鳥!連続写真!掲載中!

近くの多摩川に飛来する野鳥の連続写真を中心に、日頃感じた出来事を気ままな随想でご紹介し、読者双方との情報を共有したい。

大分雑感 風呂

2013年12月22日 00時00分01秒 | 緑陰随想

 ユニットバスが住宅に用いられるようになったのはそう古い話ではなく、施工も簡単で、リフォームでユニットバスにする家庭も多い。風呂桶(バスタブ)に入って入浴する国民は世界的に見ても我が国ぐらいではないであろうか。一般的にはシャワー浴で湯船に浸かる習慣はないようである。国内各地で温泉が湧き、観光地化している国もそんなに多くはない。温泉旅館では何回も入浴する。

 火山列島といわれる我が国には、自然にわき出す温泉の恩恵を十分に享受してきたといえる。大分の温泉は別府や湯布院が有名で、温泉目当ての観光客も多い。古くから湯治客を対象とした温泉は別府の鉄輪温泉であるが、元町にある共同温泉、明治時代から続く竹瓦温泉は住民生活と密着し、廉価で楽しめる温泉である。別府の住民の多くは市内の縦横に走る温泉給湯配管によって、容易に自宅の風呂には温泉水を引くことが出来、年中温泉にはいることも可能である。

 鶴崎の職場に近い商店街でブティックを経営していた義理の伯父・伯母が大分市の泉町に借家を持っていて、長男が生まれて暫くしてからそこに引っ越すことになった。借家といっても取り壊す寸前の古い建物であったが、生活するには便利な場所にあった。風呂は付いていたが、通称、五右衛門風呂と呼ばれている鋳鉄製のお釜であった。直下式なので釜の底に当たる部分が特に熱い。プロパンガスで沸かすように改造されていたが、踏み板を浮かべて火傷しないように身体と共に浸かる。
 下駄を履いて入るところもあるようであるが、何とも古風であった。栓は釜の底に穴があいていて、木栓であった。布を巻いて金槌で打ち込む。

 五右衛門風呂の所以は名前の通り、盗賊で忍者であった石川五右衛門が子供と共に釜ゆでの刑で処刑されたことによるものであるが、熱効率が良いためと構造が簡単なため、戦後は利用していた家庭も多い。国内で一軒のみ現在でも広島の鋳物メーカーが製作していると聞く。排気ガスの規制が厳しくないときであったので、何でも燃料になるし、毎日出る紙や木材等のゴミが処理できるので生活のサイクルからすると合理的であった。

 鉄瓶で沸かした湯でお茶を入れるとまろやかな口当たりとなるので、鋳鉄製のお釜で沸かした湯も肌にはまろやかになるようである。自分は温泉気分で入っていたと記憶している。難儀なのは湯を落とし、釜を洗うときは、底まで手が届かない。風呂に入るようにたわしを持って中にはいるか、デッキブラシで洗うが、意外と難しい。底にある排水溝の穴も小さいため、水はけも悪く時間が掛かる。 釜洗いをしたことがない方はドラム缶を外側から内側を洗うことを想像されると判りやすい。