身体半分突っ込んで寝っ転がりながら『銀河乞食軍団』を読んでいた時の匂いをリアルに思い出す。

黎明篇が野田昌宏の本家『銀河乞食軍団』の雰囲気を再現している理由は、人名や星名、台詞回しといった形式的なものよりは、ムックホッファが感銘を受けた〈蒼橋〉義勇軍の職人文化にあるように思う。

この「いいかげんに、適当に(=良い加減で、適するように)」という言葉に代表される文化が、彼らの考え方や行動が、後の銀河乞食軍団のポリシーや、さらにはおネジっ娘たちの言動に直接つながっているように見えるところが、黎明編を『銀河乞食軍団』として認めるに値する味になっているのだろう。

いろいろ事情があるようで、この後が続くのかどうかわからないが、どうせなら本家の第2部を、ぜひ実現してほしい。あのエピソードはまだ完結していないのだよね。


4月10日(日)のつぶやき

2011-04-11 02:25:39 | つぶやき
10:40 from Twitter for Android
いい感じで、満の開です。@残堀川。 http://t.co/fRFShCb
13:48 from Tween
JFA TVのust見てるけど、得点シーンとかカクカクしすぎでよくわかりませんわ。 画質落としてコマ数増やすとかできんのか。
14:34 from Tween
バッテリー?
14:50 from Tween
どーてんひきわけー。
20:14 from Tween
え、石原当確なの?いったいだれが投票したんだ?なんか陰謀論を信じたくなる結果だな。
20:24 from Tween (Re: @manbe_kun
オワタ\(^o^)/ QT @manbe_kun: 東京オワルの?
20:35 from Tween (Re: @Consaneko
石原の選挙公報って「姥捨て山始めます」だったじゃん。それが理解できない人が多いってことか。 QT @Consaneko: 正直選挙広報と政権放送見たら石原が一番まともだったのは否定できない
20:38 from Tween (Re: @Consaneko
え? QT @Consaneko: kats_takami 正直老人福祉とか一番どうでもいいもん、あいつら金もってんだし
20:40 from Tween (Re: @Consaneko
@Consaneko 老人で石原の得票率が多いのは、俺らの福祉はどうでもいいから若者に金使ってくださいって意味なのか。そうか。
20:42 from Tween (Re: @Consaneko
@Consaneko 意味フ。石原そんなこと言って無いし、本当にそういう主張なら、石原の得票率が若者で伸びないのがおかしい。
20:45 from Tween (Re: @Consaneko
@Consaneko それは石原の主張とは関係ないし、選挙公報や政見放送がまともという発言と何の関係が?いや粘着する気は無いけど。
20:47 from Tween (Re: @Consaneko
@Consaneko そうですよ。そんな話をしてるつもりはまったく無いですけど。
20:52 from Tween (Re: @Consaneko
@Consaneko 選挙公報とか政権放送の話じゃなかったのかよ。ビックリだ!それ以外の石原評には同意だ。
20:56 from Tween (Re: @Consaneko
@Consaneko こんなのが?老人福祉がどうこう言う前に、何も考えて無いだろ、こいつ。 つ http://togetter.com/li/117669
21:04 from Tween (Re: @Consaneko
@Consaneko だから、広報や放送は一番まともっていう価値判断に、それ以外のものを入れるから主張がおかしいんだってば。言いたいのはそれだけ。
23:36 from 読書メーター
【リトル・ブラザー/コリイ・ドクトロウ】今日、選挙にいかなかった奴はこれを読んで感想文を書くこと。 http://bit.ly/fycTN7 #bookmeter
23:44 from goo
[SF] リトル・ブラザー #goo_kats-takami http://blog.goo.ne.jp/kats-takami/e/17119ad95af262cb06a4622c009c3118
by kats_takami on Twitter

[SF] リトル・ブラザー

2011-04-10 23:37:27 | SF
『リトル・ブラザー』 コリイ・ドクトロウ (早川書房)




これは新世代のバイブルになるかも知れない。すべての17歳若者は必読。そして、すべての情報系技術者は必読。

テロとの戦い、テロの抑止をお題目に、個人の自由を規制し、個人の尊厳を否定する。それが本当にテロの抑止に繋がるかどうかなどはまったく無関係に、対テロ戦争の名目のもとに、すべてのことが許される。

通信は盗聴され、交通は監視され、データーマイニングが「ちょっと違う」誰かをあぶり出す。社会の情報化と、進んだ情報処理技術がこれを可能としたのだ。

これに対し、誤認逮捕により尊厳を剥奪され、心身共に傷つけられた17歳のハッカー(≠クラッカー)が戦いを挑む。何度も恐怖にくじけそうになりながらも、仲間や恋人や母親に助けられ……。

これはジュブナイルとして著された小説のため、世界は単純に、わからずやの大人と自由を求める若者の対立に押し込まれている。

“25歳以上を信じるな!”

