鳥!連続写真!掲載中!

近くの多摩川に飛来する野鳥の連続写真を中心に、日頃感じた出来事を気ままな随想でご紹介し、読者双方との情報を共有したい。

大分雑感 魚釣り(2回シリーズその2)

2013年11月25日 00時00分01秒 | 緑陰随想

 豊後水道の潮の流れが速く、今では、そこで釣れる関アジや関サバはブランド化して高級魚となっている。ブランド化したのはよいが、その管理は偽ブランド品との戦いである。
 出荷するまではタグをつけるなどしているが、調理をしてしまえば判らなくなる。刺身となっても盛り皿にも更にバーコードを置くなど、消費者に捕獲した場所やどこの市場を経由したかの情報が判るようになっているそうである。捕獲場所が豊後水道ならば、対岸の四国の漁師が捕っても同じとは申せ、やはり元祖を争うような所もあるようだ。産地偽装や魚種偽装等の食品表示疑惑は何時の世も取り締まりに困難極まる厄介な出来事である。

 当時M指導員が知り合いの漁師の舟に乗って、関アジを釣りに行ったことがあった。潮流が激しいため、鉄製の重りに20センチ刻みに小粒の重り(ビシ)が付いた幹糸を使った手釣りである。餌は生きたサイマキエビで大物が釣れる。船頭である漁師は必ずといって良いくらいに釣り上げていたが、魚が釣れて糸が高速で手元から急に出ると指を火傷するので、ゴムの指当てを付ける。そのためか糸の感覚は指に殆ど伝わらず、一回糸を流すと巻き上げ、元の場所に戻ってその動作を繰り返す。何度と無く流したが自分はボウズであった。潮流のせいで重り(ビシ)を付けた幹糸が円弧状に流されるため、感覚が消えてしまう。素人が直ぐに釣れることはなく、やはり勘やこつが必要な釣りであることが判った。

 秋から冬の時期は太刀魚釣りに人気が高い。英語でスオードフィッシュ、将に銀色に輝く刀魚である。餌にサバの切り身を使い、これも手釣りである。ずっしりと重い太刀魚が掛かると結構暴れる。船上には噛まれることを防ぐため鉄製のはさみを用意して噛まれないようにしているが、しっかり頭を捕まえないと指や腕を噛まれることがある。高校生の時に保健所の狂犬予防の注射を手伝うアルバイトをしていた。特に口先が長いシェパードなどの耳を前から両手で押さえて頭部を固定するが、口先が長いため、犬が頭を左右に振り、良く両腕を噛まれたことがあった。太刀魚も同様で乾いたタオルで頭部をしっかり押さえないと腕を噛まれる。舟釣りの後、釣り人が海面に手を付けていたら太刀魚に噛まれ、鋭い歯で指を食いちぎられたという話を聞いたことがある。
 
 最近は各地の道の駅が繁盛している。地元の食材が並び、新鮮なことと、中には出品者の顔写真までついていて、安心感を与える。国東(くにさき)市にも道の駅がある。ここに「銀たち」という海鮮食堂があり、太刀魚料理が堪能できる。お薦め品はタチウオのにぎり寿司であろう。舎利が多いのはご愛敬としても、新鮮な太刀魚のさっぱりとした食感は絶品である。店には姫島産の車エビ、ボラの刺身、国東生わかめ、時期物、近海物、地魚も販売している。新鮮な魚類が食卓に手頃の値段で供されるのは今では贅沢の世界となり、当時の生活が懐かしく思い出される。(このシリーズ最終回です)