鳥!連続写真!掲載中!

近くの多摩川に飛来する野鳥の連続写真を中心に、日頃感じた出来事を気ままな随想でご紹介し、読者双方との情報を共有したい。

後継者の育成(3回シリーズその1)

2013年01月01日 00時00分01秒 | 緑陰随想

 新しい年を迎えられたことへの感謝と希望は誰しもが持つ純粋な気持ちであろう。一年を振り返り、前年のPDCA(Plan-Do-Check-Action)サイクルの結果を率直に反省し、次への目標の立案を行う良い機会でもある。失敗が許されない教育・訓練分野にPDCA手法が有効かどうかは疑問を残すところもあるので、その吟味は別稿に譲ることにする。

 平成24年の印象に残ることとして、世界的な不況に伴うデフレ下における経済活動は、その対応に万全とまでは行かなくても、何らかの方策を迫られた。
 この他、既に話題となって久しい就職氷河期下の新規学卒者の未就職問題、年金や厚生年金基金の破綻等があり、中でも、年金や厚生年金基金の破綻は、退職者ばかりでなく、在職者を含めた喫緊の課題でもある。
 また、団塊世代の大量退職期が過ぎた今、長年培われた技術や技能の現場力が後継者に引き継がれない困難性への顕在化があり、生産現場の海外移転による産業空洞化、為替変動による経済活動の不活性化がもたらす負のサイクルと表裏一体にある後継者育成問題は、参考となる過去の経験則が無く、かつ、先進国においても例がない。更にいえば、マニュアル化によって神格化された生産現場の効率性は、実は熟練工の介在を無視してきたというパラドックスであり、単能工やパートタイマーで生産現場が回ると考えた管理至上社会が見落とした部分が露呈した結果と言えなくもない。

 定年制を敷くほとんどの企業は定年を段階的に65歳(努力義務化:11月の段階で一律定年制のある企業のうち、14.5%の企業が65歳定年制を実施している)に引き上げるとしてきており、このことの意味は終身雇用制という幻想に満ちた言葉自体が雇用慣行として罷り通ってきた訳で、不思議な話である。今では過去の制度であり、むしろ、定年移動雇用制というべきであろう。国は厚生年金制度等の財政的破綻からその支給開始年齢を段階的に引き上げているが、退職時点から年金給付時点までの空白期間をなくすための便法に過ぎず、国の行政は65歳以上、更に70歳までの継続雇用等を企業に要請しており、何かしっくりしないと感じているのは筆者ばかりではないと思う。
 因みに、現在、定年退職後に嘱託や非正規社員としての雇用関係を結ぶ企業は、全企業の95パーセント以上に及んでいる。(次回へ続きます)