しかし結局、彼らはジャーナリズムという大人の力を借りて、さらにはカリフォルニア州知事(そういえばターミネーターだったけど)の力を借りて、尊厳を取り戻すことになる。

25歳以上の大人が、すべて阿呆なわけではないのだ。

それでも、彼らが自分たちの暗号化ネットワークを作り上げ、報道されない情報を共有し、国土安全保障省の横暴に対抗しようとしたことが、25歳以上の大人たちもが動き出すきっかけとなった。

噛んだ噛んだ噛んだ噛んだ噛んだ!
Bit Bit Bit Bit Bit!


自分も情報系技術者の端くれであるが、このような事件に巻き込まれたとき、自分に何が出来るかということを考えると、自分の無力さに情けなくなる。知識も、勇気も、何もかもが足りない。それがゆえに、主人公のマーカスは、ウルトラマンやスーパーマンに並び、我々のヒーロー足りえるのだ。


この小説がアメリカで出版されたのは2008年。しかし、2010年末からチュニジアで、年が明けた2011年にはエジプトで、そしてリビアで起こったことを予見的に描いている。若者たちのネットワークがダウンしたとき、世界中のハッカーがこれを復帰させようとしたことも予見的だ。

この小説の元ネタでもあるビッグ・ブラザーの登場するジョージ・オーウェルの『1984年』は確かに予見的だ。しかし、1949年に書かれた古さ、1984年というレトロ・フューチャーの描写が、それを寓話に押し込めてしまっている。

それに対し、『リトル・ブラザー』に描かれているのは、今ここにあるディストピアだ。

国際的にはジャスミン革命に始まる民主化運動。国内の不満を外に向けるために過激化するテロ対策。

そして、日本においても。

テロを別な言葉に変えれば、どこかで見た景色ではないか。この小説を読んで、背筋が寒くならない人がいるとは信じられない。

さらには、桁違いの規模とはいえ、大量の死者、行方不明者を出したテロの描写、混乱する街の描写が、東日本大震災後の日本の今とシンクロし、この物語が遠い世界の話ではないということが実感される。

児童性犯罪抑止のための二次元規制。ピーク電力削減のための深夜コンビ二規制。まったく無関係なものが、誰にも反対できないお題目のために規制されようとしている。

東京都だけの話ではない。警察利権。見込み捜査。逮捕ノルマ……。誰も反対できないような名目すらなく、権力の暴走はとっくに始まっている。

老害知事のインターネット規制どころか、Facebookの実名強制ですら、この小説で描かれた地獄へ向けた落とし穴に思えてしまう。

しかし、大人たちは、老人たちは、権力の言ううがまま、お題目を信じる。自分が理解できない放射能汚染の濃度に関してはヒステリックに騒ぎ立てるくせに、お題目が自分の感性にあってしまえば、そのお題目にしたがって何が行われようとしているかには、まったくの無関心。

かといって、若者たちはさらに政治に無関心。好きな二次ロリが規制されようと、秋葉原で職質を受けようと、自分の一票が政治を変えるということに実感が無い。しかし、それは現状を正しいと認めているということがわかっているのか。


政府は、統治される人々の合意に由来する正当な権力にもとづいて、人民のうちに樹立される。いかなる形態であれ、政府がこの目標に反するようになったとき、人民は、政府を改め、または廃してあらたな政府を樹立し、もっとも安全と幸福をもたらしてくれそうな原理をよりどころとし、もっとも安全と幸福をもたらしてくれそうな形で権力を組織する権利を有する。


