やはり2羽の鳶の連携にはカラスは逃げるほかありませんでした。
継続雇用というものの、その実態の太宗は賃金が正社員時を大幅に下回る低賃金雇用となっており、少子高齢社会となり、経済活動の活性化が危惧されていることを理由に、チープレイバー作りを再現することになるのではとの邪推を生む。終身雇用制が包含する年功序列型賃金制の崩壊に伴う、同一職種同一賃金制へ移行への過渡的現象としてとらえるべきか判断に迷うところである。
企業にとって必要な人材は専門的な職業能力を持った人材が求められているのであり、年齢が大きなファクターとはなり得ない。したがって、雇用する必要があれば賃金の低下を経ずに、そのまま正社員として雇用すべきではないか。欧米の先任権システム(早く入職したものが遅く入職したものより企業に長くいることができる制度、首切りが行われると若年者から首切りが始まる。先任者にとっては、企業に貢献したことに対する評価であるため、極めて合理的と考えている。)が極端な若年者の採用を難しくしている弊害は、我が国ではないが、詰まるところ、リストラ(産業再構築)の大義名分の下に、若年者新規採用や中途採用が熟練労働者を切り捨てている。企業の利益優先をカモフラージュしているかのようにも見える。しかし、後継者育成の問題は、このような企業の姿勢では、決して、解決されるものではない。
後継者育成で行われている手法は、歴史の中で培われた、主にOJT(On the Job Training)である。職種の多能工熟練労働者として従事していた者を、定年退職後、再雇用し、後継者の育成に当たる役割を与えたとしても、直ぐには指導者として力量を発揮できるわけではなく、技術・技能の伝承は学校で黒板を前にして教えるようには行かない。受け手(後継者)が作業手順書や取扱マニュアルに書かれたことを即刻理解し、実践できるのであれば再雇用者が行うOJTがもっと評価されてもよいはずである。そのことばかりではなくOJTが難しくなった原因の一つに、成果主義による競争原理があり、先輩-後輩関係を崩し、後継者育成を阻むという見方もある。多くの技術・技能は、到達目標である仕上がり像へ導くプロセスで、関与する因子が無数にあり、その選択・判断に自信を持って指導できるようになるのはそう容易いことではない。(次回へ続きます)