タヒバリのアップです。
健康と長寿を願い、新年を迎えた朝に、家族が屠蘇を飲む習慣がある。神棚や先祖を祀る仏壇へも献杯することも習わしである。中国からの伝来であるが、元旦を迎える数日前から屠蘇散の生薬を酒や味醂にしたし、生薬のエキスを抽出させる。屠蘇散は粉末にした桂皮、山椒、桔梗、等7種の生薬を等分に混ぜ合わせたもので、糸の付いた絹の袋に入れてある。
我が家では日本酒と味醂を半々にした酒を錫製の容器に浸し、銚子飾りを付けている。
屠蘇散をあまり長い間浸しておくと苦みが出る。また屠蘇が濁り、生薬の結晶が出来る場合もあるので長くても数日浸したら取り除く。
屠蘇散は薬局で売っているが、味醂の購入時に付いてくる場合もあり、食料品店で準備できる。
屠蘇を注ぐ順序は家長役が年少の者から先に盃へ注ぎ、盃が揃ったところで「おめでとうございます、本年もよろしく」と唱和し、乾杯する。酒を盃に注ぐのは、通常、年下の者が年上の者へ注ぐ。しかし、屠蘇の注ぎ方は目上の者が目下の者へ注ぐ。このことは年長者が若いエネルギーを吸収し、賞賛するという意味があるようだ。
正月は元旦から15日の小正月までを祝う。三ヶ日、七草粥を炊く七日(なのか)正月と小正月があるが、今日では三ヶ日ぐらいまでであろう。昔はその都度屠蘇を飲んでいた。
松の内(地方によって異なるが、七日までで、門松の穂先だけを切り落とし、穂先は玄関脇の土に埋めていた。1月一杯埋めていたようである。穂先以外の部分、注連縄、輪飾りと共にどんと焼きに供出する)の来客には屠蘇を振る舞っていたが、車を運転する機会も多いためか、そのようなこともなくなった。(次回へ続きます)