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近くの多摩川に飛来する野鳥の連続写真を中心に、日頃感じた出来事を気ままな随想でご紹介し、読者双方との情報を共有したい。

通訳は縁の下の力持ち(3回シリーズその2)

2013年01月16日 00時00分01秒 | 緑陰随想

 研修員の職務経歴は国によって相当異なっていて、JICAが事前に各国機関に送るジェネラルインフォメーションである程度の縛りはあるが、行政長官や次官から学校長、公共部門の専門家等多様である。それぞれのおかれている背景は当然異なっており、関心事項も千差万別である。来日直後に2~3日のオリエンテーションがJICA本部で行われ、我が国の紹介は受けている。同時に表敬訪問も行われる。
 しかし、経験することによって初めて理解できるものであるが、異文化ショックは受けたそのときに疑問点を解決しないで積み重なると違和感が助長され、ホームシックになるなど精神的な不安定さが現れる。そのようになる前に研修員の個別ケアを行う。この状況をいち早く察知し、対応を取るのもコーディネータの仕事で、文化大使としてのコーディネータのサポートは欠かせない。

 コーディネータと講師との関係は、通訳業務が殆どであるが、研修員にとっては講師そのもので、講師の分身といえる。通訳を通すと、翻訳する時間で講義内容は半減するが、この間合いは、講師にとっては研修員の理解度を判断するための大切な時間であり、通訳が正しく専門用語を理解しているかをも見ることにしている。講義の初期段階では三者の共通認識と信頼関係の醸成が必要となる。
 経験からいえば、コーディネータの介在の下で、研修員の自主性を最大限発揮できるよう、役割を与え、発表や、演習をさせ、疑問点については誠意を持って答えさせる方向を確認し、講義の流れによっては一定の区切りで質問を受ける。研修といっても我が国の事例は、参考になってもすぐに参加国に導入できるモノではないので、成功例は極力少なめにし、失敗例は、成功例以上に参考となるため、我が国が経済大国に躍進できたのは、現在のシステムに至る過程での先進国からの制度移入や試行や模索があり、成功の連続で達成できたわけではないことを強調することを講師とコーディネータの調整事項としている。
(次回へ続きます)