時間はたっぷりある。近所で五人を見つけるには―“投票したい候補者がいない”から棄権していた人を五人見つけるには充分な時間だ。



今日は、都知事選の結果よりも、投票率の低さ(57.8%)に寒気をおぼえた。でも、これでも前回よりは投票率は上がっているんだけれど。



4月9日(土)のつぶやき

2011-04-10 02:24:37 | つぶやき
14:34 from Tween
4/30の瓦斯戦チケット買ってきた。味スタはまだ避難場所として使われてるんだっけ。避難者の方々も客席は入れたりするのかね。
14:34 from Tween
桜はちょうど満開だけど、花見にはやばい天気。青空も見えるが、遠くの空が冗談みたいに黒い。
14:36 from Tween
ついでに体調が悪くて下痢気味だ。放射線病ですかね。←そんなわけない。中国人か!
15:55 from Tween
佐川の代引きが来て、ケータイがIS04になった。しかし、この操作性は無理。30分いじくってたら気持ち悪くなってきた。これも放射能のせいに違いない。昔作ったauOne IDのパスワードがわからないし、秘密の質問の好きなチームにコンサドーレ札幌と入れたら違うといわれるし!
15:55 from Tween
やっぱガラケー+ネットブックが最強かも試練。
16:11 from Tween
auOne、PCからだと入れた! パスワードの入れ間違いか。しかし、秘密の質問の答えはわからん。
19:57 from Tween
クリーミーホワイトグラスでシルクヱビスを呑む。正しい。
22:41 from Tween
ドクトロウの『リトル・ブラザー』が面白すぎる。ここにあるのはオーウェルの『1984』みたいなダーク・ファンタジー(今となっては)ではなく、いま目の前に見えている地獄への落とし穴だ。それでも石原に投票するとか言っているのは、なんなんですかね。
by kats_takami on Twitter

4月7日(木)のつぶやき

2011-04-08 02:25:30 | つぶやき
21:12 from Tween (Re: @consadole
うお。人手不足(←ネガティブ)、育成の成功(←ポジティブ)。まぁ、練習試合の結果を見れば不思議じゃない。 QT @consadole: 2種登録選手を追加へ…札幌 http://bit.ly/dPk4qb #consadole
21:15 from Tween (Re: @consadole
2種登録当確? QT @consadole: コンサドーレ札幌U‐18 榊翔太選手 U-18日本代表(FIFA U-20ワールドカップ2013)アメリカ遠征参加のお知らせ http://bit.ly/hlAkM3 #consadole
21:17 from Tween
そういえば、U-xxには呼ばれてたのに、今はさっぱりな人もがんばれよ。まだまだ期待してる。 #consadole
21:46 from 読書メーター
【オスカー・ワオの短く凄まじい人生 (新潮クレスト・ブックス)/ジュノ ディアス】割注だなんんて甘やかし過ぎだ。otakuジャーゴンの呪術的な洪水に溺れるがよい。しかし、nerdの非モテ小説の側面が強... http://bit.ly/eHeV8W #bookmeter
21:53 from 読書メーター
【S-Fマガジン 2011年 05月号 [雑誌]】ストルス&ドクトロウの「無線人」はネット関係技術者必読。「SF in the degital age」は連載で読みたいぐらい。大森さんの「新SF観光局... http://bit.ly/f5vhdK #bookmeter
22:02 from 読書メーター
【銀河乞食軍団 黎明編 4 誕生!〈星海企業〉 (ハヤカワ文庫 JA タ 10-4)/鷹見 一幸 他】なんか読むのをすっかり忘れてた。対〈紅天〉はうまくいき過ぎっぽいし、〈星界企業〉発足話も端折り過ぎ... http://bit.ly/gQd2p1 #bookmeter
22:03 from 読書メーター
【S-Fマガジン 2011年 05月号 [雑誌]】ストロス&ドクトロウの「無線人」はネット関係技術者必読。「SF in the degital age」は連載で読みたいぐらい。大森さんの「新SF観光局... http://bit.ly/f5vhdK #bookmeter
22:06 from 読書メーター
【リトル・ブラザー/コリイ・ドクトロウ】を読んでる本に追加 http://bit.ly/dXeitG #bookmeter
22:41 from goo
[SF] オスカー・ワオの短く凄まじい人生 #goo_kats-takami http://goo.gl/PU9Gz
23:42 from Tween
そろそろ余震も収まったかと思ったところにこれだよ。
by kats_takami on Twitter