鳥!連続写真!掲載中!

近くの多摩川に飛来する野鳥の連続写真を中心に、日頃感じた出来事を気ままな随想でご紹介し、読者双方との情報を共有したい。

岩手食道楽2(2回シリーズその1)

2013年11月03日 00時00分01秒 | 緑陰随想

 わんこそば、盛岡冷麺に引き続き、岩手県の名産品をご紹介しよう。盛岡市の西北12キロの所に、(雫石(しずくいし)町と滝沢村に架かる場所)約3000ヘクタール(900万坪)の広大な敷地を保有し、宮沢賢治も愛し、彼が執筆した童話にも登場する小岩井農場がある。現在、本社は東京にあり、キリングループの傘下に入っている。企業の正式名称は小岩井農牧株式会社である。創業は大変古く明治24年(1891年)、今から123年前である。発足当時の創業者は小野義眞(土佐藩)、岩崎弥之助(土佐藩)、井上勝(長州藩)の三名で、それぞれの頭文字を取って小岩井という名称にした。酪農から出発し、乳製品の開発、販売から、現在では観光牧場として、また、敷地内にホテル(休館中)や遊園地がある。ここで生産される醗酵バターはヨーロッパタイプのもので、口当たりや香りが良く、多くの消費者に好まれてきた。

 醗酵バターは搾乳した牛乳を高速回転させる。クリームと脱脂乳(スキムミルク)に分離した後、クリームに乳酸菌を加えて熟成させたもので、古くから製品化されており、香りは高いが、保存性はあまり良くない。市販されているバターの殆どは、風味と保存性がよい非醗酵バターである。

 南部せんべいは古くから親しまれてきた円形の焼き菓子で、黒ごまの塩味のせんべいとピーナツが入れてほのかに甘い焼いたせんべいである。醤油味はないようであるが、最近では抹茶等、バラエティに富んで製品も開発されているようである。高校時代に修学旅行で東北・北海道(道南)へ行ったことがあり、久慈で病院の事務長をしていた伯父が盛岡まで会いに来てくれた。列車の停車時間の合間に会えたのであるが、その時の土産に南部せんべいをいただいた。初めての味に驚嘆すると共に、せんべいの周囲に残る部分(みみ)が、パリッとした食感を何とも素朴に感じられた。
私事で恐縮であるが、伯父の息子で歯科医師をしている従兄弟が久慈市で開業していて、盛岡での赴任時に何度か会いに行った。このときにも南部せんべいの話が出て、他界している伯父を懐かしんだ思い出がある。

 南部せんべいは小麦粉を使ったせんべいの一種で、由来はいくつかの説があるが、秋田戦争の時に南部の兵士が食料調達で農家に出向き、そば粉、ごま、塩を練って甲(かぶと)で焼いたという説が有力である。盛岡市内の小料理屋で、吸い物の具に南部せんべいを小割にして入っている汁をすすった覚えがある。結構いける歯ごたえと味であった。(次回へ続きます)