エナガ
終わりに、世の中の変動、特に、技術革新にあまり影響されない教育改革のヒントとして、ご紹介したいと思う概念は、米国ロバーツ・カッツがモデルを出した社会人に必要な能力は、テクニカルスキル、ヒューマンスキル、コンセプチュアルスキルであるとしている。どの段階で何をどの割合で教えるかの基本までは述べているわけではないが、ここらあたりから逆にさかのぼれば、教えるべき中身がはっきりすると思う。当然、大企業、中小企業、個人企業という企業別の抽出、産業別や、業態別のアプローチもあるであろう。
要は、改革の前提は、現在の教育制度と並行して行わなければならず、人材、時間や経費、改革の難易度などによって総合的に熟慮が大切であり、将来を見据えた手がかりをまず探索することと思っている。
因みに、テクニカルスキルとは、担当職務に関する固有の能力であり、ヒューマンスキルとは、対人関係を円滑に処理する能力であり、交渉力とか折衝力といった資質が該当する。コンセプチュアルスキルは概念的スキル、概念的技能と呼ばれている。言うなれば管理能力、あるいは管理に関する能力である。問題解決能力と訳している人もいる。教育はこればかりではなく、人物的側面がある。センスやマナー、柔軟性、意欲や体力、人柄、生活態度などである。(このシリーズ最終回です)